今度「京都市」に引っ越しをする予定です。京都市は「ゴミ袋が有料」とのことですが、年間だといくらくらいの負担になりそうですか?
配信日: 2025.02.12

そもそも、なぜゴミ袋を有料化する自治体は増えているのでしょうか。生活ごみは必ず発生するものですから、ゴミ袋に必要なコストを事前に把握しておくことも大切です。当記事では「指定有料ゴミ袋」が増えている背景をふまえ、私たちにとって身近なゴミ袋のコストに迫ってみたいと思います。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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ゴミ袋を「有料化」する自治体が増えている
前述の通り、ゴミ袋を有料化する自治体が増えています。環境省の「家庭ごみ(粗大ごみを除く)の有料化実施状況について」によると、北海道から沖縄まで1741の市区町村のうち、一部有料化を含む「粗大ごみを除く生活系ごみの有料化」を実施しているのは1162の市区町村です。
有料化を実施している団体数の推移を見ると表1のようになっており、ゴミ収集に手数料を課し有料化する自治体は年々増加しています。
表1
年度 | 有料化している市区町村 | 有料化の割合 |
---|---|---|
平成30年度調査結果 | 1134 | 65.1パーセント |
令和元年度調査結果 | 1140 | 65.5パーセント |
令和2年度調査結果 | 1145 | 65.8パーセント |
令和3年度調査結果 | 1154 | 66.3パーセント |
令和4年度調査結果 | 1162 | 66.7パーセント |
※環境省「一般廃棄物の排出及び処理状況等(平成30年度~令和4年度)について」を基に筆者作成
環境省の「一般廃棄物の排出及び処理状況等(令和4年度)について」では、粗大ごみを除いた場合ゴミ収集の手数料を「無料」もしくは「収集なし」としている市区町村は33.3パーセントにとどまり、実はゴミ収集を有料としている自治体の方が多いということも分かりました。
なお、東京都の市区については23区を除く26市すべてで有料化が実施されており、23区についても有料化の検討が進められているようです。
「指定有料ゴミ袋」が増えている背景
「指定有料ゴミ袋」の導入を始めとした「生活系ごみの有料化」を実施する自治体が増えている背景には、一般廃棄物の排出抑制や再生利用の促進があります。
環境省は「一般廃棄物処理有料化の手引き」のなかで、有料化の目的および期待する効果について「一般廃棄物処理を有料化することにより、費用負担を軽減しようとするインセンティブ(動機付け)が生まれ、一般廃棄物の排出量の抑制が期待できる」と述べており、排出抑制が実現できれば処理施設の規模縮小や延命化を図ることを目標としています。
その他にも、費用負担の公平性確保や住民・事業者の意識改革、リサイクルの促進や二酸化炭素排出量の低減によって、脱炭素社会の実現も期待されています。
ゴミ袋の負担は年間いくらくらい?
このようにメリットの大きい「生活系ごみの有料化」ですが、私たちにとって気になるのが有料化に伴う負担増です。実際に「指定有料ゴミ袋」が導入された場合、年間いくらくらいの負担になるのでしょうか。
例えば、平成18年に指定有料ゴミ袋を導入した京都市が平成24年に実施した市民アンケート調査によると、1ヶ月あたりの平均的なゴミ袋の使用枚数は表2のような結果となりました。
表2
45リットル | 30リットル | 20リットル | 10リットル | 5リットル | |
---|---|---|---|---|---|
燃やすごみ | 1.7枚 | 2.2枚 | 2.0枚 | 1.3枚 | 0.3枚 |
缶・びん・ ペットボトル |
0.4枚 | 0.7枚 | 0.8枚 | 0.4枚 | - |
プラスチック製 容器包装 |
0.5枚 | 0.9枚 | 1.1枚 | 0.3枚 | - |
出典:京都市「ごみ袋の使用状況等に関する市民アンケート調査結果」を基に筆者作成
一方で、京都市の指定有料ゴミ袋1枚あたりの価格は令和7年1月23日現在、表3のとおりです。
表3
45リットル | 30リットル | 20リットル | 10リットル | 5リットル | |
---|---|---|---|---|---|
燃やすごみ | 45円 | 30円 | 20円 | 10円 | 5円 |
資源ごみ | 22円 | 15円 | 10円 | 5円 | - |
出典:京都市情報館「家庭ごみ有料指定袋制について」
表2・表3から年間のコストを算出すると、表4のような結果となりました。なお、資源ごみには缶・びん・ペットボトルやプラスチック製容器包装などが含まれます。
表4
1ヶ月あたりのコスト | 年間コスト | ||
---|---|---|---|
燃やすごみ | 資源ごみ | ||
45リットル | 76.5円 | 19.8円 | 1155.6円 |
30リットル | 66円 | 24円 | 1080円 |
20リットル | 40円 | 19円 | 708円 |
10リットル | 13円 | 3.5円 | 198円 |
5リットル | 1.5円 | ‐ | 1.5円 |
合計 | 197円 | 66.3円 | 3143.1円 |
※筆者作成
指定有料ゴミ袋の価格は自治体によってさまざまですが、京都市の場合は平均的な家庭で年間3143円程度の負担が見込まれることが分かりました。
まとめ
今回は「指定有料ゴミ袋」に必要なコストについて解説しました。ゴミ収集は無料が当たり前の時代は終わり、現在では6割以上の自治体が「生活系ごみの有料化」を実施しています。ゴミ袋の価格は自治体によって異なりますが、年間コストだと数千円程度の負担を想定しておいた方がよさそうです。
出典
環境省
一般廃棄物の排出及び処理状況等(令和4年度)について
一般廃棄物処理有料化の手引き(11ページ)
京都市 ごみ袋の使用状況等に関する市民アンケート調査結果
京都市情報館 家庭ごみ有料指定袋制について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー