娘のマンションが「シャワールームのみ」と聞きビックリ!「水道代がもったいない」とのことですが、最近の人はお風呂につからないのでしょうか?“湯船につかる割合”もあわせて解説
配信日: 2025.05.05 更新日: 2025.05.07


執筆者:山田圭佑(やまだ けいすけ)
FP2級・AFP、国家資格キャリアコンサルタント
「冬に毎日浴槽に入る」若者は半数程度。
株式会社プラネットが2023年に行った「入浴に関する意識調査」によると、世代全般的に湯船につかる割合について、夏は低く、冬は高くなる傾向があります。性年代別に見ると、同年代の男性より女性のほうが湯船につかる割合が高く、また、年代が上になるほど湯船につかる割合が高い傾向になっています。
「冬に毎回湯船につかる」と回答した人の割合は、20代男女が52.2%であるのに対して、70代以上の男女は84.8%と大きな差があります。入浴は毎日するとしても、湯船に毎日つかりたいと考える若者は、高年代の人に比べるとかなり少ないようです。
「今後引っ越すとして、引っ越し先の家に浴槽が必要かどうか」という質問については、「必要ではない」と回答した人の割合は5.7%だったのに対し、「必要」と回答した人が85.7%と、圧倒的な差になっています。
「必要」と回答した割合が最も低い「30代男性」でも63%となっていることを考えると、「必ず毎日湯船につかる必要はないが、湯船につかりたいときもあるので、湯船はあったほうがいい」との感覚である人が多いようです。
光熱費コストよりも「スペパ」を重視する人も。
「シャワーのほうが水道代・光熱費の節約になるから」という理由で、浴槽にお湯を張ることをためらう人もいるかも知れません。そこで「浴槽派」と「シャワー派」では、1ヶ月で実際にどれほど水道光熱費の差があるか、以下の条件でシミュレーションしてみましょう。
●「浴槽派」は入浴1回あたり200リットルの浴槽に張るお湯と、シャワー5分(60リットル)のお湯を使用する。
●「シャワー派」は、入浴1回あたりシャワー15分(180リットル)のお湯を使用する。
●1ヶ月の入浴回数は「浴槽派」「シャワー派」とも30回とする。
●光熱費についてはエネチェンジの調査(図表1)を参考に、都市ガスを利用している場合で計算する。
●水道代については、東京都水道局の水道料金を参考に「1リットルあたり約0.2円」で計算する。
図表1
エネチェンジ お風呂のガス代っていくら?シャワーのほうがお得なの?
水道代:約0.2円×260リットル×30日=約1560円
ガス代:(約83.50円+約25.05円)×30日=約3256.5円
合計:約4816.5円/月
水道代:約0.2円×180リットル×30日=約1080円
ガス代:約75.15円×30日=約2254.5円
合計:約3334.5円/月
上記の通り、1ヶ月あたりの水道光熱費は「浴槽派」で約4816.5円、「シャワー派」で約3334.5円と、「シャワー派」のほうが約1482円安いという結果になりました。1年あたりでは約1万7784円の差となりますが、これを「毎日湯船につかれるコスト」として納得できるかどうかが、入浴のスタイルを選択するひとつの基準になるでしょう。
一方、最近の若者で「シャワー室」のみの物件を選択する人は、光熱費を節約すると言うよりは「浴室を狭くすることで得られるスペースを生活空間に使いたい」と考えている場合もあるようです。これは筆者としてはある意味衝撃でしたが、自分にとっての「スペパ(スペース・パフォーマンス)」を最適化するための物件選びをするという、大変戦略的な考え方であるとも言えます。
考え方によっては、この「浴槽キャンセル」現象は、都市部を中心とする不動産価格・家賃価格の高騰によって一人暮らし向け賃貸物件が狭小化し、1部屋20平方メートルを切る物件も増えている中で、少しでも居住空間を広く確保しようという努力によって生まれてきたようにも見えます。
家賃に支払える金額が限られている中で、居住空間の快適性をどこに求めるのか。それぞれが考えなければならない時代なのかもしれません。
まとめ
風呂場を「浴槽なし・シャワールームのみ」としている賃貸マンションが増えている背景には、20~30代の若者が「毎日湯船につかる必要はない」と考えていることも影響していそうです。また、都市部を中心に不動産価格・家賃価格が高騰していることが、一人暮らし向け賃貸物件の狭小化をまねき、浴槽をなくすことで居住空間を広く確保する要望が高まった結果だと言えるかもしれません。
出典
株式会社プラネット 意識調査FromプラネットVol.213 入浴に関する意識調査
ENECHANGE株式会社 お風呂のガス代っていくら? シャワーのほうがお得なの?
東京都水道局 水道料金・下水道料金の計算方法(23区)
執筆者:山田圭佑
FP2級・AFP、国家資格キャリアコンサルタント