「家計への不安感がなくならなくて・・」備えのポイントは、保障→貯蓄→運用の順番で
配信日: 2019.05.19 更新日: 2024.10.10
そして、いま取り組むべきことには順番があります。順番を守って備えれば、家計への不安感はなくなります。
執筆者:波多間純子(はだまじゅんこ)
㈱bloom代表。ファイナンシャル・プランナー(CFP(R)),キャリアコンサルタント
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高額になるリスクは保障で準備
まず、ライフプランを立てるときには、収入や支出が予定通り順調にいく場合と、まさかの出来事により収支が変化する場合の2つを想定しなくてはいけません。
まさかの出来事は「災害などによるモノの消失」「思わぬ事故の損害賠償」や「死亡による収入の途絶」「病気・ケガの治療費の負担」等があります。
また、これらのリスクが起こった場合には、高額な支出が見込まれるため、持っている貯蓄では賄いきれないことが多いものです。そこで、あらかじめ保険に加入することで、比較的小さな費用で大きな備えができます。
特に被害額が数千万円から数億円にもなり得る、火事・災害や自動車の事故等には、損害保険の「火災保険」や「自動車保険」への加入が必須です。
一方、死亡等による遺族への保障は、生命保険でカバーしましょう。子どもが小さいうちは保障額を大きめに、成長するにつれて下げていけば、ムダがありません。さらに病気やケガへの備えは、医療保険をベースに、貯蓄でも対応するのが適切です。
備えは保障→貯蓄→運用の順番で
その他のリスクでは、失業したときなどがあげられます。こちらは貯蓄で備えるのが合理的です。目安としては、世帯年収分以上の貯蓄を確保すること。年収分の貯蓄があるということは、万一収入がなくなっても、1年間は生き延びられることを意味するからです。
年収分以上の貯蓄ができたら、運用に回すことを検討します。もしくは、毎月積立額の一部を、同じく積立型の運用に回してもよいでしょう。その場合、つみたてNISAやiDeCoなど、運用益が非課税になるものを選ぶのがポイントです。
運用によって得られうるメリットは、リターンが預貯金より大きいことと、インフレによるお金の目減りを防げることです。デメリットは、元本保証ではないこと。そのため、さしあたって使用予定のないお金を運用に回すことが重要です。
リスク準備の順番を守れば不安にならない
大切なのは、順番を守って段階的に準備していくことです。貯蓄が少ないときは保障重視、貯蓄が増えるほど保障を減らし、さらに貯蓄を厚くする。余裕資金が生まれれば、それを老後資金の原資にして一部を運用に回す、という順番があるのです。
この順番を守れば、年齢が上がるほど安心感が増してきますし、実際のリスクにもあわてず対応できます。ライフプランに沿って考えると、次のようになります。
若くて貯蓄が少なめのときは、安い保険料で必要な保障に加入します。あわせて、月収の10%を目安に積立をすれば、10年で年収分貯まります。
貯蓄が増えるにつれて不要な保障を減らし、さらに貯蓄に回しましょう。自動車や家を購入したら、不足のない補償額に加入を。住宅ローンや教育費のめどがついたら、老後準備の運用を検討します。
この順番を守らないと、家計がいつまでも不安定です。例えば、老後が不安だからと貯蓄が十分にないまま、運用益でお金を作ろうというのは本末転倒。運用益はあくまでプラスアルファ、それだけで資産を築くことはできません。
また、保険料の負担が嫌で、扶養家族がいても保険に加入せずにいる場合もありますが、根本的な不安を抱えたまま目先の得をしても、家計の不安は解消しません。リスク準備の順番を守りながら、必要なときに必要な分を備えることが安心につながり、家計を盤石にします。
執筆者:波多間純子(はだまじゅんこ)
㈱bloom代表。ファイナンシャル・プランナー(CFP(R)),キャリアコンサルタント