派遣社員として働いている会社から「正社員」のお誘いが…!給与は変わらないけど「ボーナス」目当てで引き受けてもいい?

配信日: 2025.08.29
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派遣社員として働いている会社から「正社員」のお誘いが…!給与は変わらないけど「ボーナス」目当てで引き受けてもいい?
派遣社員として長く働いていると、同じ職場から「正社員になりませんか?」というお誘いを受けることがあるかもしれません。給与は大きく変わらなくても、「ボーナスがもらえるならお得かも」と思う方も多いでしょう。
 
しかし、正社員になることにはメリットとデメリットがあり、働き方に大きな影響を与える可能性があるため注意が必要です。本記事では、派遣社員と正社員の違いやメリット・デメリット、さらに実際の給与データを踏まえ、社員転換時に確認しておきたいポイントを解説します。
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派遣社員と正社員の基本的な違い

派遣社員と正社員は、同じ職場で働いていても、さまざまな違いがあります。まず、両者の基本的な違いを見ていきましょう。
 

雇用契約と期間

派遣社員は、派遣会社と雇用契約を結び、派遣先で働く雇用形態です。勤務場所や契約内容は派遣会社が設定します。同じ部署で働く場合、無期雇用契約を結んでいる場合を除き、雇用契約期間の上限は、原則3年です。
 
一方、正社員は勤務先企業と直接雇用契約を結び、期間の定めがないケースがほとんどです。雇用の安定性という点では、無期契約の正社員の方が一般的に優位といえます。
 

給与とボーナス

派遣社員と正社員のボーナスを除いた給与については、平均値を見るとほぼ同水準でした。
 
ただし、正社員に支給されるボーナスが、差を生み出します。なお、職種や職場によっては、派遣社員と正社員の給与に差が出るケースも考えられるため、目安として参考にしてください。
 
厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況」によると、令和5年の正社員の平均月収は約33万6300円でした。1日8時間勤務で月20日働くと仮定し時給に換算すると約2100円です。
 
また、厚生労働省の「労働者派遣事業の令和5年度事業報告の集計結果」では、令和5年の派遣社員の平均日給は1万6190円で、1日8時間働く場合を想定すると、時給は約2024円になります。
 
さらに、厚生労働省の「毎月勤労統計調査」によれば、令和5年の夏季賞与および令和5年の年末賞与の平均はそれぞれ約40万円、つまり、年間では平均で約80万円が支給されています。この違いが、派遣社員と正社員の処遇面での差を生み出す要素といえるでしょう。
 

キャリア形成

正社員は昇進や研修の機会が整備され、長期的なキャリア形成を支援する環境があることが一般的です。一方、派遣社員はプロジェクトごとの雇用が多く、昇進のチャンスや研修参加の機会が限られるため、キャリア形成がしにくい側面があるでしょう。
 
ただし、近年は派遣社員に対し、研修制度や評価制度を導入し、キャリア支援を強化する派遣会社も増加傾向にあります。
 

福利厚生

正社員は、健康保険や厚生年金、退職金制度、住宅手当や資格取得支援などの幅広い福利厚生を受けられるのが一般的です。一方、派遣社員は制度が限定されるケースが多いものの、加入要件を満たせば社会保険への加入は可能です。
 

派遣社員から正社員になるメリットとデメリット

ここからは、派遣社員と正社員の違いも踏まえつつ、正社員になるメリットとデメリットを整理しましょう。
 

メリット

派遣社員から正社員になる大きな魅力は、ボーナスや退職金制度がある点です。厚生労働省が公表している「令和5年賃金事情等総合調査」によると、定年退職した場合の退職金の平均支給額は、1878万3000円でした。
 
さらに正社員には、基本給を一律に引き上げるベースアップや、定期的に賃金を昇給させる定期昇給の機会もあります。たとえば、厚生労働省の「令和5年民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況」からは、賃上げ額は1万1245円であり、賃上げ率は3.60%であったことが分かります。
 
そのほか、資格取得のサポートや住宅手当などの福利厚生が充実することも多く、安定したキャリア形成が可能です。
 

デメリット

正社員になると、業務の責任やプレッシャーが増す可能性があります。配置転換や転勤の可能性もあり、会社によっては働く場所や部署を自分で選びにくくなる可能性もある点がデメリットといえるでしょう。
 
また、残業や責任範囲が広がるケースも多く、ワークライフバランスを重視する場合、ストレスを抱えてしまう方もいるかもしれません。
 

ボーナスや退職金などのメリットは大きいが、働き方の自由度が失われる可能性も

派遣社員から正社員になると、たとえ給与が変わらなくてもボーナスや退職金が受け取れる点は大きなメリットといえます。さらに、福利厚生や長期的なキャリア形成などを考慮すると、正社員の方が魅力的に映ることもあるでしょう。
 
しかし、派遣の働き方は勤務地や職務を選べるという意味で自由度が高く、ワークライフバランスが取りやすいなどのメリットがあります。正社員になると、転勤があったり、部署での責任が大きくなるなど、精神的に負担に感じることもあるでしょう。
 
「正社員の方が収入面では有利」という事実を前提にしつつも、最終的には自分のキャリアプランやライフスタイルに合う働き方を選ぶことが重要です。
 

出典

厚生労働省
令和5年賃金構造基本統計調査結果の概況 1ページ
労働者派遣事業の令和5年度事業報告の集計結果 9ページ
毎月勤労統計調査 令和5年9月分結果速報等 13ページ
毎月勤労統計調査 令和6年2月分結果速報等 13ページ
令和5年賃金事情等総合調査 6ページ
令和5年民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況を公表します
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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