上司にインフルエンザをうつされた! こんな場合、労災はおりますか? 療養期間が長引いて、もう4日間も休んでいます

配信日: 2025.12.10
この記事は約 3 分で読めます。
上司にインフルエンザをうつされた! こんな場合、労災はおりますか? 療養期間が長引いて、もう4日間も休んでいます
上司からインフルエンザをうつされ、自分も発症して療養が長引いている…… 職場で感染したのだから当然労災で補償されるべきだと考える人も多いかもしれませんが、感染症の労災認定は一般的なけが以上にハードルが高いのが実情です。
 
そこで本記事では、インフルエンザが労災として扱われる条件や補償内容、認定される可能性を高めるためのポイントを解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

労災で感染症が認められる条件とは

労災は、業務または通勤によって発生したけがや病気を補償する制度です。インフルエンザをはじめとする感染症についても、業務が原因で感染したと判断されれば対象になります。
 
ただし、感染症は発症の原因が多岐にわたるため、家庭内や通勤・買い物中など、生活のあらゆる場面で感染する可能性があります。そのため、労災として認められるためには、職場で感染した可能性が高いことを客観的に示す必要があります。
 
特に重視されるのは、感染経路が推定できるかどうかです。医療や介護、保育など、利用者と密接する職場では、業務の性質上感染リスクが高いため認定されやすい傾向があります。一方で、一般的なオフィスでは誰からうつったのかを特定することが難しいため、認定される例は多くありません。
 

上司にうつされただけでは認定されにくい

職場の上司がインフルエンザに罹患(りかん)していたからといって、それが直接の感染源と断定することはできません。ウイルス感染は潜伏期間があり、家庭内や通勤中など、本人が自覚しない場面で感染する可能性も十分にあります。
 
また労災保険では、単に職場の人が感染していたというだけの理由では業務との相当因果関係が認められにくいため、業務が原因で感染したといえるだけの根拠が必要とされています。
 
これを広く認めてしまうと、通常の風邪や季節性の感染症の多くが労災申請の対象となり得るため、実務上は感染経路や業務との関連について慎重な判断が行われています。
 
ただし、同じ職場で複数の発症者が出ていたり、特定業務で感染リスクが高かったりする場合には評価は変わってきます。同一事業場内でクラスターが発生しているなど、感染経路が業務と密接に関連していると認められれば、労災となる可能性は十分あるでしょう。
 

労災認定されると受けられる補償

仮にインフルエンザが業務起因と認められれば、治療費や休業中の収入に対して補償を受けることができます。主な給付は、次のとおりです。
 
まず、「療養補償給付」により医療費が原則無料になります。指定医療機関を利用することで窓口負担がなく治療が受けられるのは大きなメリットです。
 
次に、「休業補償給付」があります。これは療養のために働けず賃金が支払われなかった場合に支給されるもので、休業4日目から給付が始まります。支給額は休業1日につき賃金の約8割相当です。今回のように4日以上休んでいるケースでは、この給付が生活の支えになる可能性があります。
 

労災を申請するなら押さえておきたいポイント

労災の認定は、業務起因性を示す根拠がどれだけそろっているかがポイントです。まずは医師の診断書を取得し、発症日や症状を明確にしておきましょう。また、勤務記録やシフト表、同僚の発症状況など、職場内の感染状況を整理しておくことも重要です。
 
接触の可能性や業務内容について、時系列でメモを残しておくことも有効です。複数の情報がそろうことで、感染が業務に関連していたと判断される可能性が高まります。申請を検討する際は、早めに労働基準監督署に相談し、必要な書類や手続きの流れを確認するとスムーズに対応できるでしょう。
 

職場での感染状況を整理し、労災認定に向けて準備しよう

上司からインフルエンザをうつされたように感じても、それだけでは労災と認められるとはかぎりません。感染症の場合、業務と発症の因果関係を示す客観的な根拠が必要であり、そのハードルは決して低くありません。
 
しかし、職場環境や業務の性質、感染状況が明確に示せる場合には、補償を受けられる可能性があります。自身の体調と生活を守るためにも、診断書や勤務記録の整理、専門窓口への相談など、必要な準備を進め、状況に応じて適切に行動していきましょう。
 

出典

厚生労働省 職場で新型コロナウイルスに感染した方へ 業務によって感染した場合、労災保険給付の対象となります
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

  • line
  • hatebu
【PR】 SP_LAND_02
FF_お金にまつわる悩み・疑問