銀行の利子が「1万円超えた」という知人。金利上昇中とはいえ、実際“利子だけ”でそんなに受け取れるのでしょうか?「必要な預金額」をシミュレーション
政策金利が引き上げられることで身近に起こっていることの1つが、銀行預金の金利上昇です。過去には、普通預金の金利はメガバンクで年0.001%程度でしたが、昨今では年0.2%程度に設定している金融機関が多いです。
金利が引き上げられたことで、今までよりも振り込まれた利子が多かったという経験をした人は多いかもしれません。実際に、預金額次第では利子だけで1万円を超えることもあるでしょう。
本記事では、銀行の利子だけで1万円を超えるためには、預金額がいくら必要になるのかを解説します。
FP2級、AFP、簿記3級、クレジットカードアドバイザー3級、住宅ローンアドバイザー
利子だけで1万円に達するのに必要な預金額は?
銀行の利子は、預金額と預金金利に応じて決まります。今回は金利が年0.2%の場合に、利子だけで1万円に達するのに必要な預金額を計算してみました。ちなみに、計算式は「利子=元本×金利(%)」です。これに数字を当てはめると、以下のようになります。
1万円=元本×0.002
元本=1万/0.002=500万円
つまり、銀行に500万円の預貯金を入れていれば、利子は1万円になります。なお、参考までに総務省の2024年の「家計調査報告 貯蓄・負債編」によると、二人以上世帯において500万円以上の貯蓄を保有している割合は71.1%に上ります。
同調査の貯蓄には、有価証券や生命保険も含まれていることから、該当する全員が利子1万円に達するとは限らないものの、統計上は多くの人は利子が1万円超になるといえるでしょう。
実際に受け取る際は税金が差し引かれる……手取りで1万円を受け取るために必要な預金額は?
銀行の利子は課税対象である「利子所得」に該当することから、実際に受け取れるのは税引き後の金額となります。
税率は、合計20.315%(所得税・復興所得税15.315%、住民税5%)となり、1万円の利子が発生したとしても、受け取れるのは1万円×(100-20.315)%=7969円です。そこで、税引き後の金額で利子1万円を受け取るために必要な預貯金額を、以下で算出してみました。
まず計算式は「税引き後利子=元本×金利(%)×(100-20.315)(%)」になります。この計算式を当てはめると、以下のように算出できます。
1万円=元本×0.002×0.79685
元本=1万/(0.002×0.79685)=627万4707円
上記より、預貯金が628万円以上であれば、1万円超の利子が振り込まれることとなります。
「金利のある世界」は銀行からの利子で実感できる
日本では、2016年1月より約8年にわたり「マイナス金利」政策が導入されてきたため、銀行預金はほとんど増えないというイメージを持っている人は多いかもしれません。
しかし、2024年3月から2025年11月現在にかけて政策金利が引き上げられており、以前よりは利子が増えたと感じるのではないでしょうか。ちなみに、バブル期にあたる1990年代前半には、ゆうちょ銀行の普通貯金の金利は年3%超でした。
金利が上昇したとはいえ、当時と比較するとまだまだ低い水準といえます。金利は預金金利だけでなく、住宅ローン金利など身近なところに影響があるため、定期的に動向を見ておくと良いでしょう。
出典
日本銀行 金融市況(金利・利回り・外為レート等)
総務省統計局 家計調査報告(貯蓄・負債編)2024年(令和6年)平均結果の概要(二人以上の世帯)
執筆者 : 土田崇央
FP2級、AFP、簿記3級、クレジットカードアドバイザー3級、住宅ローンアドバイザー
