月1万円の大浴場付きジムでほとんどの時間を過ごす70代の母。光熱費だけでも月1万円は元が取れているでしょうか?
一方で、金額だけを見て「高い」「安い」と決めてしまうと、本来守るべき生活の質や将来の安心を見落としてしまうこともあります。本記事では、70代の親が利用する大浴場付きジムの会費を例に、「家計」「光熱費」「健康」という3つの視点から家計判断のポイントを整理していきます。
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目次
月1万円のジム代は家計のなかでどう位置づけるべきか
大浴場や運動設備を備えたジムの月会費は、1万円前後が一般的な価格帯です。決して格安ではありませんが、設備や利用時間を考えると標準的な水準といえます。
一方、一般家庭の電気・ガス・水道代を合計した月の光熱費も、世帯規模によっては1万円前後になることがあります。仮にジムの大浴場を日常的に利用し、自宅での入浴回数が大きく減っているのであれば、水道代やガス代が一定程度下がっている可能性はあるでしょう。
ただし、光熱費は季節や契約内容による変動が大きく、必ずしもジム代は光熱費の完全な代替となるとまでは言い切れません。したがって、あくまで一部を相殺している程度と考えるのがよいでしょう。
光熱費だけで元を取るのは難しい理由
ジム代を光熱費の節約だけで回収できるかというと、多くのケースでは難しいと考えられます。入浴にかかるコストは、1回あたり100~300円程度に収まることが多く、毎日利用しても月1万円に達しないことが一般的だからです。
つまり、ジム代の価値は、お風呂代の節約だけで判断すべきものではありません。重要なのは、それ以外にどのような家計上の価値を生んでいるかという点です。
健康維持は将来の家計にどう影響するか
70代における最大の支出リスクは、娯楽費よりも医療費や介護費です。運動習慣がある人とない人では、筋力低下や転倒リスク、生活習慣病の発症率に差が出るとされています。
ジムに通うことによって運動や入浴、外出習慣が維持されている場合、それは将来の医療費や介護費を抑えるための“健康投資”と捉えられます。毎月1万円の支出が、数年後・十数年後の大きな支出増加を防ぐ役割を果たすのであれば、家計全体ではプラスになる可能性もあります。
また、ジムは身体面だけでなく、人との交流や生活リズムの維持にもつながります。孤立や活動量の低下は、結果的に健康コストを押し上げる要因になりやすく、見えにくい家計のリスクでもあります。
時間の使い方も家計の価値として考える
今回の母親がジムで多くの時間を過ごしていること自体も、ジム代の妥当性を考えるうえでの重要なポイントです。ジムに通わず自宅でテレビを見て過ごす時間が増えるより、適度に体を動かし、外出する時間が確保されているほうが、生活の質は高まりやすいでしょう。
家計における支出を「何に使っているか」だけでなく、「その時間をどう過ごしているか」という観点で見ると、ジム代は単なる出費ではなく、生活全体の満足度を支える費用ともいえます。
ジム代は光熱費だけでなく、家計と健康を含めて判断しよう
月1万円の大浴場付きジム代は、光熱費だけで見れば完全に元が取れているとは言い切れません。しかし、健康維持や将来の医療・介護リスクの軽減、生活の質の向上まで含めて考えると、必ずしも高い支出とはいえないケースもあります。
大切なのは、短期的な節約だけに目を向けるのではなく、家計と健康をどう守るかという視点です。「今の1万円が、将来の大きな出費を防いでいるかもしれない」そうした観点で見直すことで、ジム通いの価値はより明確になるでしょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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