年収の壁が「178万円」に引き上げと聞いて「いっぱい稼げる」と思ったけど…。「1月から」シフトを増やしたら「社会保険料」はどうなる?

配信日: 2026.01.18
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年収の壁が「178万円」に引き上げと聞いて「いっぱい稼げる」と思ったけど…。「1月から」シフトを増やしたら「社会保険料」はどうなる?
「年収178万円まで稼いでも所得税がかからない」といった話を聞き、これからシフトを増やそうと考えている人もいるかもしれません。確かに、所得税の負担は軽くなる可能性がありますが、注意したいのが社会保険料の扱いです。
 
社会保険は、所得税とは異なる仕組みで運用されており、働き方によっては保険料負担が新たに発生したり、増えたりすることがあります。本記事では、年収178万円の壁が話題となる中で、今後シフトを増やした場合に社会保険料がどう変わるのかを整理します。
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「178万円の壁」と社会保険は別の制度

年収178万円の壁とは、2025年12月に新たに引き上げが決定された所得税の課税基準を指します。これにより、2025年時点では160万円となっている「年収の壁」がさらに緩和され、一定の年収水準までは所得税がかからない、またはかかりにくくなる可能性があります。
 
ただし、この「年収の壁」はあくまで所得税の話です。健康保険や厚生年金保険といった社会保険は、所得税とは別の法律・制度に基づいており、年収が178万円に達したかどうかだけで加入の有無や保険料が決まるわけではありません。
 
所得税の「年収の壁」が引き上げられても、社会保険の仕組みが同時に変わるわけではない点は、誤解しやすいポイントです。
 

社会保険への加入条件とは

パートやアルバイトなどの短時間労働者が社会保険に加入するかどうかは、主に勤務条件によって判断されます。
 
厚生労働省によれば、現行制度では次の条件をすべて満たす場合、社会保険(健康保険、厚生年金保険)加入の対象となります。
 

・従業員51人以上の企業等で働いている
・週20時間以上勤務(残業時間は原則含まない)
・給与が月額8万8000円(年収換算で約106万円)以上
・2ヶ月を超えて働く予定がある
・学生ではない

 
なお、2025年の年金制度改正法によって、上記の賃金要件については最低賃金の状況をふまえて、2025年6月から3年以内に撤廃される見通しとなっています。
 
また、従業員51人以上の企業を対象とする企業規模要件についても、段階的に縮小・撤廃される予定となっており、将来的には短時間労働者が週に20時間以上働けば、企業規模にかかわらず、社会保険の適用対象となる方向性が示されています。
 
さらに、上記の社会保険の加入要件に当てはまらない場合でも、年収がおおむね130万円を超えると健康保険の被扶養者等の要件を満たさなくなり、家族の扶養から外れることがあります。この場合、勤務先で社会保険に加入しない働き方であれば、自身で国民健康保険や国民年金などに加入する必要があります。
 

「シフトを増やす」と社会保険料が発生するケース

これからシフトを増やす場合、次のような状況では社会保険料の負担が生じる可能性があります。
 
・週の所定労働時間20時間以上の勤務が継続する場合
シフトを増やした結果、週の所定労働時間が20時間以上となり、その状態が継続する見込みがある場合、健康保険や厚生年金保険の加入対象となることがあります。
 
・収入が一定以上になる場合
現行制度では、年収が106万円以上かつその他の条件も満たしている場合、勤務先の社会保険に加入し保険料負担が発生します。また、年収130万円を超えると健康保険の扶養から外れ、社会保険未加入時は自身で国民健康保険・国民年金に加入する必要があります。
 

社会保険料が増えると手取りはどう変わるか

社会保険料は、基本給のほか通勤手当や残業手当などを含めた税引き前の給与を一定の幅で区分して決定した「標準報酬月額」を基に計算されます。保険料は労使折半となり、従業員負担分は給与から直接差し引かれます。
 
そのため、シフトを増やして給与が上がっても、社会保険に加入することで健康保険料や厚生年金保険料の負担が新たに発生し、手取りの増加幅が想定より小さくなることがあります。「働く時間を増やしたのに、手取りの伸びが思ったほどではない」と感じる理由のひとつです。
 

社会保険に加入するメリットもある

社会保険への加入は負担だけではありません。健康保険に加入することで、病気やけがで働けなくなった場合の保障を受けられるほか、厚生年金保険に加入すると、将来受け取る年金額が増える可能性があります。
 
短期的な手取りだけでなく、保障や老後の年金といった長期的な視点も含めて考えることが重要です。
 

まとめ

所得税の「年収の壁」が178万円まで引き上げられることで、所得税の負担は軽くなる可能性があります。しかし、社会保険料は所得税の「年収の壁」とは別の制度で決まるため、シフトを増やした結果、社会保険料の負担が新たに発生するケースがあります。
 
これから働く時間を増やす場合は、年収だけで判断せず、週の所定労働時間や勤務先の条件などを確認し、社会保険料を含めた手取りの変化を見据えて検討することが大切です。不安な場合は、勤務先や年金事務所などの公的窓口で確認すると安心でしょう。
 

出典

厚生労働省 社会保険の加入対象の拡大について
厚生労働省 「年収の壁」への対応
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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