大学生の息子が「今年は年収110万円になりそう」とのこと。扶養から外れると思うのですが、夫が影響ないと言っています。本当ですか?

配信日: 2026.01.23
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大学生の息子が「今年は年収110万円になりそう」とのこと。扶養から外れると思うのですが、夫が影響ないと言っています。本当ですか?
扶養から外れないように、年収を気にしながら働いている方も多いでしょう。令和7年、令和8年の税制改正により、年収の壁に変化があった(ある)ことをご存じでしょうか。
 
本記事では「“扶養から外れる”とはどういうことか?」「税制改正の影響で“年収の壁”はどう変わったのか?」について解説します。年収の壁について気になる方は、ぜひ最後までお読みください。
中村将士

新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

私がFP相談を行うとき、一番優先していることは「あなたが前向きになれるかどうか」です。セミナーを行うときに、大事にしていることは「楽しいかどうか」です。
 
ファイナンシャル・プランニングは、数字遊びであってはなりません。そこに「幸せ」や「前向きな気持ち」があって初めて価値があるものです。私は、そういった気持ちを何よりも大切に思っています。

“扶養から外れる”とはどういうことか?

「扶養から外れる」という言葉には、「税制上の扶養から外れる」という意味と「社会保険上の扶養から外れる」という意味があります。
 
「税制上の扶養から外れる」とは、納税者本人(父親など扶養者に当たる方)の所得税を計算する際、所得控除である扶養控除の適用を受けられなくなるということです。一方、「社会保険上の扶養から外れる」とは、本人(息子など被扶養者に当たる方)が社会保険に加入する義務を負うということです。
 
「年収の壁」という言葉は広く使われており、「103万円の壁」「106万円の壁」「130万円の壁」などは、聞いたことがある方も多いでしょう。これらの年収の壁が意味するところは、以下のとおりです。
 

・103万円の壁:年収103万円を超えると、所得税の計算上、扶養控除の適用を受けることができなくなる
・106万円の壁:年収106万円を超えると、社会保険の加入対象に該当するため、社会保険に加入しなければならなくなる
・130万円の壁:年収130万円を超えると、社会保険の被扶養者の認定を受けられなくなる

 
このうち、「扶養から外れる」ということに関係があるのは「103万円の壁」と「130万円の壁」です。「106万円の壁」については社会保険の加入対象になるということであり、「扶養から外れる」こととは少し異なります。
 
また、社会保険の加入対象の条件に「学生ではない」ことが含まれているため、大学生の子どもについて考えるとき、106万円の壁についてはそもそも考慮する必要がありません。したがって、以下では「103万円の壁」「130万円の壁」が令和7年度・令和8年度の税制改正によってどう変わった(変わる)のかについて解説します。
 

税制改正の影響で“年収の壁”はどう変わったのか?

そもそも「103万円の壁」と呼ばれている理由は、合計所得金額48万円と給与所得控除55万円の合計額が103万円になることにあります。扶養控除の適用を受けるためには「扶養親族の年間の合計所得金額が48万円以下であること」という要件を満たす必要があります。
 
収入が給与収入のみの場合、合計所得金額は年収から給与所得控除を差し引いて計算します。令和6年までは給与所得控除額の最低額が55万円であったため、合計所得金額48万円と給与所得控除55万円を足し合わせた金額が103万円になることから、「103万円の壁」と呼ばれていました。
 
令和7年度の税制改正により、この合計所得金額が「58万円以下」に、給与所得控除が「65万円」に引き上げられ、年収の壁は「103万円」から「123万円(=58万円+65万円)」に変わりました。
 
また、特定親族(同一生計の年齢19歳以上23歳未満の親族などで、合計所得金額が一定金額以下の控除対象扶養親族に該当しない親族)がいる場合、「特定親族特別控除」を受けられるようになりました。
 
特定親族の合計所得金額が85万円以下であれば、63万円(特定扶養親族がいる場合の扶養控除と同額)の控除を受けられるため、年収の壁は「103万円」から「150万円(=85万円+65万円)」に変わったといえます。
 
令和8年度の税制改正では、給与所得控除は4万円引き上げられ、「給与所得控除の最低保障額の特例」の創設により給与所得控除の最低保証額が5万円引き上げられます(特例による引き上げは令和8年と令和9年のみ)。
 
したがって、令和8年においては、この年収の壁が「132万円(=123万円+9万円)」、または「159万円(=150万円+9万円)」になります。
 
一方、社会保険における「130万円の壁」については、令和7年度の税制改正を受け、19歳以上23歳未満で扶養認定を受ける方の場合(被保険者の配偶者を除く)は、「150万円の壁」に変わりました。
 
以上のことから、大学生の子どもの年収が「110万円になりそう」であっても、特定親族に該当するのであれば、「扶養から外れる」ことはなく、「影響ない」といえそうです。なお、特定親族に該当するかどうかは、扶養認定日が属する年の12月31日時点の年齢で判定され、学生であるかどうかは要件に含まれません。
 

まとめ

本記事では「“扶養から外れる”とはどういうことか?」「税制改正の影響で“年収の壁”はどう変わったのか?」について解説しました。まとめると以下のとおりです。
 

・「扶養から外れる」には、「所得税の計算上、扶養控除を受けられない」という意味と「社会保険上、被扶養者の認定を受けられない」という意味がある
・税制改正の影響で、“年収の壁”は引き上げられた

 
大学生(その年12月31日現在の年齢が19歳以上23歳未満)の場合、合計所得金額が58万円以下であれば扶養控除として63万円、合計所得金額が58万円超85万円以下であれば、特定親族特別控除として63万円の控除を受けることができます。
 
合計所得金額85万円は、収入が給与収入のみの場合、年収にして150万円(令和7年)です(令和8年は159万円)。また、社会保険については年収が150万円未満であれば、被扶養者の認定を受けることができます。
 
本記事のテーマのように「今年(令和8年)の年収が110万円になりそう」であっても、年収の壁が引き上げられたことによって、扶養控除を受けることや社会保険の被扶養者の認定を受けることに影響はないといえます。ただし、税制改正の特例には時限的なものも含まれていますので、今後の税制改正には注視していきましょう。
 

出典

首相官邸 いわゆる「年収の壁」対策
財務省 税制改正の概要
国税庁 No.1180 扶養控除
国税庁 No.1177 特定親族特別控除
厚生労働省 社会保険の加入対象の拡大について
日本年金機構 従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き
日本年金機構 19歳以上23歳未満の方の被扶養者認定における年間収入要件が変わります
厚生労働省 社会保険の加入対象の拡大について
 
執筆者 : 中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

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