「子どもがいるのに賃貸に住んでいるの?」と言われました。やはりマイホームがないといけないのでしょうか?
確かに「子育て=持ち家」という価値観は根強くありますが、住宅は「感情」ではなく家計と人生設計で考えるべきものです。マイホームが妥当であるとみられる家庭もあれば、賃貸のほうが合理的な家庭もあります。そこで、「子どもがいても賃貸はアリなのか?」を冷静に考えてみましょう。
CFP(R)認定者
大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
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目次
持ち家か賃貸かを判断する基準≠子どもがいるかどうか
長年、「結婚したら家を買う」「子どもができたらマイホーム」という価値観が当たり前のように語られてきました。しかし、これは社会的なイメージであって、家計上の正解とはかぎりません。
実際には、子どもがいる世帯でも賃貸に住み続けている家庭は多く存在します。住まいは「所有すること」というより、「その時々の暮らしに合っているか」が重要です。他人の価値観だけで住宅購入を急ぐと、後々家計を圧迫するリスクがあります。
マイホームのメリットと負担
マイホームには、住宅ローン完済後の住居費が軽くなる、内装を自由にできる、資産として残る可能性がある、といったメリットがあります。一方で、住宅ローンは数千万円規模の長期債務であり、固定資産税、修繕費、管理費など、購入後も継続的な負担が発生します。
また、教育費が本格化する時期とローン返済が重なると、家計が一気に苦しくなるケースも少なくありません。持ち家は「安心」でもありますが、「固定費を増やす選択」でもあります。
賃貸のメリットは「柔軟性」と「リスク管理」
賃貸住宅の最大のメリットは、ライフステージの変化に対応しやすいことです。子どもの進学、転勤、親の介護など、想定外の出来事が数多く起こります。賃貸であれば、必要に応じて住み替えがしやすく、住宅ローンという大きな固定リスクを抱えずに済みます。
また、浮いた資金を教育費や老後資金、資産運用に回すことで、家計全体の安定性を高めることも可能です。したがって「賃貸=不安定」というのは、必ずしも当てはまるわけではないといえるでしょう。
判断基準は「住宅」ではなく「家計の資金計画」
住宅を買うべきかどうかは「子どもがいるか」ではなく、収入の安定性や貯蓄額、教育費の見通し、老後資金といった全体像で判断すべきです。例えば、相続で住まいを引き継ぐ予定がある家庭や、転勤の可能性が高い家庭では、無理に購入する必要はありません。
一方で、長期的に住む場所が決まっており、教育費・老後資金のめどが立っているのなら、マイホームは有力な選択肢になるでしょう。したがって、一概にどちらがよいとはいえないのです。
自分の家計とライフプラン・価値観で決める
「子どもがいるのに賃貸?」という言葉に、必要以上に振り回される必要はありません。住宅は見えや世間体で決めるものではなく、家族が安心して暮らし続けられるかどうかです。大切なのは、自分の価値観と家計に合った選択をすることが最も大切です。
モデルシミュレーション
持ち家と賃貸の標準的なモデルシミュレーションを、図表1にまとめてみました。
購入価格:4500万円
頭金:500万円
住宅ローン:4000万円(年間ローン返済135万円+修繕積立金30万円+固定資産税15万円)
金利:1.0%(固定)
返済期間:35年
家賃:月12万円 (1年あたり12万円×12+12万円更新料/2=150万円)
更新料:2年ごとに家賃1ヶ月分
修繕・固定資産税:なし
ただし、引っ越し代・家賃上昇分などは含まない
図表1
| 項目 | 持ち家 | 賃貸 |
|---|---|---|
| 年間住居費 | 約180万円 | 約150万円 |
| 30年総額 | 約5400万円 | 約4500万円 |
| 完済後・契約満了 | 住居は残る | 住居は残らない |
| 住み替え自由度 | 低い | 高い (引っ越し代・賃料アップリスク) |
| 固定費リスク | 高い | 低い |
(筆者作成)
図表1を参考に、今後のライフプランについて考えてみましょう。
執筆者 : 柴沼直美
CFP(R)認定者
