実家の母が現金「300万円」をタンス預金していると知ってビックリしました。本人は「銀行より安心」と言いますが、盗難や相続で困ることはないのでしょうか?
近年はキャッシュレス決済やネット銀行の利用が広がっている一方で、「銀行に預けるより自宅のほうが安心」と考える高齢者もいます。特に、災害時や銀行の経営不安などを心配し、現金を手元に置いておきたいと考える人もいるでしょう。
しかし、まとまった現金を自宅で保管することには、盗難や災害だけでなく、相続時のトラブルにつながるリスクもあります。家族としては、「本当にそのままで大丈夫なのか?」と不安になるかもしれません。
そこで今回は、タンス預金のメリット・デメリットや、相続時に注意したいポイントについてわかりやすく解説します。
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目次
タンス預金自体に問題はないがリスクもある
まず、タンス預金など自宅で現金を保管すること自体に問題はなく、実際に一定数の人が行っています。
ただし、銀行に預けずに自宅で保管する場合、さまざまなリスクを自分で負う必要があります。
代表的なのが盗難です。空き巣被害はもちろん、近年は高齢者を狙った特殊詐欺や訪問盗なども増えています。例えば、「市役所の者です」「銀行の確認です」などと言って自宅に入り込み、現金を盗むケースもあります。300万円もの大金が自宅にあると知られれば、犯罪被害に遭う危険性は高まるでしょう。
また、火災や自然災害のリスクも無視できません。銀行預金であれば、万が一通帳やカードを失っても再発行できます。しかし、現金は火事や水害で失われると、回収や補償が難しくなる可能性があります。
さらに、長期間現金を置いたままにすると、本人以外が保管場所を知らず、家族が見つけられないケースもあります。実際、相続後の自宅整理で現金が見つかるケースもあります。
相続時には「申告漏れ」とみなされる可能性も
タンス預金で特に注意したいのが、相続時の問題です。
現金を自宅で保管していても、亡くなった人の財産であることに変わりはありません。そのため、相続税の対象になります。
「銀行に預けていないから税務署にわからないのでは?」と思う人もいるかもしれません。しかし、相続税の税務調査では、被相続人の預貯金の流れや財産状況などが確認されることがあります。大きな出金があるのに使い道が不明な場合、「現金として自宅保管していたのではないか」と調査されることがあります。
もし相続税の申告時にタンス預金を含めなかった場合、後から申告漏れを指摘される可能性があります。その場合、本来の税金に加えて延滞税や加算税がかかることもあり、結果的に家族の負担が大きくなる恐れがあります。
また、現金は分けやすい反面、管理状況が見えにくい特徴があります。保管場所や金額、生前贈与の有無などが不明確だと、相続人間で認識の違いが生じることがあります。
特に相続では、遺産の範囲や分け方を巡って話し合いになるケースもあり、一部の家族しか現金の存在を把握していなかった場合、トラブルにつながる可能性があります。
高齢の親に無理にやめさせるより「見える管理」が大切
とはいえ、高齢の親世代の中には、「手元に現金を置いておきたい」と考える人も少なくありません。老後への不安や災害時への備えなどから、現金を保有することに安心感を持つケースもあります。
大切なのは、家族で冷静に話し合い、リスクを共有することです。
「もし急に入院したら誰も場所がわからない」「火災が起きたら失う可能性がある」など、具体的な場面を説明すると理解してもらいやすくなります。
また、すべてを銀行に預けるのではなく、「生活費として必要な分だけ手元に残す」という考え方もあります。当面の生活費として必要な範囲を自宅保管にし、それ以外は銀行口座や定期預金で管理する方法です。
なお、1つの銀行に全額を預けるのが不安な人向けに、複数口座へ分散する方法もあります。預金保険制度では、金融機関ごとに元本1000万円までとその利息が保護されるため、必要に応じて分けて管理するのも選択肢です。
タンス預金は安心感だけでなく家族への影響も考えよう
タンス預金は、自宅に現金があることで安心感を得られる一方、盗難や災害、相続トラブルなどのリスクも抱えています。特に300万円のようなまとまった金額になると、万が一の損失も大きくなります。
また、本人は問題ないと思っていても、相続時には家族が困るケースも少なくありません。現金の存在が不明だったり、申告漏れを疑われたりすると、精神的にも金銭的にも負担が増えてしまいます。
そのため、「タンス預金は絶対ダメ」と決めつけるのではなく、家族で情報を共有しながら、無理のない形で管理方法を見直すことが大切です。現金をどこにどれだけ置くのかを整理しておけば、本人も家族も安心しやすくなるでしょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
