パート退職時の給料から「クリーニング代」が勝手に天引きされていた…! 会社側の「就業規則に書いてある」は違法行為にならないのでしょうか?

配信日:
この記事は約 4 分で読めます。
パート退職時の給料から「クリーニング代」が勝手に天引きされていた…! 会社側の「就業規則に書いてある」は違法行為にならないのでしょうか?
退職時の最後の給料から、制服のクリーニング代として5000円を差し引かれることがあります。
 
金額が大きくなくても、事前に説明がなければ納得できないでしょう。賃金は、原則として全額を労働者に支払わなければなりません。会社が一方的にクリーニング代を天引きした場合、労働基準法上の問題が生じる可能性があります。
FINANCIAL FIELD編集部

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

給料は全額払いが原則で、勝手な天引きはできない

労働基準法第24条の規定にでは、賃金は通貨で、直接労働者に、全額を、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払う必要があると定められています。これは賃金支払の五原則と呼ばれます。
 
このうち大切なのが「全額払い」です。労働基準局監督課は、「全額払の原則は、賃金の一部を支払留保することによる労働者の足止めを封じるとともに、直接払の原則と相まって、労働の対価を残りなく労働者に帰属させるため、控除を禁止するもの」と説明しています。
 
会社は、労働者が働いて得た給料を、勝手に差し引いて支払うことはできません。もちろん、所得税、住民税、社会保険料、雇用保険料のように、法律で控除が認められているものは別です。また、労働者代表との書面による労使協定がある場合には、一定の費用を賃金から控除できることがあります。
 
しかし、労使協定もなく、本人の同意もなく、退職時に突然「制服のクリーニング代です」と5000円を差し引いた場合は、違法な天引きと判断される可能性があります。会社が「みんなそうしている」と説明しても、それだけで正当化されるわけではありません。
 

労使協定や就業規則に明記されているか確認する

制服のクリーニング代を労働者に負担させること自体が、すべて禁止されているわけではありません。たとえば、雇用契約書や就業規則に、退職時の制服クリーニング費用を本人が負担することが明記され、採用時に説明されていた場合です。
 
ただし、負担させることと、給料から天引きすることは別です。給料から差し引くには、原則として法令上の根拠か、賃金控除に関する労使協定が必要です。
 
そのため、まず確認したいのは、雇用契約書、労働条件通知書、就業規則、そして賃金控除に関する労使協定です。労使協定とは、個別の労働条件に関する取り決めのことです。パートだから確認できない、退職者だから見せてもらえない、というものではありません。自分の給料に関わる内容なので、会社に説明を求めましょう。
 
また、5000円という金額が実際のクリーニング代として妥当かも確認が必要です。会社が一律に5000円としているだけで、実際にはもっと安い費用で済む場合もあります。領収書や計算根拠を求めることは不自然ではありません。
 

納得できない場合は差額の支払いを求める

天引きに納得できない場合は、まず会社へ書面やメールで確認しましょう。
 
「退職時の給与から制服クリーニング代5000円が控除されていますが、控除の根拠となる規程、労使協定、実費の明細を確認させてください」と伝えるのがよい方法です。
 
感情的に「違法ですよね」と詰め寄るより、根拠を確認する形にすると、会社も対応しやすくなります。根拠がない場合は、控除された5000円の支払いを求めましょう。
 
会社が応じない場合は、給与明細、雇用契約書、退職時の書類、会社とのやり取りを持って、労働基準監督署や総合労働相談コーナーに相談できます。金額が小さいからといって、相談してはいけないわけではありません。
 
ただし、制服を返さなかった、著しく汚した、破損させたなどの事情がある場合は、別途損害賠償の問題になることがあります。それでも、会社が一方的に賃金から差し引けるとは限らないため、天引きの適法性とは分けて考えましょう。
 

まとめ

パートの退職時に、会社が一方的に制服のクリーニング代5000円を給料から天引きした場合、労働基準法上の問題が生じる可能性があります。賃金は全額払いが原則であり、会社が自由に差し引けるものではありません。
 
天引きが認められるには、法令上の根拠や賃金控除に関する労使協定が必要です。さらに、制服クリーニング代を本人負担とするなら、雇用契約書や就業規則などで事前に示されているかも重要です。
 
まずは会社に、控除の根拠と明細を確認しましょう。説明が不十分な場合は、控除された金額の支払いを求め、必要に応じて労働基準監督署へ相談することができます。最後の給料だからといって、納得できない天引きをそのままにする必要はありません。
 

出典

厚生労働省 賃金の支払方法に関する法律上の定めについて教えて下さい。
奈良労働局監督課 労使協定とは
厚生労働省 賃金不払いが発生したら迷わず労働基準監督署に相談、申告してください!
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

  • line
  • hatebu

LINE