家計改善でコロナ不況を乗り越えよう! 効果が出やすい見直しポイントとは?
配信日: 2020.10.12 更新日: 2024.10.10
そこで今回は、この危機を乗り切るため、家計の支出を効果的に見直すポイントを解説します。
執筆者:辻章嗣(つじ のりつぐ)
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士
元航空自衛隊の戦闘機パイロット。在職中にCFP(R)、社会保険労務士の資格を取得。退官後は、保険会社で防衛省向けライフプラン・セミナー、社会保険労務士法人で介護離職防止セミナー等の講師を担当。現在は、独立系FP事務所「ウィングFP相談室」を開業し、「あなたの夢を実現し不安を軽減するための資金計画や家計の見直しをお手伝いする家計のホームドクター(R)」をモットーに個別相談やセミナー講師を務めている。
https://www.wing-fp.com/
まずは光熱費と通信費を見直そう
家計の消費支出のうちで光熱費と通信費は、一度見直すとその効果が長く続きます。家計を改善するためには、まず光熱費と通信費を見直すことをお勧めします。
1.光熱費を節約するには
電気については、2016年4月から電力の小売りが全面自由化されています。それまでは、お住まいの地域を供給区域とする電力会社しか選択できませんでしたが、電力会社や料金メニューを自由に選べるようになりました(※1)。
また、都市ガスについても2017年4月から小売りが全面自由化されましたので、ガス会社を自由に選ぶことができるようになっています(※2)。
ところで、電気や都市ガスの会社を乗り換えると、大規模な工事が必要になると考えている方も少なくないと思いますが、配線や配管を変える必要はなく、メーターなどの交換だけで済みます。電気と都市ガスをパックで販売する会社もありますので、お住まいの地域で利用できる会社と料金メニューを比較検討されることをお勧めします。
なお、電力の自由化以前に契約したオール電化住宅用の料金体系など、電気料金を見直さない方が良いケースもありますので注意してください。
2.通信費を節約するには
固定電話や携帯電話などの通信分野においても、1985年に自由化が始まり、独占体制であった通信事業に多くの会社が参入するようになりました。5Gに代表されるように通信速度などの技術革新も日進月歩の様相を呈しています。
こうした状況下で各通信事業者はさまざまなサービスと料金体系を提供しており(※3)、プランや事業者を乗り換えることで通信費を節約できる場合もありますが、そのためには自分自身の利用状況をしっかりと把握することが重要です。
まず、通話とデータ通信のどちらを主に利用しているのか、毎月の通話時間とデータ利用量を確認しましょう。その上で自分に合った料金プランや、利用頻度の高いサービスをより安い料金で提供している事業者を探すことをお勧めします。
毎月支払う保険料を見直しましょう
公益財団法人 生命保険文化センターの調査(※4)によると、下図のとおり、世帯ごと(年齢別)に支払っている年間保険料の合計は23.3~48.3万円、年収に占める割合も4.1~8.5%と、家計の大きな負担になっていることが分かります。
そこで、必要な保障をより安い保険料で賄えるよう保険を見直すことをお勧めします。
1.同じ保障内容で保険料の安い保険に切り替えよう
まず、現在加入されている保険の保障内容と同等の保障を、より安い保険料で提供している保険はないか検討しましょう。比較検討の順序として、最初に勤めている会社が提携しているグループ保険などを利用できないか確認してください。次に、地域や職域で提供されている共済制度についても検討されることをお勧めします。
2.保険を見直すタイミングを忘れずに
現在加入されている保険の保障額は、あなたにとって必要な額になっていますか。死亡保障を例にとると、生命保険で確保すべき死亡保険金額は一般的に末子が誕生した時点がピークとなり、その後、子どもたちの成長に伴って下がっていきます。また、住宅ローンを組んで団体信用生命保険に加入された時点で、ローンの借入残高に見合う額を減額することもできます。
結婚や出産に伴って加入した生命保険は、子どもの成長やマイホーム購入などのタイミングで見直すことをお勧めします。
カードの利用方法を工夫しよう
利便性やポイントサービスの提供などにより、複数のクレジットカードを使い分けている人も多いのではないでしょうか。しかしながらクレジットカードは、その使い方にいくつか注意すべき点があります。
1.クレジットカードよりデビットカードを利用しよう
クレジットカードは支払った額を後日まとめて支払う後払い制度になっているため、ついつい使い過ぎてしまう傾向にあります。そこで、まずは利用可能額を適切に設定することが重要です。
さらに使い過ぎを防止するためには、利用と同時に口座から支払額が引き落とされるデビットカードや、事前に現金をチャージして利用するICカード、QRコード決済を利用されることをお勧めします。
2.リボルビング払いより分割払いやボーナス払いを利用しよう
クレジットカードでは、利用額にかかわらず毎月一定額を返済するリボルビング払いを利用することができます。この支払方法は毎月一定額の返済となるので一見便利なようですが、残金に対して15%ほどの利用料を支払う必要があります(※5)。
リボルビング払いは借金をして購入していることに変わりはありませんので、利用することはお勧めできません。もし高額の買い物をする場合は、手数料がかからない2回分割払いやボーナス一括払いを利用されると良いでしょう。
まとめ
家計の支出を効果的に見直すポイントは、まず光熱費と通信費です。
そして次に保険の見直しと、クレジットカードの利用方法を変えるなどの工夫してはみていかがでしょうか。
出典
(※1)経済産業省 資源エネルギー庁 あなたに合った電気を選べる時代へ。
(※2)経済産業省 資源エネルギー庁 都市ガスの小売全面自由化スタート!
(※3)総務省 平成27年版 情報通信白書 第1部
(※4)公益財団法人 生命保険文化センター 平成30年度「生命保険に関する全国実態調査」(平成30年12月発行)
(※5)金融広報中央委員会 知るぽると リボルビング払いとは
執筆者:辻章嗣
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士