更新日: 2021.11.24 年収

小学校から大学まで私立学校に子どもを通わせる親の平均年収とは?

小学校から大学まで私立学校に子どもを通わせる親の平均年収とは?
子どもにできるだけ良い学習環境を与えたいと考えたときに、進学先の候補となるのが私立学校です。しかし、私立学校には学費が高いイメージがあるため「わが家の年収で通わせられる?」と不安を感じる方もいるでしょう。
 
小学校から大学まで一貫して私立に通わせる場合、公立と比べて多くの費用が必要となるのが実情です。ここでは、私立学校で必要な学費と、実際に私立に子どもを通わせるご家庭の年収分布を紹介するとともに、学費を補える公的な制度もまとめました。費用がネックで子どもの進学に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

私立学校の学費はそれぞれいくらかかる?

 
文部科学省「平成30年度子供の学習費調査」および独立行政法人日本学生支援機構「平成30年度学生生活調査」の結果によると、私立学校の学費の平均はそれぞれ、次のような金額となっています。

《私立学校の学費》

●小学校:95万1802円
●中学校:107万5169円
●高等学校:71万9051円
●大学:137万3900円

※小~中は給食費含む

公立学校の学費と比べると、小学校では約9.5倍、中学校では約6倍、高校では約2.5倍、大学では約2倍の学費が必要です。塾や習い事、家庭学習などにかける費用を含めると、必要な金額はさらに大きくなります。
 

子どもを私立に通わせる人の年収はどれくらいが多い?

 
同調査によると、私立学校に子どもを通わせる親の年収で最も多い階層は、学校の種類ごとに次のとおりです。

●小学校:1200万円以上(49.4%)
●中学校:1200万円以上(35.5%)
●高等学校:600~799万円(20.6%)
●大学:600~700万円(10.8%)

非常に特徴的なのは、私立小学校、私立中学校に子どもを通わせる家庭は、高所得者層が中心であるということです。全体の割合を見ても、小学校では8割以上、中学校では7割以上が年収800万円以上の世帯で占めています。
 
高等学校になると、ピークが600~799万円に下がります。また、400~599万円の世帯が19.0%、800~999万円が20.0%と、小・中と比べて親の年収の偏りが少ないのも特徴です。
 
これは、私立高等学校の授業料に対して、公的な就学支援金制度があることと無関係ではないでしょう。現在は「私立高校の実質無償化」がスタートし、調査時よりもより支援が拡大されています。
 
大学の場合は、親の年収の平均額は871万円と高いものの、年収の分布に偏りはあまりありません。奨学金が利用できることや、学生本人がアルバイトをする選択肢があることなどから、家庭の収入にかかわらず私立を選択しやすいと考えられます。
 
以上を踏まえると、小学校から大学まで私立に通わせるには、公的支援がほぼない小、中期間の学費を払えるかどうかがカギとなるでしょう。平均的な年収は、小・中で大半を占める800万円以上であるといえそうです。
 

私立学校の学費の公的な支援制度はある?

 
私立小学校、私立中学校の学費を支援する公的な制度として、令和3年度現在、年収400万円未満の世帯の授業料を助成する「私立小中学校等に通う児童生徒への経済的支援に関する実証事業」が行われています。しかしこれは試験的に行われているもので、令和4年度以降の制度継続や新設は未定です。
 
このほかに市区町村が実施する就学援助制度もありますが、学用品の購入費用などを対象としており、授業料などを支援するものではありません。
 
高校生になると、次の制度を利用できるようになります。
 

■高等学校等就学支援金

これまでは年収約910万円未満の世帯に、公立高校の授業料額相当の11万8800円が支給される制度でした。しかし、令和2年4月より「私立高校授業料実質無償化」をうたう新制度に改正されました。
 
新制度では、元々の制度を引き継いだうえで、子どもが私立高校に通う年収約590万円未満の世帯に対しては、全国の私立高校の平均授業料を考慮した水準まで支給額が引き上げられています。
 
受給できる金額は、私立高校(全日制)の場合、上限額39万6000円です。
 

■高校生等奨学給付金

授業料以外の教育費を補助するもので、生活保護受給世帯や非課税世帯を対象としています。私立学校に在籍の場合、金額は5万100円~15万円です。
 
また、大学についても令和3年4月より「高等教育の修学支援新制度」の申請を受け付けています。
 

■高等教育の修学支援新制度

授業料・入学金の減免や給付型奨学金の支給を受けられる制度です。私立大学(昼間制)の場合は入学金約26万円、授業料約70万円が減免されるほか、最大7万5800円の給付型奨学金を受給できます。
 

子どもを一貫して私立学校に通わせる学費負担は大きい

 
子どもを小学校から大学まで一貫して私立学校に通わせるには、公立学校に行くのと比べて多額の教育費が必要です。いわゆる高所得に分類される年収がない家庭では、家計へかかる負担が非常に大きくなる可能性があります。
 
特に、小・中では公的な支援金などがほぼありません。そのため、年収が高くない家庭では就学前の十分な貯蓄が必要となるでしょう。公的な制度でどの程度費用を補えるのかも含めて、長期的な資金計画を立てることが大切です。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

LINE

PR
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集