更新日: 2021.11.25 年収

年収500万円と年収800万円、年金受給額は毎月約4.1万円しか変わらない? 一体どうして?

年収500万円と年収800万円、年金受給額は毎月約4.1万円しか変わらない? 一体どうして?
将来の年金額を調べていて、「年収500万円と800万円で受給額の違いはどれくらいあるのだろう」「受給額にあまり差がないように感じるけどどうしてだろう」など疑問を持っている方もいるのではないでしょうか。
 
老後資金の柱とも言える年金の仕組みについて理解しておくことは大切です。
 
ここでは、年金受給額の計算方法や、年収500万円と800万円の受給額の違いについて解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

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高橋庸夫

監修:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

厚生年金は年収が高いほど受給額が多くなる

 
厚生年金は、年収が高いほど受給額が多くなる仕組みです。厚生年金の受給額は、4月〜6月の給与や手当などの支給額平均に基づいて保険料の額が決まるからです。収入が高いほど厚生年金受給額も多く、低い場合は少なくなる可能性が高くなります。
 

年金受給額のシミュレーション方法

 
年金受給額のシミュレーションをするには「自分で計算する」「シミュレーションサイトを使う」などの方法があります。シミュレーションサイトを使うと簡単に年金額を算出できますが、計算方法も知っておくと年金額の仕組みについて理解が深まります。
 
ここでは、国民年金(老齢基礎年金)と厚生年金(老齢厚生年金)の受給額の計算方法について見ていきましょう。
 

国民年金(老齢基礎年金)

 
国民年金(老齢基礎年金)の受給額は、以下の方法で計算できます。
 
・年金額(満額)×保険料納付済月数÷480
 
令和3年度の老齢基礎年金の満額で78万900円(月額6万5075円)です。保険料納付済月数は、定額保険料を納めた月数になります。保険料免除期間がある場合は、以下の計算を行い、保険料納付済月数と合算します。
 

免除・納付内容 計算式
全額免除 免除月数×1/2
4分の1納付 納付月数×5/8
半額納付 納付月数×3/4
4分の3納付 納付月数×7/8

 

厚生年金(老齢厚生年金)

 
65歳以降で厚生年金を受け取る場合の受給額の計算方法は、次のとおりです。
 
・厚生年金受給額=報酬比例年金額+経過的加算+加給年金額
 
年金額の大部分が報酬比例年金額で決まります。報酬比例年金額は、過去の報酬や年金加入期間に応じて算出され、その計算方法は以下のとおりです。

・厚生年金加入時期が平成15年3月以前の場合

平均標準報酬月額×7.125/1000×平成15年3月以前の加入期間の月数
(平均標準報酬月額=平成15年3月以前の加入期間中の標準報酬月額の総額を平成15年3月以前の加入期間で割った額)

・厚生年金加入時期が平成15年4月以後の場合

平均標準報酬額×5.481/1000×平成15年4月以後の加入期間の月数
(平均標準報酬額=平成15年4月以後の加入期間中の標準報酬月額と標準賞与額の総額を平成15年4月以後の加入期間で割った額)

 
次に、特別支給を受けていた方が65歳に達した場合に支給される経過的加算の計算は以下の方法で行います。
 
・定額部分に相当する額−厚生年金保険に加入していた期間について受け取れる老齢基礎年金額
※定額部分は「1628円 ×1.000×被保険者期間の月数」
 
また、加給年金は、厚生年金加入期間が20年以上ある方が65歳になったときに、生計を維持されている配偶者や子どもがいる場合に加算される年金のことです。例えば、子どもが1人いて加給年金の条件を満たす場合、加給年金額は22万4700円です。
 
このような方法で厚生年金の受給額を計算できます。
 

年収500万円の年金受給額

 
では、年収500万円の場合、年金受給額はいくらになるでしょうか。三井住友銀行「年金試算シミュレーション」を用いて計算してみます。
 
・年金受給額:14.7万円/月
(厚生年金:8.3万円/月)
(国民年金:6.4万円/月)
※現在の年齢は40歳、23歳〜60歳まで就業し年収500万円、年金受取開始時期は65歳、すべて保険料納付をした場合
※独身で配偶者・子どもがいない場合
※概算のため実際の年金額とは異なる場合があります。
 
上記のとおり、年収500万円の年金受給額は厚生年金と国民年金を合わせて14.7万円/月です。
 

年収800万円の年金受給額

 
次に、年収800万円の場合の年金受給額を、三井住友銀行「年金試算シミュレーション」で計算してみます。
 
・年金受給額:18.8万円/月
(厚生年金:12.4万円/月)
(国民年金:6.4万円/月)
※現在の年齢は40歳、23歳〜60まで就業し年収800万円、年金受取開始時期は65歳、すべて保険料納付をした場合
※独身で配偶者・子どもがいない場合
※概算のため実際の年金額とは異なる場合があります。
 
上記のとおり、年収800万円の年金受給額は厚生年金と国民年金を合わせて18.8万円/月です。年収500万円の受給額より毎月4.1万円高くなります。
 

国民年金では差がつかないため年金額にそれほど大きな開きはない

 
年収500万円の年金受給額は14.7万円/月で、年収800万円の年金受給額は18.8万円/月、その差額は4.1万円/月です。年収には300万円の差があるにもかかわらず、年金額にはそれほど大きな開きはないように見えます。
 
厚生年金は過去の収入で年金受給額が変わりますが、国民年金は収入に関係なく保険料納付済月数などで受給額が変わる仕組みです。40年間保険料を全額納めていれば、国民年金の受給額は誰でも同じになります。
 
同じ加入状況であれば年収が高いほうが受給額は多くなりますが、国民年金の額で差がつかないため、それほど大きな差は開きません。自分の年金額はどれくらいになるのか気になった方は、シミュレーションなどを使ってぜひ計算してみてください。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

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