更新日: 2022.08.17 年収
【やりがい搾取!?】公立学校教員で部活動顧問の指導料をプロコーチ報酬として試算してみた!
部活動の指導をする教職員はどのぐらいの手当を受け取っているのでしょうか。また、教職員が本来受け取るべき指導料はどのぐらいなのか、スポーツ庁の調査等を基に解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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文部科学省が示した部活動手当の額は4時間3600円
公立中学校や公立高校の教員は平日の時間外手当は支払われず、代わりに給料に教職調整額が給料の4%分加算されています。そのため、平日に部活動の指導を何時間行ったとしても、残業代が支払われるわけではありません。また、休日に部活動の指導にあたる場合には、部活動手当という特殊勤務手当が支払われますが、教職員の時給だと考えると少なく感じるかもしれません。
公立中学校や公立高校の中には、外部の指導者を受け入れているところもあります。しかし、スポーツ庁の「平成29年度運動部活動等に関する実態調査」によると、公立中学校の外部指導員の35%、公立高校の外部指導員の15.4%がボランティアで指導を行っていて、有償であっても時給1500円未満が最も多くなっています。
外部指導員で時給5000円を超える人は、数えるほどしかいません。公立中学校や公立高校の教員は民間企業に勤める人と比べて給与はよい人もいますが、部活動指導のために支給されるお金は少なく、外部指導員であっても高い報酬を得ているわけではないのです。
スポーツインストラクターの平均時給は1007円
それでは、民間のスポーツインストラクターがスポーツの指導をすると、どのぐらいのお金をもらえるのでしょうか。厚生労働省職業情報提供サイト(日本版O-NET)の情報によると、スポーツインストラクターの平均年収は418.4万円となりました。文部科学省が示している部活動手当の額は時給換算すると900円なので、民間のスポーツインストラクターと比べて部活動手当は特別低いというわけではありません。
むしろ、公立中学校の教員の平均年収は667万5000円、公立高校の教員の平均年収は702万7000円なので、公立学校の教職員は民間のスポーツインストラクターの倍近くの年収を得ているのです。
部活動指導が「やりがい搾取」と言われる理由
スポーツインストラクターの給料を考えると、部活動指導にあたる教員の給与は決して「やりがい搾取」とは言えない額ですが、教員から不満が出る背景には休みが取れないなど別の原因があるかもしれません。
運動部に関わる教職員に土曜日と日曜日の指導頻度を尋ねたところ、公立中学校の教員の69.1%、公立高校の教員の66.3%が毎週土曜日に活動していると答えています。日曜日についても公立中学校の教員の22.4%、公立高校の教員の35.7%が毎週活動しているとしています。
一方、運動部を担当する教員の半数以上が、校務が忙しくて思うように指導できないことを悩みに感じていました。「やりがい搾取」と言われる原因は、お金だけではなく、教職員の働き方にあると言えるでしょう。
教員はスポーツインストラクターよりも高給
教職員は部活動の指導をしても残業代は出ませんが、その分給料に教職調整額が加算されていますし、休日に部活動指導をした際にもらえる部活動手当も、スポーツインストラクターの年収が約420万円であることを考えると極端に少ないわけではありません。それでも「やりがい搾取」と言われてしまうのは、部活動の指導をすることで仕事が忙しくなったり休みが取れなくなったりすることに起因していると言えるでしょう。
出典
スポーツ庁 運動部活動等に関する実態調査報告書
厚生労働省職業情報提供サイト(日本版O-NET) スポーツインストラクター
総務省 第5表 職種別職員の平均給与額
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部