更新日: 2022.10.14 年収

「正社員」なのに月給は最低賃金以下!これって違法ですか?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

「正社員」なのに月給は最低賃金以下!これって違法ですか?
地方から上京し、正社員として働き始めたAさん。最初は給料が多いと喜んでいましたが、物価の高い東京の生活に困るようになりました。そこで毎月の給与を労働時間で割ってみると、最低賃金以下になることが判明したのです。
 
正社員なのに月給が最低賃金と同じか、それよりも少ないのは違法でしょうか。また、Aさんは会社に最低賃金との差額を請求できるでしょうか。以下では、これらの点について解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

最低賃金より安い賃金は違法

労働者の生活を守るため、「最低賃金法」が制定されており、各都道府県は、この法律に基づき最低賃金額を決定しています。使用者がこの金額よりも安い賃金で労働者を働かせるとすれば、この法律に違反し、罰せられます。
 
また、仮に使用者と労働者が最低賃金よりも安い賃金で合意したとしても、それは無効で、両者は最低賃金で合意したものとして扱われます。そのため、労働者は最低賃金との差額を請求することができます。
 
なお、労働者が正社員であるか、非正社員であるかで違いは生じません。つまり、正社員でも非正社員でも、最低賃金以下で働かせることは違法です。
 

公式サイトで申し込み

【PR】みずほ銀行カードローン

mizuho

おすすめポイント

・<金利年2.0%~14.0%
・ご利用限度額は10万円から最大800万円
・さらに入会金・年会費は無料!24時間、WEB申込受付中!

融資上限額 金利 審査時間
最大800万円 年2.0%~14.0%※1 最短当日
融資まで 来店
最短当日 -
※1 住宅ローンのご利用で、本カードローンの金利を年0.5%引き下げます。引き下げ適用後の金利は年1.5%~13.5%です。

月給が最低賃金額を下回っているかどうかの判断

最低賃金額は都道府県単位で決定されます。例えば、2022年10月現在、東京都は最低賃金額を時給1072円としています。これは全国で最も高い額ですが、最も安い額は、青森県、秋田県、鹿児島県、沖縄県等の853円です。
 
Aさんのように給与が月給で支払われる場合は、「基本給と職務手当」を基に時給を算定します。なお、通勤手当、時間外手当、扶養手当、住宅手当等は除外します。
 
例えば、Aさんの基本給が15万円、職務手当が2万円の場合は、その合計額を12倍し、1年当たりの額を決定します。そして、それを年間の労働時間数で割り、時給を算定します。Aさんの1年間の労働日数が250日で、1日当たりの労働時間が8時間であれば、年間の労時間数は2000時間になります。
 
(17万円 × 12) ÷ 2000時間 = 1020円/時間
 
上の計算式のように、Aさんの1年間の基本給と職務手当(17万円 × 12)を2000時間で割ると、時給1020円になりますが、これは東京都の最低賃金額の1072円を下回っています。このような賃金は違法で、Aさんは最低賃金額の支払いを会社に求めることができます。
 
なお、最低賃金額は各都道府県によって決定され、Aさんが青森県で働くときは、同県の最低賃金額が適用されます。それは853円ですので、最低賃金額を上回っていることになります。
 

最低賃金制度の例外

各都道府県が決定する最低賃額金は、業種や職種、雇用形態にかかわらず、各都道府県内の事業所で働くすべての労働者と使用者に適用されます。しかし、精神または身体に障がいがあるため、労働能力が著しく低い人にも最低賃金を保障するとすれば、雇用機会を狭めてしまうおそれがあります。このような場合、使用者は各都道府県に最低賃金の減額を求めることができます。
 

最低賃金を下回る月給は違法


 
月給が最低賃金を下回っていないかどうかは、基本給と職務手当を時給に換算して判定します。その際には、時間外手当、通勤手当、住居手当、扶養手当等を含めない点に注意しましょう。また、最低賃金額は各都道府県によって決定されるため、都道府県間で異なる場合がある点にも注意が必要です。
 
労働者が正社員であるか、非正社員であるかを問わず、使用者が最低賃金より少ない賃金しか支給しないのは最低賃金法に違反し、許されません。ただし、最低賃金と同額にすることは許されています。そのため、最低賃金以下の月給は必ずしも違法ではありません(「以下」には同額が含まれるため)。
 
これに対し、最低賃金を下回る月給は、仮に労働者が同意したとしても許されず、使用者と労働者は最低賃金の支払いで合意したものとして扱われます。そのため、労働者は最低賃金との差額を使用者に請求することができます。
 

出典

厚生労働省 地域別最低賃金の全国一覧

 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

ライターさん募集