更新日: 2023.03.26 年収
年収1200万だと「児童手当」はゼロ円なんですか…? 子ども2人のために受け取りたいです
ところが、2022年10月分からは特例給付にも所得制限が設けられているため、年収が1200万円超の人は受け取ることができません。ただし、iDeCoに加入していれば受け取ることができる可能性があります。年収が1200万円を超える人は、iDeCoへの加入を考えてみてもいいかもしれません。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
児童手当は年収1200万円だと受け取ることができない?
児童手当は、中学校を卒業するまで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の児童の養育者が受け取ることができます。支給額や所得の要件は以下のとおりです。
・支給額
児童手当の支給額は、3歳未満の児童が月額一律1万5000円、3歳以上小学校修了前までの児童が1万円(第3子以降は1万5000円)、中学生が月額一律1万円です。
・所得制限
児童手当には所得制限が設けられています。そのため、養育者の所得が「所得制限限度額以上、所得上限限度額未満」の場合には、上記の金額は支給されません。その代わりに、特例給付として児童1人当り月額一律5000円が支給されます。
ただし、2022年10月からは特例給付にも所得制限が設けられているため、扶養親族等の数が3人の養育者の年収が1200万円で、所得が972万円を超えていると受け取れません。では、どうすればよいのでしょうか。対策の1つとして、iDeCoに加入して所得を減らす方法があります。
iDeCoってなに?
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、確定拠出年金法に基づいて国民年金基金連合会が運営している私的年金です。
・iDeCoに加入できる人
iDeCoには、国民年金の第1号・第2号・第3号被保険者と国民年金の任意加入被保険者が加入できます。
・iDeCoの仕組み
iDeCoは、運営管理機関が指定する運用商品を、自分で決めた掛金(上限あり)で運用します。月々5000円から始められ、掛金は1000円単位で自由に設定可能です。iDeCoの運用益で得た年金資産は、原則老齢給付金として60歳から受け取れます。受け取り方法は、「一時金」、「年金」、「一時金と年金の組み合わせ」の3種類です。
・iDeCoのメリット
iDeCoは、掛金が全額所得控除の対象で、運用益も非課税で再投資できます。また、一時金として受け取る場合には退職所得控除、年金として受け取る場合には公的年金等控除の対象になります。
iDeCoに加入すると年収1200万円でも児童手当が受け取ることができる?
扶養親族等の数が3人(児童2人と年収103万円以下の配偶者)で、年収が1200万円の養育者の場合、所得上限限度額は972万円です。そのため、このような条件に該当する人は児童手当の特例給付が受け取ることができません。
ただし、iDeCoに加入していると、扶養親族等の数が3人で年収が1200万円を超えていても、児童手当を受け取ることができる可能性があります。その理由は、iDeCoのメリットの1つである、掛金への全額所得控除の適用です。
・掛金の全額所得控除とは
iDeCoの掛金は全額が小規模企業共済等掛金控除の対象になります。小規模企業共済等掛金控除とは、納税者が個人型確定拠出年金などの加入者である場合に、その掛金の全額が所得控除の対象になる制度です。
・年収が1200万円でも児童手当が受け取ることができるかも
扶養親族等の数が3人で年収が1200万円の人であっても、所得上限限度額が972万円を超えなければ特例給付が受け取り可能です。iDeCoに加入して小規模企業共済等掛金控除の対象になれば、所得から掛金の全額が差し引かれます。
そのため、仮に年収が1200万円であっても、所得控除とiDeCoによる小規模企業共済等掛金控除後の所得が972万円未満であれば、特例給付の5000円を受け取ることができます。
誰もがお金の心配をせずに子育てできる社会を目指そう
児童手当の「所得制限限度額以上、所得上限限度額未満」に該当する人は、特例給付として5000円が受け取れます。ただし、2022年10月からは当給付にも所得制限が設けられているため、該当者は受け取ることができません。
例えば、扶養親族等の数が3人で年収が1200万円の人の所得上限限度額は972万円です。そのため、この条件に該当する人は児童手当が受け取ることができません。このような場合には、iDeCoに適用される小規模企業共済等掛金控除で所得税を減らすことによって、児童手当の受け取りが可能になる場合があります。
子どもが2人いて、配偶者が子育てのために所得を103万円以下に制限している場合などであれば、年収1200万円であっても生活は楽ではない場合もあります。収入に関係なく、誰もがお金の心配をしないで子育てができる社会を目指していきたいですね。
出典
内閣府 児童手当制度のご案内
iDeCo公式サイト
国税庁 No.1135 小規模企業共済等掛金控除
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部