更新日: 2023.07.04 年収
【実録】退職したら保育園を追い出される!? 公立保育園で受け入れてくれるのは「働く人」だけという事実
本記事では、育休明けに正社員を退職して、保育園を追い出されそうになった筆者の体験を紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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働かなければ保育園には居られない
筆者は昨年育休から会社員に復帰しました。共働きで子どもは3人です。しかし、復帰後に育児と仕事の両立ができず半年で会社を退職することになりました。
乳幼児を3人連れていると買い物や家事も満足にできないので、保育園は継続したいと考えていました。しかし、自治体に問い合わせると「仕事をお辞めになると保育園を継続することはできません」という回答で、待機児童がいる・いないにかかわらず、認可の保育園には通えないというのです。
求職中扱いにすれば「即退園」は避けられ短時間での保育を利用できますが、期間は限られています。自治体によって異なりますが、「1ヶ月から最大でも3ヶ月で次の職が決まる」ということが条件となります。
認可の保育園は「家庭で保育ができないとき、家庭に代わって保育する施設」です。ナーサリールーム・家庭保育室などの認可外保育施設は自治体の管轄外なので高い料金を支払えば通うことができますが、認可の保育園に通うには以下の「保育の必要性」が必要です。
●就労
●妊娠、出産
●疾病、障害
●介護・看護
●災害復旧
●求職活動
●就学
●虐待、DV
●他、児童を保育できないと認められるもの
利用事由が「就労」なら、必要な就労時間は月64時間で、6時間勤務を11日、あるいは4時間勤務を16日続ければいい計算です。実際には職場の求めに応じて働かなければいけないので、必ずしも64時間だけ働けばいいというわけにはいかないでしょう。
乳幼児をもつ「働く母」は6割以上
図表1
厚生労働省 国民生活基礎調査
厚生労働省によると、乳幼児の母親が働いている割合は60%に上ります(図表1)。0歳の子をもつ母であっても60%が働いているのです。末子が4~6歳になるともっと働く母親の割合は上がり、70%以上となります。
18歳未満の子どもがいる世帯では、総じて母親が働いている割合は75.9%です。1986年の調査開始以降、最も高い割合となりました。
保育園の利用者数は年々増え続けています。0歳のうちから保育園に入れておくのは、1歳から入所させるより確実に入れるからという理由もあります。第2子なら半額、第3子なら無料という保育料軽減措置もあり、幼いうちからでも保育園を利用しやすい状況になっています。
筆者が利用している認可保育園では全児童が80人います。0歳6人、1歳12人、2歳15人、3歳15人、4歳15人、5歳17人です。年齢が上がるにつれて人数が増えますが、年少以下が極端に少ないということはありません。
保育料は3人で月3万3000円
保育料は3人で合計月額3万3000円です。収入は第9階層(市民税所得割課税額16万9000円以上、30万1000円未満)にあたります。
第1子は4歳なので「3歳以上無償化」制度を利用し5万5000円が0円になります。無償化とはいえ、給食費5500円はかかります。第2子は第1子と同時に保育園に在籍している特典で半額の2万7500円、第3子は「多子世帯利用者負担額免除」の制度を利用し0円となっています。
保育園に預け続けるという選択
会社員を退職後、在宅ワークの道を目指して税務署に開業届を提出しました。保育園の利用は継続しています。幼い子どもを預けながら働くことに、いまだに世間からも厳しい意見がありますが、子どもには「働く母」の背中を見せていくつもりです。
在宅ワークは1社に雇われるのではなく、クラウドソーシングで案件ごとに請け負っています。仕事内容は多岐にわたり、事務仕事、お店のレビュー、中には漫画のレビューを書くというものもあります。在宅ワークであれば仕事の合間に家事をこなせ、雨が降ればすぐに洗濯物を取り込むことができます。
退職する際には「保育園を退園しなければいけない」とあわてないよう、求職活動・開業という選択肢があることを覚えておきましょう。
働かなくても保育園に預けられる世の中に
2023年6月、岸田内閣から「異次元の少子化対策」が発表されました。数々の少子化対策が予定されていますが、中でも注目しているのは「こども誰でも通園制度」です。
2024年度より、就労状況にかかわらず、月一定時間の保育施設利用が可能になるそうです。本記事で嘆いている「働かなければ保育園を利用できない」というのは過去のものになっていくことでしょう。
ただし今でも、保育園の「一時保育」や幼稚園の「預かり保育」で子どもを数時間預けることは可能で、無償化の対象にもなっています。数時間や数日という短い期間ではなく、誰でも・何日でも恒常的に預けられる制度が今後できることを期待しています。
出典
さいたま子育てWEB 幼稚園と保育園を探す 保育施設利用のてびき
厚生労働省 2021年 国民生活基礎調査の概況
内閣府 幼児教育・保育の無償化概要
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー