更新日: 2023.07.10 年収
憧れのフリーランスデビューから3年。年収280万円の29歳は「撤退」すべき?
26歳のときに独立し、今年で3年目を迎えたWebエンジニアのAさん(29歳)もその一人だ。Aさんの年収は約280万円で、食べるのに困るわけではないという認識だが、それでも将来のお金に関する不安は尽きず、撤退も視野に入れているという。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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撤退ラインより上か下か? 将来的な展望は?
Aさんいわく、撤退とは「会社員に戻る」ことであり、そのための条件としては、「現在と同じくらいの労働量で年収アップ」だ。副業も考えてはいるが、あくまでもプラスアルファという認識だという。Aさんの現在の労働時間は、1日平均で6~7時間、休日も1~2時間程度作業することが多く、丸一日休む日はあまりない。
Aさんがフリーランスを継続するか、撤退するかで迷っている大きな要因が、会社員と比べるとフリーランスの「年収」の定義がいまいち不確かで、撤退ラインよりも現状が上か下かですら把握できていないからだ。
「ビジネス系YouTuberとか、インフルエンサーのフリーランスの方々が発信している情報をよく参考にしているんですが、『稼ぎ』については意外と曖昧な表現をしているんですよね。月100万円! といってもそれが売り上げなのか利益なのか分からないし……。私は在庫を抱えない仕事なので、ほぼ売り上げ=利益だと思っているのです。ただ、社会保険や税引き後まで会社員と比較するのは難しいですし……」
Aさんは現在、実家で作業しており貯金は300万円ほど貯まっている。また、2~3年後には結婚も見据えて、一人暮らししたいという希望もある。年収280万円で30代を迎えた、フリーランスの仕事とプライベートをてんびんにかける「選択」のポイントとは?
収入は一般的水準でもデメリットも多くある
(一社)プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会の「フリーランス白書2023」によると、年収が400万円未満のフリーランスが約半数との結果だ。Aさんの年収は約280万円なので、一般的な水準といえる。また、フリーランスは業務に関する支出を経費計上できるため、会社員よりも節税の余地が大きいメリットがある。
Aさんは「ビジネス系YouTuberやインフルエンサーのフリーランスが発信する情報」を参考にしているが、自分の収入と他人の収入を比較することに意味はない。最終的な手取り収入で問題なく生活できていれば、現在の収入としては十分だ。
しかし、個人事業主は下記のように会社員よりも社会保障が薄いというデメリットがある。
●失業給付が受給できない
●厚生年金に加入できない
●健康保険に加入できない
●傷病手当金がない
また、国民健康保険には健康保険にある「扶養」の仕組みがない。結婚して配偶者が専業主婦(夫)になると、本人だけでなく配偶者も国民健康保険料を納める必要がある。今後、Aさんは所帯をもつことを視野に入れているため、家族の収入面や生活面の不安を解消する必要がある。Aさんは現在実家暮らしであるため、結婚後に現在の収入で同じ生活水準を維持できる保証はない。
フリーランスは働き方の自由度が高い一方で、収入が不安定になりがちな点は不安材料となる。現在の年収よりも稼げる見込みが薄い場合、将来を考えると「撤退」して会社員に戻ることも検討するとよいだろう。
まとめ
フリーランスから撤退して会社に戻るかどうかは、自分の生活を維持できるかどうかで判断すればいい。Aさんは、今後実家を出て結婚を見据えていることから、現在よりも支出が増えることは免れないだろう。
生活費が増えることと社会保障が薄い点を念頭に置き、撤退ラインを決めることが大切だ。フリーランスならではの魅力があるのは事実だが、家族の生活を守ることも意識するべきだろう。
出典
一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会 フリーランス白書2023
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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