更新日: 2023.08.07 年収
中国の「寝そべり族」のような「生活できるだけの収入」は、日本だと年収いくらに匹敵する?
そこで、中国の寝そべり族のような生活を日本で送るには、どれくらいの収入が必要となるのか考えてみます。
>>> 【動画で見る】中国の「寝そべり族」のような「生活できるだけの収入」は、日本だと年収いくらに匹敵する?
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
◆お問い合わせはこちら
https://www.secure-cloud.jp/sf/1611279407LKVRaLQD/
2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
目次
寝そべり族って何?
近年急速にメディアで取り上げられるようになった「寝そべり族」という言葉。聞いたことはあるけれど意味までは知らない、という方も少なくないでしょう。寝そべり族とは、明確な定義などはありませんが、おおむねその名のとおり、何もせず寝そべっているだけの生き方を選択している人の総称です。
近年中国では過当な受験戦争など競争社会としての在り方が過熱しています。それに嫌気が差して、労働や結婚、消費といったお金や努力を要することを忌避し、自分が日々だらだらするだけの日々を送るために、最低限のお金を稼ぐ労働だけをして生きるという若者が出てきました。このような生き方をしている人々が、寝そべり族といわれています。
日本では資産をためこみ、30代、40代と若いうちから早期リタイアし、その後は投資信託などの不労所得で最低限の生活費を得て自由に生きていく、あるいは、不労所得と最低限の労働所得で自由に生きる「FIRE (Financial Independence, Retire Early)」というスタイルが数年前から注目されています。寝そべり族とは、いわゆるこのFIREに近しいイメージです。
寝そべり族として生活できるだけの収入は日本でいうとどれくらい?
最低限のお金で生きる、寝そべり族としての生き方を日本で行う場合、必要なお金は地域によっても異なってくる部分があります。
最低限のお金という点に着目すれば、生活保護が思い浮かびます。生活保護によって支給される額は、その地域や家族構成に応じた最低限の生活費となっています(「寝そべり族のような生活」ということで、医療費がかからないなど生活保護特有の部分は考慮しない)。
生活保護費の支給額はお住まいの地域にもよりますが、例えば東京都の場合、独身の方であればおおよそ13万円前後の額になるでしょう。ここから考えると、手取り月収13万円程度の額があれば中国の寝そべり族のような生活ができる可能性があります。おおよそ毎月13万円前後で、年収に換算すると156万円に相当するでしょう。
月々13万円の収入を得るためであれば、東京都の最低時給1072円で働いたとして、121時間程度の労働が必要になります。週の労働時間に換算すると30時間程度になります。
仮に、金融資産で毎月13万円の不労所得を得ようとすると、年利5%で運用したとしても3120万円もの資産が必要になります(計算を簡略化するため配当金の支払時に約20%が源泉徴収されているものとし、配当控除など他の要素は考慮しない)。年利3%で運用するとなると、5200万円もの金融資産が必要となります。
消費をほとんどしない寝そべり族のような生活とはいえ、自身の収入で実現しようとするには一定のハードルがあるようです。
日本で寝そべり族となっても後悔する可能性がある
絶対ではありませんが、日本で寝そべり族となっても後悔する可能性があります。最低限の生活費で、働く時間も最低限となると、日々の生活に刺激がなく飽き飽きすることにもなりかねないからです。
また、最低限の消費しかできないことで日々我慢の連続となり、知らず知らずのうちにストレスがたまってしまう可能性や、予想外の物価高などによる支出の増加からお金が必要になり働こうとしたけれど、寝そべり族としての生活によってキャリアが断絶され、思うような職に就けないという可能性もあります。
実際、日本では「早期リタイアを達成したけれど後悔している」という声が時折メディアに取り上げられています。
寝そべり族のような生活ができる収入は、年収156万円程度に匹敵
中国の寝そべり族のような生活を送るのであれば、日本では年収156万円程度が必要であろうと想定されます。とはいえ、寝そべり族のような生活をしても、退屈な日々に飽き飽きしてしまい後悔する可能性もあります。
隣の芝生は青く見えるものです。寝そべり族のような生活は隣から眺める程度にとどめ、自身のライフスタイルを大切にした生活を、どう維持し、あるいは実現していくことができるか、前向きに考えてみてはいかがでしょうか。
出典
厚生労働省 【生保基準】最低生活費の算出方法(R4.4 )
執筆者:柘植輝
行政書士