収入と「孤独感」はどう関係する? 政府調査にみる「孤独感と収入」の関係

配信日: 2023.10.05

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収入と「孤独感」はどう関係する? 政府調査にみる「孤独感と収入」の関係
昨今、孤独や孤立を感じるという人が増えている状況です。 内閣官房孤独・孤立対策担当室の「孤独・孤立の実態把握に関する全国調査(令和4年実施)」では、2022年に「孤独を感じることのある人」は40.3%という結果が出ています。そのうち、強い孤独を感じているのは、男性が50代、女性が30代という傾向にあることが分かりました。
 
本記事では、孤独や孤立を感じる要因をはじめ、収入が孤独感と関係があるのかについて解説します。
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孤独の状況ついて

内閣官房は、令和4年に実施した「人々のつながりに関する基礎調査」にて、孤独の状況について調査しました。わが国における孤独・孤立の実態把握などを目的に調査を行い、全国の満16歳以上の個人2万人が調査対象者で回答を得たのは1万1218人です。
 
調査内の孤独の状況という直接質問にて、孤独感に関する回答の内容とその割り合いを以下のように伝えています。
 

●「しばしばある・常にある」と回答した人: 4.5%
●「時々ある」と回答した人:14.5%
●「たまにある」と回答した人: 17.4%
●「ほとんどない」と回答した人: 38.9%
●「決してない」と回答した人: 23.7%

 
そのうち、孤独感がもっとも高い状態にある「しばしばある・常にある」と回答した人を年齢別で見ると、30代が7.2%、20代が7.1%となっています。さらに、孤独感が「常にある」と回答した人が多かった年代が20代の47.9%、次に50代の46.2%と続きました。
 
孤独を感じた場合、解消するなんらかのきっかけがない限り、解消するのは難しいのかもしれません。
 

世帯収入と孤独感の関係

世帯の年間収入別孤独感を見ると、以下のように年収が低い世帯ほど孤独感が「しばしばある・常にある」と回答している割り合いが高いです。
 

●100万円未満:8.1%
●100万円~199万円:5.3%
●200万円~299万円:5.0%
●300万円~399万円:4.1%
●400万円~499万円:5.4%
●500万円~699万円:4.2%
●700万円~999万円:3.3%
●1000万円~1499万円:1.9%
●1500万円以上:3.2%

 
年収100万円未満で8.1%なのに対し、年収1000万円〜1499万円の世帯は1.9%という割り合いでした。また、経済的な暮らし向き別孤独感では、孤独感が常にあるという人のうち割り合いが高かったのは「大変苦しい」の14.2%です。
 
世帯収入が低いだけで孤独を感じている理由にはならないかもしれません。しかし、年収が低い世帯と高い世帯を比べると、低い世帯のほうが孤独を感じる人の割り合いは多い傾向にあるのは確かです。
 

孤独を感じる理由は収入だけではない

孤独を感じる理由は収入だけに限定されません。世帯構成別、年齢別、配偶者や同居人の有無など、収入以外の部分が孤独感と関係するケースも充分にあり得ます。
 
世帯構成別、年齢階級別、配偶者の有無別、同居人の有無別に、孤独感が「しばしばある・常にある」と回答した人の割り合いをまとめると図表1のとおりです。
 
【図表1】
 

世帯構成別孤独感 ひとり世帯:9.5%
夫婦のみ:3.3%
両親と子:3.9%
ひとり親と子:6.5%
親と子と孫:3.8%
その他:5.2%
年齢階級別孤独感 16~19歳:5.2%
20~29歳:7.1%
30~39歳:7.2%
40~49歳:5.9%
50~59歳:6.2%
60~69歳:3.9%
70~79歳:2.7%
80歳以上:2.3%
配偶者の有無別孤独感 未婚:9.7%
配偶者あり:3.0%
死別:3.1%
離別:8.8%
同居人の有無別孤独感 同居人がいる:6.3%
同居人がいない:11.7%

 
( 内閣官房孤独・孤立対策担当室の「孤独・孤立の実態把握に関する全国調査(令和4年実施)」より筆者作成)
 

孤独感と収入は関係しているがすべてではない

内閣官房孤独・孤立対策担当室の「孤独・孤立の実態把握に関する全国調査(令和4年実施)」から孤独の状況を確認したところ、孤独を感じることが「しばしばある・常にある」と回答したのは世帯の年収が低い世帯よりも、高い世帯のほうが少ない結果でした。
 
孤独を感じる要因に収入も含まれると考えてもよいですが、同調査を見ると、1人世帯や未婚、同居人がいないといった理由も孤独感と関係する可能性が高いです。そのため、収入だけが孤独感と関係するわけではないことが分かるのではないでしょうか。
 

出典

内閣官房 孤独・孤立対策担当室 人々のつながりに関する基礎調査(令和4年)

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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