社会人3年目、25歳で無理をして「Jeep」を購入しました。年収350万円でも長く所有できますか?
配信日: 2023.10.27
そこで、社会人3年目で25歳、年収350万円の方が輸入SUV車として人気がある「Jeep」(以下ジープ)を購入した例を基に、その後、長く所有ができるか考えていきます。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
目次
ジープの車種ごとの購入時にかかる費用と維持費の例
ジープにもいくつかの車種があり、どれを選ぶかによって維持費は大きく変わります。参考までにプラグインハイブリッド車の「Renegade 4xe」の例で考えてみましょう。
こちらはエコカー減税(適用期間は令和8年4月30日まで)の対象となるので、適用期間内は自動車重量税が100%減税されるほか、購入時にかかる環境性能割も非課税、またグリーン化特例(適用期間は令和8年3月31日まで)により新車登録した翌年度の自動車税が75%減税と税制優遇が受けられます。
そのため、税金面における購入時の費用および維持費について、各種特例や優遇措置の適用を受けられる期間は抑えられるようになっています。
とはいえ、車の維持費は決して安くはありません。車検代として2年ごと(初回のみ3年間)に9万5850円(基本料金7万5900円に法定費用として24ヶ月分の自賠責保険料1万7650円と印紙代2300円※指定工場以外では1200円)がかかります(ただし、初回の検査では自賠責保険料は36ヶ月分の2万6475円)。
2回目からの車検を指定工場以外で行った場合の費用を月額に換算すると、およそ4000円です。
また、メンテナンス費用として2万3980円のオイル&フィルター交換を半年に1回行った場合は月額換算で約4000円、さらに法定12ヶ月点検の料金で3万800円がかかり、月額換算では2600円程度となります(いずれもジープのアフターサービスの料金で試算)。こうした費用の合計だけでも、おおむね毎月1万円程度はかかる見込みです。
それに加えて駐車場代や燃料代、任意で加入する自動車保険の保険料などを考慮すると、地域や年齢、走行距離によっては5万円以上が上乗せされることもあり、毎年かかる自動車税を除いても月額換算で10万円近い維持費が生じるケースもあるでしょう。
もちろんローンを組んで購入した場合、維持費のほかに月々のローンの支払いも生じます。
年収350万円で車の維持は意外と大変
年収350万円で車を所有する場合、例えば実家暮らしであれば維持は可能かもしれませんが、一人暮らしでは大変かもしれません。
年収350万円を月収に換算すると約29万1600円です。仮に手取りを80%で計算した場合は23万3000円程度です。仮に車の維持費として毎月10万円がかかっても、実家暮らしであれば生活していくことは十分に可能でしょう。
しかし、賃貸住宅で一人暮らしをしているケースでは、同じく車の維持費に毎月平均10万円がかかる場合、残った13万円程度のお金で家賃をはじめとする生活費のすべてを賄うことになり、地域などにもよりますが日々の生活はかなり苦しくなることが想定されます。
参考までに、総務省統計局の家計調査報告(2022年)によると、34歳以下の単身世帯での1ヶ月の消費支出は平均で約15万8000円です。統計を基に考えた場合でも、1人暮らしで車を所有・維持するには他の支出を相当節約する必要があるでしょう。
ジープはリセールバリューが高いので将来の売却も視野に
現状は何とか車を所有できていても、長期間で維持していくとなると話は別です。例えば今後、思うように年収が上がらず、車の維持費を捻出するだけで苦しい生活が続く可能性もあります。
また、長期的にみると25歳という年齢は、人によっては結婚や子育てなど将来について考えるようになるタイミングです。特に現状でジープを所有するための維持費を高額と感じているような場合、ライフステージが変わって別の支出が増えることを考慮すると、長期間での所有はさらに難しくなるでしょう。
なお、ジープはリセールバリューが高い車といわれています。維持費などの負担が大きい場合は売却する、または維持しやすい他の車への買い替えも視野に入れるべきでしょう。
年収350万円でジープを買っても長く所有するのは大変
ここでは「Renegade 4xe」という車種を例にジープの維持費などについて考えてみました。
25歳で年収350万円でも、実家暮らしや駐車場代が安いなどの条件次第ではジープを長く所有することは可能かもしれません。しかし、ジープに限らず車の維持費は月額換算で10万円を超える場合もあります。
毎月または定期的に発生する維持費の負担が大きい場合や、結婚や子育てなど今後のライフイベントによっては、長期で所有することは現実的ではないかもしれません。
25歳という若さでジープの長期所有を考えるのであれば、家計を節約するほか、収入アップを図るなど、維持費を無理なく払っていけるような努力を続けていくことも必要といえるでしょう。
出典
Jeep Renegade 4xe 補助金について
e-Stat 家計調査 家計収支編 単身世帯
執筆者:柘植輝
行政書士