「年収1000万円」を達成しましたが、税金などでここからいくら引かれますか?
配信日: 2024.03.11
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
年収1000万円を稼ぐ人の割合はどれくらい?
国税庁の「令和4年分民間給与実態統計調査」によれば、年収1000万円超から1500万円以下の給与所得者の数はわずか4%です(男女計)。もちろん厳密に1000万円ちょうどを稼ぐ人の人数を抽出しているわけではありません。そのため正確ではない部分もありますが、それでも全体の4%程度というごく少数であることが分かります。
年収1000万円はどれくらいの金額が引かれて手取りはどれくらいになる?
年収1000万円から引かれる税金や社会保険料については200万円から250万円程度だと推測されます。手取りにすると750万円から800万円程度です。
年収1000万円に対する手取りがいくらになるのかを一概に決めることは簡単ではないのが現実です。なぜなら、税金や社会保険料は家族構成や節税策の有無など諸般の事情によって大きく変わるからです。
一般的な収入である400万円から500万円程度であれば、手取りは収入全体の80%から85%程度になります。ですが、年収1000万円の場合、それよりも低く75%から80%程度となるでしょう。
その理由は累進課税にあります。日本は収入が高ければ高いほど税率も高くなる「累進課税」という課税方式を採っているため、収入が高いとその分かかる税金も大きくなるわけです。
その一例として分かりやすいものに所得税があります。国税庁「No.2260所得税の税率」を参考にみると、所得税は年収400万円から500万円程度の人であれば20%の税率ですが、年収1000万円になると33%とかなり高い税率になることが分かります。
このような理由から、税率が上がることでその分手取り額が低くなってしまう、と考えられます。
年収1000万円でも生活は楽でないこともある
年収1000万円を稼ぐ給与所得者は、全体の4%程度のごく少数であり、高所得者といえるでしょう。しかし、その生活は思ったほど楽ではない可能性もあります。それは先に述べたように引かれる税金の額が大きく思ったほど手取りが残らないからという以外にも、各種助成の対象外になることがあるという点にあります。
その一つに高校無償化があります。高校無償化は「年収910万円まで」が一つの目安となっています。さらに、児童手当においても家族構成によっては所得制限限度額に達してしまい、1人当たり月額1万円から1万5000円もらえるところ、一律5000円になってしまうことがあるようです。
先のように高い税率が適用され、さらには平均的な世帯であれば受けられる支援も受けられないことも珍しくありません。そのため、人によっては年収1000万円を達成しても生活は思ったほど楽にならない可能性もあります。
まとめ
年収1000万円の手取りは750万円から800万円程度となるため、おおむね200万円から250万円程度が引かれる可能性があるでしょう。
しかし実際に引かれる額は、家族構成や節税策の有無など諸般の事情によって異なるため、年収1000万円なら誰でも手取りが同じになるわけではありません。
とはいえ、年収1000万円は全体の4%程度と限られた高所得者といえます。税負担が重いと感じたら節税策を実施して税負担を軽くすることをおすすめします。
出典
国税庁
長官官房企画課 民間給与実態統計調査-調査結果報告-
No.2260 所得税の税率
執筆者:柘植輝
行政書士