更新日: 2024.03.15 年収

「夫婦の片方が年収1000万」と「500万ずつ稼ぐ夫婦」ではどちらがお得でしょうか?

「夫婦の片方が年収1000万」と「500万ずつ稼ぐ夫婦」ではどちらがお得でしょうか?
夫婦の片方が働く「片働き年収1000万円」と夫婦が500万円ずつ稼ぐ「共働き年収1000万円」は世帯年収として考えると同じ1000万円です。しかし、実際に家庭に入る所得として考えると差が生じます。この記事では、片働き年収1000万円と共働き年収1000万円の所得の差を、税金や所得制限の観点から紹介し、どちらがお得なのかを解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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年収500万円の人と年収1000万円の人の健康保険料と厚生年金保険料

年収500万円の人と年収1000万円の人とでは控除される社会保険料額や課せられる税金額が違います。具体的な数字を算出するために、年収からボーナスを差し引いて、月収を大まかに計算してみます。
 
年収400万円超500万円以下の平均賞与は69万円なので、年収から賞与を引いて12ヶ月平均にすると(500万円-69万円)÷12で月収約36万円となります。年収900万円超1000万円以下の平均賞与は198万1000円なので(1000万円-198万1000円)÷12となり、月収は約66万8000円となります。
 
この数字をもとに、モデルとなる人物が東京都在住(介護保険第2号被保険者に該当しない)だと仮定すると、健康保険料は年収500万円のケースで月額1万7964円(25等級)、年収1000万円のケースで月額3万3932円(36等級)となります。
 
ボーナスにかかる健康保険料は、年収500万円の人で3万4431円、年収1000万円の人は9万8852円です(賞与額から1000円未満の端数を切り捨てた額に保険料率9.98%を乗じた数の半分)。健康保険料の年額は、年収500万円の人は24万9999円(月額1万7964円×12+3万4431円)、年収1000万円の人は50万6036円(月額3万3932円×12+9万8852円)となります。
 
厚生年金保険料は年収500万円のケースで月額3万2940円(22等級)、年収1000万円のケースで月額5万9475円(32等級)です。
 
ボーナスにかかる厚生年金保険料は年収500万円の人で6万3135円、年収1000万円の人は13万7250円(賞与額から1000円未満の端数を切り捨てた額に保険料率18.3%を乗じた数の半分、月間150万円上限に当てはまるとする)です。
 
厚生年金保険料の年額は、年収500万円の人は45万8415円(月額3万2940円×12+6万3135円)、年収1000万円の人は85万950円(月額5万9475円×12+13万7250円)となります。
 

年収500万円の人と年収1000万円の人の所得税額

所得にかかる主な税金は所得税です。所得税は年収から給与所得控除と基礎控除(48万円)、社会保険料等を差し引いた所得に対して課せられます。給与所得控除額は年収500万円の人で144万円(収入金額×20%+44万円)、年収1000万円の人で195万円(上限)です。
 
上で算出した年間の社会保険料をもとに計算すると、年収500万円の人の課税所得は、500万円-(給与所得控除144万円+基礎控除48万円+健康保険料24万9999円+厚生年金保険料45万8415円)で、237万1586円となります。
 
年収1000万円の人は1000万円-(給与所得控除195万円+基礎控除48万円+健康保険料50万6036円+厚生年金保険料85万950円)で、621万3014円です。所得税の速算表を用いて計算すると、所得税は年収500万円の人で、13万9600円(237万1000円×10%-9万7500円)、年収1000万円の人で81万5100円(621万3000円×20%-42万7500円)となります。
 

年収500万円の共働き世帯と年収1000万円の片働き世帯の世帯所得

算出した社会保険料(厚生年金保険料、健康保険料)と所得税を用いて、年収500万円の共働き世帯と、年収1000万円の片働き世帯の世帯所得を比較してみましょう。
 
年収500万円の共働き世帯は、年収500万円から所得税13万9600円、健康保険料24万9999円、厚生年金保険料45万8415円が引かれるため1人あたりの所得は415万1986円です。
 
世帯所得に直すと830万3972円となります。年収1000万円の片働き世帯は、年収1000万円から所得税81万5100円、健康保険料50万6036円、厚生年金保険料85万950円が引かれるため、所得は782万7914円となります。
 

年収500万円の共働き世帯のほうが税制面でお得

夫婦の片方が働く「片働き年収1000万円」と夫婦が500万円ずつ稼ぐ「共働き年収1000万円」は世帯所得で考えると共働き世帯の方がお得です。特に所得税の差が大きく、共働きで世帯年収1000万円の家庭が27万9200円(13万9600円×2人)なのに対し、片働き年収1000万円世帯では81万5100円を課せられます。
 
このほかに住民税や雇用保険、40歳以上の場合は介護保険料なども考慮しなければなりませんが、年収が2倍になると税金も2倍になるというわけではない、と覚えておきたいものです。
 

出典

国税庁 標本調査結果 民間給与実態統計調査結果
国税庁 標本調査結果 民間給与実態統計調査結果 統計表全国計表その7 累年比較(平均賞与)
日本年金機構 厚生年金保険料額表
協会けんぽ 令和6年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表
国税庁 No.2260 所得税の税率
国税庁 No.1199 基礎控除
国税庁 No.1410 給与所得控除
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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