更新日: 2024.03.27 年収
転職先の雇用契約に「賞与月数:1.5」という記載が。前の職場は「夏冬:各2ヶ月」でしたが、賞与月数はこんなに違うものなのでしょうか?
本記事では、賞与の基本知識(支給金額、支給時期、支給形態)を押さえたあとで、支給月数と支給額の違いについて、詳しく見ていきましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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賞与の基本知識
賞与は従業員に対する追加報酬として、定期給与とは別に特定の時期に支給されます。この特別給与は、従業員の努力を認め、企業収益の一部を還元することが目的です。法律で定められた支給義務はなく、企業の裁量により支給額やタイミングが決定されます。
・支給金額
賞与支給の実態はさまざまで、従業員の基本給に基づいた額を支給する方式から、業績連動型で変動する方式まで存在します。前者の例でいえば、基本給の数ヶ月分相当を年に2回、夏と冬に支給するケースがあります。この場合、基本給が30万円の従業員が2ヶ月分の賞与を受け取ると、賞与総額は60万円です。
・支給時期
賞与の支給時期は、企業により異なります。年2回、夏と冬の業績を踏まえて支給される形が一般的です。支給時期を定める際、企業は資金繰りや従業員のモチベーション維持など、複数の要素を考慮する必要があります。
・支給形態
賞与の形態は主に、月給の〇ヶ月分などといった形で賞与支給額が決定される「基本給連動型賞与」や、企業の業績に応じて変動する「業績連動型賞与」、決算時の企業業績を反映した「決算賞与」、従業員への感謝を表す形で支給される「寸志」の4通りがあります。
特に業績連動型賞与の場合は、企業の売上高や利益率が支給額に影響を及ぼすので、良好な業績時には支給額が増える可能性があります。
さまざまな形態と支給基準を持つ賞与は、従業員にとって重要な収入源の一つです。企業側は、賞与制度を通じて従業員の士気を高め、長期的な企業成長に寄与する人材を確保しようと努めます。賞与の適切な運用は、良好な企業文化を形成し、従業員の満足度を向上させる重要な要素となるでしょう。
賞与の支給月数と支給額:産業別・企業規模別
賞与の支給月数や支給額は、業界や組織の規模によって異なります。厚生労働省の勤労統計調査「令和4年の年末賞与の支給状況」のデータをもとに考えてみましょう。
・産業別
事業所規模5人以上で産業別に見ると、電気・ガス業、複合サービス事業が1.76ヶ月分、金融業,保険業が1.60ヶ月分となっています。ちなみに、支給金額ベースでは、電気・ガス業80万5880円、情報通信業66万2768円、学術研究等63万4606円がトップ3です。
この結果では、エネルギー関連業界や金融業界での支給月数が多くなっています。また、支給月数では1.29ヶ月分にとどまる情報通信業ですが、支給金額では66万2768円であることから基本給の高さがうかがえます。
・従業員規模別
調査結果によれば、従業員数が少ない中小企業では、賞与の平均支給額が限られ、かつ賞与が支給される労働者の割合が低くなっています。事業所規模5~29人では、賞与の平均支給額が27万4651円です。
しかしながら、全員に支給されているわけではなく、雇用者の68%にとどまっています。これは、資金繰りの難しさや収益性に限界があるためと考えられます。
一方、大規模な企業では、状況は大きく異なります。従業員数500名を超える企業では、平均支給額は64万2349円です。また、支給割合も97%を超えています。これは、規模の大きな企業が安定した収益を背景に、より多額の賞与を支給できることを示しているといえるでしょう。
賞与の支給月数や金額は産業や規模で変わる
厚生労働省のデータから、賞与の支給月数は、従業員の在籍する産業や企業の規模によって変動することが分かりました。支給月数や支給金額は、それぞれの企業が抱える経済的背景や戦略、業界内の慣行など複数の要因によって形成されます。
転職の際などにはこのような情報を参考にすると、将来の資産形成に役立つことでしょう。
出典
厚生労働省 毎月勤労統計調査 全国調査 年末賞与 2022年
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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