息子が青森を出て「東京の地方公務員」を目指すと言っています。「国家公務員」でなければ、そこまで給与は変わりませんよね? 地元のほうが家賃も安く“貯金”もしやすいと思うのですが…

配信日: 2024.07.31

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息子が青森を出て「東京の地方公務員」を目指すと言っています。「国家公務員」でなければ、そこまで給与は変わりませんよね? 地元のほうが家賃も安く“貯金”もしやすいと思うのですが…
子どもが地方公務員を目指すとなれば、「安定した職に就いてくれる」と安心する気持ちを持つ親も多いかもしれません。ただ、地方から出て都会の地方公務員を目指す場合は、給与面や生活費の差について疑問を抱くこともあるでしょう。本記事では青森と東京で地方公務員として働くことを想定し、給与や家賃を比較します。

地方公務員の給与に差はある?

公務員の給与は地域や役職、学歴などによって異なります。本記事では一般行政職を想定し、青森県職員と東京都職員を比較しましょう。
 
総務省の「令和5年 地方公務員給与実態調査」によれば、勤務年数が1年未満の職員の1ヶ月当たりの平均給与は次のとおりです。
 

【勤続年数1年未満】

青森県職員:18万5011円
東京都職員:18万3460円

 
青森県職員の方がやや月額給与が高いですが、ほとんど差はないことが分かります。
 
しかし、勤続2年以上からは東京都職員の給与がやや上回るようになります。勤続15年以上20年未満になると、職員の1ヶ月当たりの平均給与は次のとおり差がつきます。
 

【勤続年数15年以上20年未満】

青森県職員:29万6458円
東京都職員:33万9882円

 
東京都職員の方が給与は高く、月額給与の差は約4万円となります。
 
さらにここからは、賞与を加味した年収で比較してみましょう。地方公務員の賞与は多くの場合、国家公務員の支給基準に基づいて支給されます。
 
人事院の「令和5年 給与勧告の骨子」によると、国家公務員の2024年度6月期の期末手当・勤勉手当は給与月額の2.25ヶ月分で、年間では4.50ヶ月分となっています。これに基づけば、地方公務員の年収は次のとおりに計算されます。
 
月額給与×12ヶ月+月額給与×4.5ヶ月
※1000円未満切り捨て、地域手当や役職段階別加算額は含まずに計算
 

【勤続年数1年未満】
青森県職員:305万2000円
東京都職員:302万7000円
 
【勤続年数15年以上20年未満】
青森県職員:489万1000円
東京都職員:560万8000円

 
勤続1年未満であればほとんど差がありませんが、勤続年数が15年以上になると東京都職員の方が、年間約70万円以上収入が多くなることが分かります。
 

青森と東京の生活費の差は?

次に青森県と東京都の生活費を比較してみましょう。ここでは生活費の多くを占める家賃を例に挙げます。不動産・住宅サイト「 SUUMO(スーモ)」によると、双方の家賃相場は次のとおりです。
 

【ワンルームの家賃相場】

青森県青森市:約4万円/月
東京23区:約5万6000円~10万9000円/月

 
家賃の差が大きいことからも分かるとおり、青森県より東京都に住む方が生活に関する支出は増える可能性があります。ただし、地方では車を持たないと移動が不便というケースも多いでしょうが、都市部では公共交通機関で間に合うことが多く、車の購入費や維持費を考えると、都会に住んだ方が割安というケースもあります。
 
いずれにせよ生活費は個人によって大きく変化するものです。地方に住んでいるからといって必ずしも支出が抑えられ、貯金ができるとも限りません。上京しようと思う場合、まずは自分の生活スタイルを考慮した上で生活費を試算してみると良いでしょう。
 

給与と生活費のバランスを考えよう

地方公務員の給与は地域によって異なります。勤続年数が短いうちはそこまで大きな差がないといえますが、勤続年数が長くなるにつれて青森県よりも東京都の方が給与は多くなります。生活費は高くなってしまう可能性がありますが、住む場所を工夫することで家賃は抑えられるでしょう。
 
働く上で重要なのは、目の前の給与だけではありません。長期的な収入の見込みも視野に入れることが大切です。都会の刺激や多種多様な人との交流を望み、都会に出たいと思う人もいるでしょう。
 
長期的な視点を持ちながら、どうなりたいのか、何を望むのかをしっかり考えて決断しましょう。
 

出典

総務省 令和5年 地方公務員給与実態調査結果の状況
人事院 令和5年 給与勧告の骨子
 
執筆者:山田麻耶
FP2級

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