更新日: 2024.08.19 年収
30歳年収400万円で、専業主婦希望の人との結婚は難しいでしょうか? 婚約者は会社員ですが、出産後は専業主婦になりたいと言っています。
執筆者:柴沼直美(しばぬま なおみ)
CFP(R)認定者
大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
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年収400万円でも妻子を養うことは可能
結論から言うと「妻子を養うこと」は可能です。
当然、しっかり毎月の家計を運営していく必要があります。
3年ごとに総務省が実施している国民生活基礎調査の直近のデータ(2022年7月現在)の全世帯での平均所得は545.7万円となっています。
所得はざっくり年収の8割とイメージしていただければいいですが、これと比べると年収400万円の場合、所得(手取り)で320万円、月額約26万円となります。こちらは、直近のデータで総務省発表の家計調査(2024年5月10日公表分)で概要がわかりますが、2人以上の消費支出は月間約32万円となっています。
なお、自動車等購入、仕送りや贈与を除いた消費支出について別途約27万円との注釈も記載してあります。これを参考にして考えると、実現可能といえるでしょう。平均値を6万円(あるいは1万円)下回る支出にするにはどうすればいいか考えてみましょう。
節約できる項目の洗い出し
では具体的に、一般的な消費支出よりも抑えた家計運営をするにはどうすればいいかは、消費支出の内訳を見て項目を洗い出しましょう。
2人以上消費支出の内訳(2024年3月)
内訳で見ると、食費と交通・通信費の構成比が高くなっています。なお、水道光熱費は2024年6月から補助金が終了になって大幅値上げが見込まれています。ここは値上げ後の状況が見えてくるまで、しばらくはコントロールが難しいと認識してください。
工夫しだいで1番抑えることが可能と思われる交通通信費、とくに携帯電話の月額使用料金について見直してみてはどうでしょうか。キャンペーンプログラムを各社展開しているので、見比べてみて今使っているものよりもリーズナブルで利便性は遜色ないものがあれば、そちらへの乗り換えも検討できるでしょう。
次に食費です。ここを抑える必要がある場合、検討できるのが「外食」「コンビニ利用頻度」です。外食は、家族で出掛ける場合など特に「外食をする」という目的をもって出掛けるので、「頻度を落とす」ということは意識すれば難しくないでしょう。
これに対してコンビニはどこにでもあり、いつでも営業していて、なんでもそろっているので、つい立ち寄ってさほど必要ないものを意識せず購入してしまいがちです。また、1回の購入金額もそれほど高額でない場合が多いのですが「ちりも積もれば山となる」で、1カ月分を集計してみると思った以上に使っていることで驚くケースが多いです。
コンビニ側としては「頻繁な少額買い」を狙っているのですが、家計のことを考えれば、本当に必要なものを手頃な価格で購入するクセをつけるのが大切です。できるだけ立ち寄らないようにする、立ち寄る前にひと呼吸おいて考える時間を持すことを心がけましょう。
そうすれば、不必要なものを購入することはなくなり、意外と食費を抑えることも苦にならなくなるかもしれません。
娯楽については、目立つ程度の出費に充てているかどうかを確認するのと同時に、現在支払っている娯楽費をあきらめて耐えられるかどうか考えてみましょう。
家計のやりくりは生涯続く長距離マラソンですから、短期間で集中的に抑えすぎてしまうと、ストレスによって別のところにはけ口を求めてしまうかもしれません。趣味をあきらめたけれど、仮にコンビニ通いが激しくなっては元も子もありません。
積極的な情報収集でお得なサービスを活用する
保健医療費については、地元の自治体で無料検診などのサービスを利用する、予防接種などの無料サービスを逃さずチェックする、健康に関する施設や子育て支援に関するさまざまなプログラムに積極的に参加するなど、常に積極的に情報収集に努めましょう。
とくに子育て支援に関わる取り組みを推進している自治体は多いです。ただ、これらは自分から収集しないと見逃してしまう場合が多いので、定期的に地元自治体のホームページを確認しましょう。
さらに勤務先でも、子育て支援に関連のイベントなどに協賛している場合や、会社独自で実施している場合などもあるかと思います。このような機会を逃さずうまく活用すれば保健・医療関連の費用も抑えられるかもしれません。
「年収何万円以下は子どもを持てない」と悲観的にならず、さまざまな支援プログラムを活用するなど、自分たちで工夫できるオリジナルの家計運営を見つけていきましょう。
出典
総務省 家計調査報告(二人以上の世帯)2024年(令和6年)3月分(2024年5月10日公表)
総務省統計局 家計調査報告-2024年(令和6年)5月分-
執筆者:柴沼直美
CFP(R)認定者