更新日: 2024.09.12 年収

社会人2年目の「手取り」が減るのはなぜ? 実際のところ、どれだけの金額が引かれるの?

社会人2年目の「手取り」が減るのはなぜ? 実際のところ、どれだけの金額が引かれるの?
社会人2年目から手取り収入が減ったと思われる方は多いでしょう。実は住民税の支払い開始や社会保険料や税金の引き上げなどにより、手取り収入が減ることが原因です。手取り収入が減る理由や具体的な金額を説明します。
FINANCIAL FIELD編集部

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社会人2年目の手取り収入が減る理由

社会人2年目になると、手取り収入が減ったと感じることは珍しくありません。住民税の支払いがスタートし、社会保険料の負担が増加したことが原因です。
 
会社員が住民税を納め始めるのは社会人2年目からです。自分で支払う「普通徴収」に変更していなければ、自動的に特別徴収が適用されて給与から天引きして納入されるため、手取り額が減ります。
 
社会保険料は等級の変更などにより手取り収入が減ったように感じるケースもあります。このように、社会人2年目の手取り収入が減る仕組みについて詳しく解説します。
 

住民税のしくみ

住民税とは、公共施設の維持や学校教育など行政サービスの活動費として1月1日の時点で住民票がある自治体に個人が納める地方税です。住民税は所得に応じた「所得割」、定額負担の「均等割」の合計額が住民税の総額になります。
 
「所得割」は所得に対して10%(道府県民税4%・市町村民税6%、ただし政令指定都市は道府県民税2%・市民税8%)が1月1日から12月31日までの所得によって算出されます。
 
「均等割」は、税額固定4000円(2024年度から国税の森林環境税1000円が徴収される)とされています。この基準を踏まえて、都道府県と市町村が定めた税率を実際に納税します。
 
税額の計算方法は、まず所得金額から、所得控除額を引き、課税対象となる所得金額である課税所得金額を算出します。課税所得金額に、所得割の税率10%をかけ、税額控除額を引き、所得割額を算出します。最後に所得割額と均等割額の和が住民税の税額です。
 

社会保険料のしくみ

社会保険料とは主に「健康保険」「厚生年金保険」「介護保険」を指す保険です。「労働保険」である「雇用保険」「労災保険」が含まれるケースもあります。
 
社会保険料は、毎年2月を基準に見直しが行われ、4月納付分(3月分)から改定される場合があります。また、標準報酬月額の決定方法として、7月1日に在籍している被保険者の4月~6月の平均報酬額から標準報酬月額が決定され、9月から翌年8月まで適用されます。
 
改定のタイミングが重なり、さらに社会人2年目に残業等で標準報酬月額が上がった場合、社会保険料も上がってしまいます。
 
以上が社会人1年目よりも手取り収入が減る原因となります。
 

1年目と2年目の手取り収入比較

社会人2年目の会社員で独身・扶養家族が居ない場合、年収280万円(月収23万円)を例に住民税の金額を算出します。
 
まず、年収280万円の場合、所得控除額は92万円です。年収から所得控除額と基礎控除(48万円)、社会保険料控除(35万円)を引くと課税所得金額が105万円となります。
 
課税所得金額に税率10%をかけた10万5000円が所得割額となります。そして均等割額(5000円)を追加した金額「11万円」が住民税額です。6月から翌5月の11回分、月1万円が住民税として引かれます。
 
同様に健康保険と厚生年金保険料を比較します。協会けんぽの東京を基準にして、新入社員時は18等級(月額報酬21~23万円)とする場合、令和5年度の18等級は健康保険料が1万1000円、厚生年金保険料が2万130円です。
 
令和6年度に19等級(月額報酬23~25万円)になった場合、令和6年度の19等級は健康保険料が1万1976円、厚生年金保険料が2万1960円となり、令和5年度との差の合計は2806円です。
 
住民税と社会保険料を合わせると、1万2806円が手取り収入で減ることになります。
 

社会人2年目の手取り収入には注意しよう

社会人1年目はなかった住民税の支払いも、2年目になると課税されて支払う必要があります。また2年目になり残業などをこなすことで収入に変化があると、それに対する社会保険料も高くなるため、手取りはさらに減ります。
 
2年目に手取り収入が急に減って驚く方も多いため、減ることを把握したうえでローンなどの支払いには十分注意しましょう。
 

出典

総務省 個人住民税
国税庁 給与所得控除
厚生労働省 社会保険料等・所得税控除見込額早見表(労働者負担分)
協会けんぽ 令和6年度保険料額表
協会けんぽ 令和5年度保険料額表
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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