日本人の「平均年収」はどのくらいですか? また「中央値」との差は大きいのでしょうか…?
配信日: 2024.10.06
今回は、平均値と中央値の違いについて解説し、年収においてそれぞれの数値がどれくらいなのかを説明します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
平均値と中央値はなにが違う?
平均値と中央値は、どちらもデータの中心を捉える重要な指標です。しかし、それぞれが異なる視点からデータを評価するため、理解して使い分けることが重要とされています。
平均値とは
平均値は、データの各値をすべて合計し、その数をデータの総数で割って得られる指標です。例えば、5人の年収がそれぞれ「400万円」「450万円」「500万円」「550万円」「600万円」だとすると、全員の年収の合計は2500万円で、平均値は5人で割った500万円であると分かります。
平均値はデータ全体の傾向を示すのに有用です。ただし、所得においては、極端に高い値や低い値に影響を受けやすいという特性があります。例えば、5人の年収に1人だけ1億円の高額所得者が含まれる場合、平均値は最低でも2300万円以上となってしまいます。
そのため、所得の基準を判断するときは、平均値だけでなく他の統計指標も併用してデータ評価することが重要です。
中央値とは
中央値は、データを小さい順から大きい順に並べたとき、ちょうど中央に位置する値を指します。例えば、5人の年収が「400万円」「450万円」「500万円」「550万円」「600万円」の場合、中心である500万円が中央値です。
中央値は、データのばらつきや極端な値の影響を受けにくいという特性を持ちます。例えば、年収600万円の人が年収1億円だったとしても、中央値は500万円です。このように一部の値が極端に高いまたは低いデータでも、それに引っ張られることなく中央値はデータの中心を示します。
日本人の年収はどれくらい?
平均値と中央値の違いが分かったところで、日本人の年収について解説します。平均値と中央値でそれぞれの数値が異なるため、自身の年収とこれらの数値を比較して、自身の収入が全体でどの位置にあるのか確認しましょう。
日本人年収の平均値
厚生労働省が2022年に発表した資料によると、日本における年収の平均値は545万7000円でした。この数値は高度経済成長期である1985年から1990年代前半にかけては急激な上昇を見せましたが、1994年の664万2000円をピークに、年々減少傾向にあります。
近年では物価の上昇に伴う企業の賃上げも相次いでいますが、長い目で見ると一昔前より平均年収は減少しています。
日本人年収の中央値
日本人の平均年収が545万7000円であるのに対し、同資料における中央値は423万円でした。その差はおよそ120万円です。同資料における平均年収には、少数派である年収1000万円以上の層が含まれています。
前述したように平均値は極端な数値に影響されやすいため、自分の年収を基準として考えるならば、中央値のほうが現実に近いといえるでしょう。
所得の分布
同資料における平均所得別の割合は、表1の通りです。
表1
合計所得 | 割合(%) |
---|---|
100万円未満 | 6.7% |
100万円以上200万円未満 | 13.0% |
200万円以上300万円未満 | 14.6% |
300万円以上400万円未満 | 12.7% |
400万円以上500万円未満 | 10.3% |
500万円以上600万円未満 | 8.4% |
600万円以上700万円未満 | 7.3% |
700万円以上800万円未満 | 6.2% |
800万円以上900万円未満 | 4.9% |
900万円以上1000万円未満 | 3.6% |
1000万円以上 | 12.6% |
出典:厚生労働省「Ⅱ 各種世帯の所得等の状況」より筆者作成
表1の内容見てみると、年収の平均値にあたる500万円以上600万円未満は10.3%、中央値にあたる400万円以上500万円未満でも8.4%しかありません。多数派としては200万円以上300万円未満の14.6%が最も多いため、自身の年収が上位何%にあたるかを知りたいときは、表1の内容を参考にするとよいでしょう。
参考にするなら平均値よりも中央値のほうが現実的
年収においては平均値と中央値で約120万円も乖離しますが、自身の年収が周囲と比べて上か下かを見たいときは、中央値を参考にしたほうがよいでしょう。また、現在の年収が全体の上位何%か気になる場合には、平均値や中央値よりも、所得の分布を基に判断したほうが正確です。
出典
厚生労働省 Ⅱ 各種世帯の所得等の状況
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー