更新日: 2024.10.07 年収

転職活動中です。「手取りで20万円以上」ほしいのですが、求人票での給与はいくら以上であれば希望がかないますでしょうか?

転職活動中です。「手取りで20万円以上」ほしいのですが、求人票での給与はいくら以上であれば希望がかないますでしょうか?
求人票を見る際、総支給額よりも手取り額が気になる方は多いでしょう。給与から差し引かれる税金や保険料を理解していれば、総支給額から手取り額を予測しやすくなります。
 
本記事では、給与から差し引かれる税金や保険料について解説し、手取り20万円の額面金額のシミュレーションも紹介します。ぜひ、参考にしてください。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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給与から差し引かれるもの

毎月の給与からは、所得税、住民税、健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料などが差し引かれます。社会人として、自分の給与からどれだけの税金や保険料が引かれているかを把握しておくことは大切です。また、これを把握することで、手取り額の予測がしやすくなります。
 
本項では、給与から差し引かれる税金や保険料について説明します。
 

所得税

給与からは所得税が差し引かれます(源泉徴収)。税額は「課税所得額×税率-控除額」で計算され、税率は課税所得額に応じて5%から45%の間で設定されます。
 
税率の詳細は、図表1のとおりです。
 
【図表1】

課税所得額 税率 控除額
1000円~194万9000円 5% 0円
195万円~329万9000円 10% 9万7500円
330万円~694万9000円 20% 42万7500円
695万円~899万9000円 23% 63万6000円
900万円~1799万9000円 33% 153万6000円
1800万円~3999万9000円 40% 279万6000円
4000万円以上 45% 479万6000円

※国税庁の「所得税の税率」をもとに筆者が作成
 
上記をもとに1年間の所得税が計算され、見込み額が毎月源泉徴収されています。実際の所得税額と源泉徴収額に差異がある場合は、年末調整で還付されます。
 

住民税

住民税は、自治体の行政サービスを維持するための税金で、所得に応じた「所得割」と、世帯ごとに一律で課される「均等割」で構成されます。
 
所得割の税率は10%、均等割は5000円です(東京都の場合、森林環境税1000円を含む)。※自治体によって異なる場合があります。
 

健康保険料

健康保険料は、企業と折半して負担しています。保険料の計算方法は「標準報酬月額×健康保険料率÷2」です。
 
例えば、全国健康保険協会(協会けんぽ)の「令和6年度保険料額表(令和6年3月分から)」によると、東京都で標準報酬月額が25万円の場合、従業員が負担する健康保険料は1万2974円です(介護保険第2号被保険者に該当しない場合)。
 
※40歳からは介護保険料も負担します。
 

厚生年金保険料

会社員の場合、給与から厚生年金保険料が控除されます。厚生年金保険料も企業と折半して負担しており、保険料は標準報酬月額に応じて決まります。
 
例えば、東京都で標準報酬月額が25万円の場合、従業員が負担する厚生年金保険料は2万3790円です。
 

雇用保険料

雇用保険料を支払うことで、失業時には失業保険が、在職中には育児休業給付などが受け取れます。
 
雇用保険料は「給与額(賞与額)×雇用保険料率」で算出されます。令和6年度の雇用保険料率は0.006(6/1000)です。例えば、給与額が23万円の場合、雇用保険料は1380円です。
 

手取り20万円の額面金額シミュレーション

以下の条件で、手取りが20万円を超えるためには額面金額がいくら必要かをシミュレーションしてみました。

<シミュレーション条件>

●30歳、単身、東京都渋谷区在住
●給与のみ、賞与なし
●全国健康保険協会(協会けんぽ)に加入
●基礎控除48万円(住民税は43万円)
●給与所得控除140万円

※ここでは他の控除や定額減税等は考慮していません。

詳細は、図表2のとおりです。
 
【図表2】

月24万円
(年収288万円)
月25万円
(年収300万円)
月26万円
(年収312万円)
所得税 2万8774円 3万3041円 3万9041円
住民税 6万7548円 7万6083円 8万8083円
健康保険料 月1万1976円
年14万3712円
月1万2974円
年15万5688円
月1万2974円
年15万5688円
厚生年金保険料 月2万1960円
年26万3520円
月2万3790円
年28万5480円
月2万3790円
年28万5480円
雇用保険料 月1440円
年1万7280円
月1500円
年1万8000円
月1560円
年1万8720円
合計 52万834円 56万8292円 58万7012円
年間の手取り予測 235万9166円 243万1708円 253万2988円
月の手取り予測 19万6597円 20万2642円 21万1082円

※実際の金額とは異なる場合があります。
 
今回のシミュレーションでは、額面金額が25万円を超えると手取り額が20万円以上になります。
 
ただし、控除額は個人によって異なり、企業によって手当の内容も異なるため、希望する企業の給与形態をもとにシミュレーションを行ってみてください。
 

給与や仕事内容、条件などを総合的に判断して求人を選ぼう!

給与から差し引かれる税金や保険料を理解することで、額面金額から手取り額を予測しやすくなります。ただし、転職活動では手取り額だけでなく、仕事内容や転勤の有無、福利厚生、社風など多くの要素も踏まえて判断することが大事です。
 
生活のために手取り額を確認することは大切ですが、これにばかり気を取られると、自分に合わない転職先を選んでしまい、早期退職のリスクが高まる可能性があります。さまざまな情報をもとに総合的に判断しましょう。
 

出典

国税庁 No.2260 所得税の税率
厚生労働省 雇用保険料率について
全国健康保険協会(協会けんぽ) 令和6年度保険料額表(令和6年3月分から)
国税庁 No.1410 給与所得控除
国税庁 No.1199 基礎控除
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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