更新日: 2024.10.10 年収
国家公務員の月給が「2.76%」もアップすると聞きました。私の会社は昇給しても「月数千円」程度で、ここ3年ほど昇給がありません。自分の子どもには「国家公務員」を目指してもらうべきでしょうか?
本記事では、2024年の国家公務員の賃上げに関する詳細と、公務員が子どもに就職してほしい先として親世代にも人気の理由、公務員と民間企業の給与や働き方のメリットなどを紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
2024年度の国家公務員の給与は平均2.76%の引き上げ! 賃上げの背景は?
2024年8月8日、人事院は2024年度の国家公務員の給与を引き上げるように国会と内閣に勧告しました。月給の引き上げ幅は平均2.76%で、増加率としては約30年ぶりの高水準です。
今回の賃上げの目的は、物価高や人手不足などを背景にした民間企業との賃上げ格差を埋めるため、公務員の給与水準を引き上げることにあります。
では、民間企業はどれくらい賃上げが進んでいるのでしょうか。
厚生労働省が公表した「令和6年 民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況」によれば、平均妥結額は1万7415円、交渉前の平均賃金に対する賃上げ率は「5.33%」です。賃上げ額・賃上げ率ともコロナ禍前の令和元年を大きく上回っています。
賃上げ率を見ると民間企業が5.33%、国家公務員は2.76%なので、今回の国家公務員の給与水準の引き上げでも民間企業の平均的な賃上げ額には及んでいないことが分かります。
親世代が子どもに就職してほしい先として公務員が人気
現状では民間企業の賃上げペースが速く、賃金格差があるとされる民間企業と国家公務員ですが、親が子どもに就職してほしい先としては、安定して公務員が人気です。
マイナビの2023年度 就職活動に対する保護者の意識調査によれば、子どもに働いてほしい企業のトップは公務員(128票)で、2位のトヨタ自動車(46票)を大きく上回っています。
親世代から子どもの就職先として公務員が人気なのは、給与面での安定性でしょう。公務員の給与は法律で定められているため、経済状況に左右されずに安定した給与を得られるメリットがあります。
また、子どもの目線でも、公務員は就職先として人気です。マイナビによれば、大学生の就職先として検討したことのある業界として、公務員(官公庁・公社・団体)が、「ソフトウエア・情報処理・ネット関連」「食品・農林・水産」に次いで3位になっています。
一方の民間企業の場合、会社ごとに給与体系は全く異なります。「民間」という大きなくくりのなかでさまざまな業種や職種があり、企業の規模や業界の相場によっても受け取れる給与や賃上げのペースも変わります。
企業によっては春闘の賃上げとは無縁で、会社の業績や自身の成績が伸び悩んでずっと昇給・賃上げがないという人もいるかもしれません。
民間企業には公務員にはないメリットもあるので平均年収や安定性だけでは決められない
給与体系が法律で決められていて経済状況に関係なく安定した給与や賞与が受け取れるのは、公務員の大きなメリットですが、民間企業には公務員にはないメリットがあります。
民間企業では、仕事の成果に応じて昇格・昇給の可能性があります。若くして20代で会社の幹部に抜てきされることもあり、能力と実績次第では公務員では考えられないスピード出世を実現できる可能性もあります。また、営業職などでは業績次第でインセンティブを受け取れ、同年代の公務員を大きく上回る年収を得ることも可能です。
副業や起業・独立など、さまざまなキャリア形成の選択肢もあるため、仕事を選ぶ自由度が高いという魅力もあります。子どもから将来の仕事について聞かれた場合、公務員だけでなく民間企業の魅力も説明して比較検討を助けてあげましょう。
まとめ
2024年度の公務員の賃上げは、物価高や人手不足などを背景に賃上げが進む民間企業との格差解消が目的であり、直近の賃上げ幅は民間企業のほうが上回っています。とはいえ、公務員は給与が法律で決まることから安定感があり、親世代が子どもに就職してほしい先としても人気です。
一方、民間企業では個人の成績でどんどん昇格や昇進できたり、インセンティブをもらえたりして公務員以上の給与・賞与を得られる可能性があるなどのメリットがあります。
子どもと将来の話をするときは「公務員になりなさい」と言うだけでなく、民間企業と比較検討できるような情報を伝えてあげたいものです。
出典
人事院 令和6年 人事院勧告・報告の概要
厚生労働省 令和6年 民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況を公表します
マイナビ キャリアリサーチLab 2023年度 就職活動に対する保護者の意識調査
マイナビ キャリアリサーチLab マイナビ 2024年卒 大学生 業界イメージ調査
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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