更新日: 2024.10.11 年収
「年収の壁」を超えても手取りが減らない!?「年収の壁・支援強化パッケージ」とは
今回は、年収の壁や「年収の壁・支援強化パッケージ」について解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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年収の壁とは?
年収の壁とは、会社員世帯の扶養に入っている妻や子供の年収によって生じる所得税・社会保険料を支払うボーダーラインのことです。扶養親族の収入によっては、扶養控除を受けられなくなる場合もあることから、夫の手取り収入にも影響が出る可能性があります。
この年収の壁には、税制上と社会保険上のボーダーラインが存在します。具体的にどのようなことなのか確認しましょう。
税制上の年収の壁
税制上の年収の壁には、おもに100万円・103万円・150万円・201万円と4つの壁が存在します。それぞれの特徴は以下の通りです。
・100万円の壁:住民税の支払いが発生する年収
・103万円の壁:所得税の支払いが発生する年収
・150万円、201万円の壁:配偶者控除や配偶者特別控除の対象から外れる年収
例えば、年収103万円を超えると所得税の支払いが発生して通常であれば扶養から外れます。しかし年収150万円までは配偶者特別控除が受けられるため、扶養に入ったままとなり、被保険者の税負担には影響しないでしょう。
社会保険上の年収の壁
社会保険上の年収の壁は106万円と130万円の2つがあります。会社員の配偶者の場合、一定の収入がなければ扶養から外れないため社会保険料の負担はありません。
しかし、年収106万円を超えるケースでは社会保険料を負担する可能性があります。現在は、従業員が101人以上の企業に勤務している場合に限られた制度です。しかし、2024年10月より101人以上から51人以上に変更になるため、多くのパート・アルバイト契約の方が該当する可能性があります。
また、年収130万円を超えると、勤務先の規模や扶養の有無にかかわらず、社会保険料が発生します。社会保険に加入していない場合は、国民年金や国民健康保険に加入することになるため、年金や保険料の支払いが発生するでしょう。
年収の壁・支援強化パッケージとは?
「年収の壁・支援強化パッケージ」とは、2023年10月から開始されたパート・アルバイト契約の方が年収の壁を気にすることなく働ける環境を作るために設けられた政策です。具体的な対応策は、以下の通りです。
「106万円の壁」への対応策
社会保険適用となった労働者に対して、収入が増加する取り組みを行った場合に所定の助成金が支給されます。
申請すると、収入アップや働く時間の延長など、待遇改善の内容や追加支給の割合に応じて助成金を受け取れます。労働者1人当たり20万〜30万円の給付があり、最大50万円となっているようです。
また、年収106万円を超えると社会保険に加入が必要になり、年収に合わせた保険料を支払わなければいけません。しかし、その保険料分の手当を支給して手取り収入を減らさない処置をした場合も助成金の対象となります。
「130万円の壁」への対応策
年収130万円を超えると、国民年金や保険料の支払いが発生します。しかし、繁忙期の追加労働による残業や年末年始の特別支給などによって年収が130万円を超えた場合に、突発的な収入の増加として事業主が証明することで被扶養者として引き続き認定可能です。
ただし、突発的な収入の増加を認定する制度のため、同じ従業員に対して原則連続2回が上限です。突発的な収入の変動に該当するかどうかは、各保険者が決定します。
「年収の壁・支援強化パッケージ」により、収入の壁を気にせず働ける可能性がある
2023年10月に始まった「年収の壁・支援強化パッケージ」によって、これまでは収入の壁を超えることで手取り収入が減っていたケースでも、手取り収入が減らなくなるようです。
収入の壁を気にして就労時間を調整している方でも、気にせず働ける可能性があります。ただし、制度を活用するには事業主に対応してもらう必要があるため、勝手に判断せず、必ず適用の有無を確認しましょう。
出典
厚生労働省「年収の壁について知ろう」あなたにベストな働き方とは?(9、14ページ)
厚生労働省 年収の壁・支援強化パッケージ
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー