更新日: 2024.10.17 年収

大卒は高卒よりも「生涯賃金が高い」って本当?最終学歴別の生涯賃金を解説

大卒は高卒よりも「生涯賃金が高い」って本当?最終学歴別の生涯賃金を解説
「最終学歴が大学卒業の人は、高校卒業の人よりも生涯賃金が高い」という話を耳にしたことがある人もいるでしょう。なかには、子どもの進路に対して「収入に差が出るから、大学へ行った方がよい」と話したことのある人もいるかもしれません。
 
しかし、学歴で生涯賃金に影響が出るというのは事実なのでしょうか?
 
そこで今回は、最終学歴別の生涯賃金をさまざまな視点から比較し、本当に「大学卒業の人の方が生涯賃金が高いのか」を検証します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

最終学歴別の生涯賃金を比較

最終学歴の違いで生涯賃金にいくらぐらい差が出るのか、実際の数字で比較してみましょう。
 
表1は、独立行政法人労働政策研究・研修機構の発表している「ユースフル労働統計2023」を基に、男女別に生涯賃金をまとめたものです。なおこの数字は、同一企業とは限らないものの60歳定年までフルタイムの正社員で働いて退職金を受け取ったのち、平均引退年齢(男性72.0 歳、女性69.2歳)まで働いた場合の賃金となります。
 
表1

最終学歴 賃金の種類 男性 女性
高校卒業 定年までの賃金 2億300万円 1億4920万円
退職金 1400万円 1400万円
定年以降の賃金 4320万円 2590万円
総額 2億6020万円 1億8910万円
大学卒業 定年までの賃金 2億4740万円 1億9800万円
退職金 1890万円 1890万円
定年以降の賃金 5390万円 3680万円
総額 3億2020万円 2億5370万円

※独立行政法人労働政策研究・研修機構「2023年ユースフル労働統計」を基に筆者作成
 
男性の高校卒業と大学卒業の差を計算すると6000万円、女性は6460万円となります。男女ともに学歴の差によって6000万円の差がありました。
 

最終学歴が大学卒業の生涯賃金が一番高いわけではない

確かに最終学歴が高校卒業と大学卒業の人とでは、生涯賃金に6000万円の差があります。しかし、必ずしも最終学歴が大学卒業の生涯賃金が一番高いということではありません。その結果を表すものが次の表2です。
 
表2は、独立行政法人労働政策研究・研修機構の発表している「ユースフル労働統計2023」の最終学歴だけでなく、企業規模も加味した生涯賃金の一覧となります。
 
表2

企業規模 男性 女性
高校卒業 大学卒業 高校卒業 大学卒業
10人~99人 2億2660万円 2億6150万円 1億6560万円 2億1070万円
100人~999人 2億5390万円 3億510万円 1億8930万円 2億4630万円
1000人以上 3億560万円 3億6520万円 2億1650万円 2億1650万円

※独立行政法人労働政策研究・研修機構「2023年ユースフル労働統計」を基に筆者作成
 
表2からは、次のことが分かります。
 

・同じ学歴でも勤務する企業規模によって生涯賃金に5000万円~1億円の差が生まれる
・企業規模1000人以上の会社に勤める高校卒業の人は、小規模の企業に勤める大学卒業の人より生涯賃金が高い

 
最終学歴が生涯賃金に影響を与えているのはもちろんですが、勤務する企業規模も大きく関係しているようです。
 

生涯賃金は学歴だけでなく勤務先の企業規模などにも影響する

最終学歴が大学卒業と高校卒業とでは、生涯年収に差があります。
 
定年後も働くことを考慮すると、全体の平均は高校卒業の人よりも大学卒業の人の方が、6000万円ほど高い結果となりました。学歴が生涯賃金に影響を与えることが分かるものの、それと同時に、勤務先の企業規模が生涯賃金に大きくかかわることも分かっています。
 
キャリアアップのための転職が珍しくない今、最終学歴に関係なく、より条件のよい会社への転職により年収アップを果たす人も多くいます。いかに自分に合った職場を見つけられるかが、収入に大きくかかわっているといえそうです。
 

出典

独立行政法人労働政策研究・研修機構 ユースフル労働統計2023 表21-2 生涯賃金(引退まで、退職金を含む、2022年) (309、310ページ)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

PR
ライターさん募集