更新日: 2024.10.22 年収

夫の会社は55歳が「役職定年」です。役職の肩書がなくなると年収はどれくらい下がるでしょうか?

夫の会社は55歳が「役職定年」です。役職の肩書がなくなると年収はどれくらい下がるでしょうか?
会社には一般的に、いわゆる「平社員」とは別に、管理職として業務を遂行する立場にある「役職」のついた社員が存在します。具体的には、部長や課長などが「役職」として設定されていることがあります。
 
役職に就いている期間は会社によって異なると思われますが、なかには今回のケースのように「役職定年」制度を設けている会社もあるようです。
 
役職定年制度があると、一定年齢に達した場合、もしくは一定期間経過したときに役職を退くことになりますが、その場合に年収への影響が気になる人もいるかもしれません。
 
本記事では役職定年制度の概要と年収への影響について解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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役職定年制度とは

役職定年制度は、管理職などに就いている人が一定年齢に達したときにその役職から離脱させる制度です。一定年齢ではなく一定期間をもって離脱させる場合を含むこともあります。
 
例えば55歳で部長職の役職定年を迎える場合、それまでそのポストで働いてきた人材は部長ではなくなり、以降は別のポストで働くこととなるのが一般的です。
 

役職定年制度の目的

役職定年を導入する会社には、以下のような目的があると推察されます。
 
■人件費の抑制

定年を迎える年齢が少しずつ高くなってきたなかで、会社は人件費の負担をより抱えるようになる可能性があります。役職定年を設けることで、勤続年数が長く高年収な人材にかかる人件費をおさえる効果を期待できます。
 
■組織の若返り

一定年齢に達した人材が役職を退くことで、若い世代を引き上げる目的があると考えられます。管理職などのポストが空くことで、若手には昇格のチャンスが多く生まれます。
 

役職定年制度の導入状況

独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構がまとめた資料によると、役職定年制度を導入している企業は28.1%でした(有効回答3355社)。
 
また導入は、以下のような会社でより顕著のようです。

●定年が64歳以下かつ継続雇用が65歳までの会社
●従業員規模が大きい会社
●会社主導による人材育成(キャリア開発)を採用している会社

役職定年制度については、現役時代とは期待される役割が変わる一定年齢以上の人材を役職から遠ざけ、次世代の人材育成を推進したい考えが背景にあるのかもしれません。
 
また従業員規模が大きい会社に役職定年制度の導入が多いことは、大規模であるほど「64歳以下かつ継続雇用が65歳まで」の定年制を導入しているケースが多いことと関係があるようです。
 

役職定年を迎えると年収はどうなる?

役職定年を迎えると、部長や課長といった肩書がなくなるため、給料が下がる可能性があります。
 
公益財団法人ダイヤ高齢社会研究財団が行ったアンケートによると(サンプル回収数6250人)、役職定年を迎えた人のうち9割以上が年収減になったようです。詳しい内訳を表1にまとめました(60~69歳の場合)。
 
表1

役職定年前の年収(100%)に対する
役職定年後の年収
60~64歳の場合(%) 65~69歳の場合(%)
25%未満 7.7 15.5
25~50%未満 31.1 26.9
50~75%未満 32.6 33.4
75~100%未満 21.7 17.5
100%(変わらない) 5.9 5.8
100%超 1.0 0.9

出典:公益財団法人ダイヤ高齢社会研究財団「50代・60代の働き方に関する調査報告書」を基に筆者作成
 
約4割が50%を超える年収ダウンを経験しています。もっとも多かった項目は「50~75%未満」でした。役職定年後には、このように年収ダウンを経験するケースが少なくないようです。
 
とはいえ、年収が変わらなかった人や、むしろ以前より多くなったケースも見当たります。最終的に年収への影響がどれほどあるかは、会社ごとの判断によって異なります。
 

9割以上の人が役職定年後の年収ダウンを経験している

役職定年を迎えて役職の肩書がなくなると、年収ダウンを経験するケースが珍しくありません。9割以上が年収減になるという調査結果もあり、今回のケースでも同じことが起こる可能性があります。
 
ただし会社により状況は異なるため、詳しい情報については、あらかじめ人事などに相談しておくとよいかもしれません。
 

出典

独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構のホームページ 資料シリーズ1 調整型キャリア形成の現状と課題 8 役職定年制度の導入状況とその仕組み(39ページ)
公益財団法人 ダイヤ高齢社会研究財団ホームページ 50代・60代の働き方に関する調査報告書 III. 調査結果の概要 1.定年前の役職定年制度について(5ページ)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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