更新日: 2024.10.26 年収
「契約社員から正社員にならないか」と打診を受けました。現状の給料に不満はないのですが、正社員と、正社員以外の月収では毎月どのくらい違いがあるのでしょうか?
一方、正社員として働くと残業や転勤の可能性がありますが、給与はその分、パートなど正社員以外の人と比べると高くなります。
今回は、厚生労働省の賃金構造基本統計調査から、10人以上の常用労働者を雇用する民営事業所における毎月の賃金を、雇用形態別・年齢別に紹介します。
執筆者:下中英恵(したなかはなえ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者
“東京都出身。2008年慶應義塾大学商学部卒業後、三菱UFJメリルリンチPB証券株式会社に入社。
富裕層向け資産運用業務に従事した後、米国ボストンにおいて、ファイナンシャルプランナーとして活動。現在は日本東京において、資産運用・保険・税制等、多様なテーマについて、金融記事の執筆活動を行っています
http://fp.shitanaka.com/”
雇用形態別にみた賃金
まずは、雇用形態別に1ヶ月の賃金をみていきましょう。厚生労働省の「令和5年 賃金構造基本統計調査」によると、男女合わせた全体の正社員・正職員の毎月の賃金と、正社員・正職員以外の毎月の賃金は、以下のとおりとなっています。
正社員・正職員:33万6300円
正社員・正職員以外:22万6600円
さらに、男女別にみると、以下のとおりとなっています。
<男性>
正社員・正職員:36万3600円
正社員・正職員以外:25万5000円
<女性>
正社員・正職員:28万1800 円
正社員・正職員以外:20万3500円
男性と女性の賃金を比べると、正社員とそれ以外の雇用形態のどちらも男性のほうが、女性より賃金が高くなっています。
また、正社員とそれ以外の雇用形態を比べると、男性の場合は両者間で月に約11万円も賃金が異なります。女性の場合は、両者の月の賃金差は約8万円です。
年代別の賃金
続いては年代別に、正社員とそれ以外の雇用形態における賃金、およびその特徴を確認していきます。厚生労働省の同調査によると、男女の年代別の賃金には、以下のような特徴がみられました。
・正社員の場合、最も賃金が高いのは55~59歳で、月44万800円
・正社員以外の場合、最も賃金が高いのは60~64歳で、月28万5100円
・男性の正社員は、年代とともに賃金がアップする傾向があるが、正社員と正社員以外とを比べると、伸び率が大きい
・正社員の場合、最も賃金が高いのは55~59歳で、月31万6300円
・正社員以外の場合、最も賃金が高いのは30~34歳で、月21万500円
・女性の正社員は、年代とともに賃金がアップする傾向があるが、正社員以外は年齢が上がっても大きく賃金が変わらない
全体でみると、男性が正社員として働く場合、全ての男女・雇用形態のなかで、最も生涯賃金が高くなります。一方、最も生涯賃金が低いのは、正社員以外の雇用形態で働いている女性たちです。
生涯賃金を上げたいと考えている場合、やはり男性も女性も、正社員として働くことが、一番稼げる方法です。
また、残念ながら、男性と女性の間には賃金格差が存在しており、特に正社員以外の雇用形態で働いている女性は、経験を積むなど年齢が上がっても賃金は増えないことが多いようです。年代別の賃金変化を理解したうえで、自分の働き方を決めるとよいでしょう。
まとめ
正社員とそれ以外の賃金差について、具体的な金額を知っておくと、今後自分の働き方を選択するうえで参考になるでしょう。
「収入がなかなか増えない」「生涯賃金を増やしたい」と考えている方や、「正社員を辞めて労働時間を減らしたら、どのくらい賃金が下がるか知りたい」と考えている方は、今回紹介した内容をぜひ参考にしてみましょう。
出典
厚生労働省 令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況
執筆者:下中英恵
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者