契約社員として働いており、「生涯年収に差があるから正社員を目指したほうがよい」と言われました。正社員と非正社員では生涯年収がどれほど違うのでしょうか?

配信日: 2024.11.07

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契約社員として働いており、「生涯年収に差があるから正社員を目指したほうがよい」と言われました。正社員と非正社員では生涯年収がどれほど違うのでしょうか?
正社員と非正社員の人では、年収に大きな差があります。では、正社員と非正社員の人が、学校を卒業してから仕事を引退するまでに稼ぐことができる「生涯賃金」は、どのくらいの差が出るのでしょうか。
 
今回は、働き方の違いによる生涯賃金の差をチェックしてみましょう。
下中英恵

執筆者:下中英恵(したなかはなえ)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者

“東京都出身。2008年慶應義塾大学商学部卒業後、三菱UFJメリルリンチPB証券株式会社に入社。

富裕層向け資産運用業務に従事した後、米国ボストンにおいて、ファイナンシャルプランナーとして活動。現在は日本東京において、資産運用・保険・税制等、多様なテーマについて、金融記事の執筆活動を行っています
http://fp.shitanaka.com/”

雇用形態別にみた賃金

まずは、雇用形態別に1ヶ月の賃金を見比べていきましょう。厚生労働省の資料によると、男女合わせた全体の正社員・正職員の毎月の賃金と、正社員・正職員以外の毎月の賃金は、以下のとおりとなっています。


<男女合計の賃金>

正社員・正職員   :33万6300円
正社員・正職員以外 :22万6600円
 
<男性>
正社員・正職員   :36万3600円
正社員・正職員以外 :25万5000円
 
<女性>
正社員・正職員   :28万1800円
正社員・正職員以外 :20万3500円

男女合計の数値をみてみると、正社員と非正社員とでは、月に約11万円の賃金差があることが分かります。
 
そして年齢とともに変化する、賃金の伸び率にも違いがあります。正社員は、経験を積み、年齢が上がるに連れて、大きく賃金がアップする傾向にあります。
 
一方、非正社員も男性の場合は、年齢とともに賃金が増える傾向がありますが、伸び率は正社員ほど大きくありません。また、女性の正社員は年齢とともに賃金がアップする傾向がありますが、女性の非正社員は年齢が上がっても大きく賃金が変わらないようです。
 

生涯賃金をチェック

次に、生涯賃金について確認していきます。
 
独立行政法人労働政策研究・研修機構の資料「ユースフル労働統計2023」によると、学校卒業後直ちにフルタイムで就職し60歳まで仕事を続けた場合の生涯賃金(退職金を含めない)は、以下のとおりとなっています。


<正社員の生涯賃金>

男性の高校卒:約2億円
男性の大学卒:約2億5000万円
女性の高校卒:約1億5000万円
女性の大学卒:約2億円
 
<非正社員の生涯賃金>
男性の高校卒:約1億3000万円
男性の大学卒:約1億4000万円
女性の高校卒:約1億円
女性の大学卒:約1億2000万円

最も生涯賃金が高くなるのは、男性の大学卒の正社員です。逆に最も低いのは、女性の高校卒の非正社員です。男性の大学卒の正社員と、女性の高校卒の非正社員とでは、生涯賃金が約1億5000万円も違います。
 
フルタイムとして同じ労働時間で働いていても、男性と女性や、正社員と非正社員という違いで、生涯賃金に大きな差が開いてしまうことが分かります。現在、非正社員として仕事をしている人は、正社員を目指すことで生涯賃金を上げることができるかもしれません。
 
また、これから仕事を探すという若い世代の方々は、「大学を卒業する」「正社員を目指す」という2つのポイントに気を付けることで、生涯賃金を大きく上げることができる可能性があります。
 

まとめ

皆さんは、自分の生涯賃金がどのくらいになりそうか、計算したことはあるでしょうか。今受け取っている年収から、生涯賃金を算出して、今回紹介した統計と比較してみましょう。
 
自分の生涯賃金を知ることで、より賃金を上げる方法を考えるきっかけになり、働くモチベーションがアップするかもしれません。ぜひ自分の年収や生涯賃金を客観的にみてみましょう。
 

出典

厚生労働省 令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況
独立行政法人労働政策研究・研修機構 ユースフル労働統計2023―労働統計加工指標集―
 
執筆者:下中英恵
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者

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