賃上げで月給が「1万円」増えたけど、生活は苦しくなる一方。理由は「実質賃金」がマイナスだから!? 賃上げの現状とあわせて解説
配信日: 2024.11.22
本記事では企業の賃上げの現状と、実質的な賃金がマイナスになっている理由などを解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
大手を中心に、ここ数年は大幅な賃上げを達成している
国税庁の「民間給与実態統計調査」によると、2023年の平均給与は460万円です。2019年の平均給与が約438万円であるため、ここ5年間で平均給与が約20万円アップした計算になります。
企業の「賃上げ」の様子をみても、実際に会社員の給与が増加していることが分かります。労働政策研究・研修機構によると、春季の主要企業の賃上げ率は2023年に3.60%、2024年は5.33%を記録しています。
毎年2%前後の賃上げ率だったものが、ここ2年で3~5%の賃上げとなっており、実際に給与がアップしている人も少なからずいるはずです。
給与が上がっても日本の実質賃金はマイナスのまま
ここ2年は特に大きな賃上げがあり、日本の平均給与は5年間で約20万円以上も増えています。しかし、実際には生活が楽になったわけではなく、苦しいと感じる人が大半ではないでしょうか。
実は、日本の給与は上がっていますが、「実質賃金」はマイナスのまま推移しています。
賃金には大きく分けて「名目賃金」と「実質賃金」があります。名目賃金は実際に受け取った給料の金額、実質賃金は物価の影響まで加味した賃金の金額です。
厚生労働省の「毎月勤労統計調査」によると実質賃金は2024年6月にプラスになるまで実に27ヶ月もマイナスの状況が続いていました。8月に再びマイナスに転じており、物価上昇に給与の賃上げが追いついていないことが分かります。
給与アップ以外の物価高騰の備えとは?
実質賃金が上がらないなかで、少しでも豊かな暮らしになるように生きていくしかありません。
会社の給与だけでは物価上昇に対抗できないのなら、ほかの方法で貯蓄や手取りの増加を目指しましょう。例えば支出を減らすこと。固定費など家計の無駄を見つけて月に1万円支出を減額できれば、収入が1万円増えたのと同じ効果が期待できます。
また長期的には、資産運用を効率よくおこなうことも検討しましょう。株や投資信託といった有価証券が代表例です。企業は物価上昇が起きた場合に価格に転嫁でき、物価に合わせた価格とサービスで利益を得ることができます。利益額が上昇したことで株価が上昇すれば売却益や配当、投資信託の基準価額の上昇といった形で投資家の利益になります。
そのほかにも不動産や金といった、物価に合わせて価値が上昇する現物資産を持つことも物価上昇によるインフレ対策に有効とされます。
まとめ
ここ数年は大手企業を中心に大幅な賃上げが実施されていますが、物価の上昇率を加味すると実質賃金は一時を除いて長くマイナスが続いています。給与を得るだけでは生活が豊かにならないのなら、支出の見直しや資産運用など将来的に手取りが増えるような対策を考えていきましょう。
出典
国税庁 令和5年分 民間給与実態統計調査
独立行政法人 労働政策研究・研修機構 賃上げ
厚生労働省 毎月勤労統計調査 令和6年8月分結果速報
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー