「酪農」と「畜産」は具体的に何が違うのですか? 業務内容や年収の違いを教えてください。
配信日: 2024.12.06
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執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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畜産とは?
畜産とは、主に牛や豚、鶏など、肉や乳、卵などを生産するために家畜を飼育する農業の1つです。農林水産省畜産局の「畜産・酪農をめぐる情勢」によると、令和4年の農業産出額9兆15億円のうち、畜産は3兆4678億円と約39%を占めていることから、日本の食を支える重要な一次産業といえるでしょう。
酪農とは?
酪農とは、牛を飼育して牛乳の生産や乳製品の製造に特化した農業を指しており、畜産の一部門です。農林水産省畜産局による「畜産・酪農をめぐる情勢」によると、畜産の産出額3兆4678億円のうち、生乳は7916億円と全体の23%を占めます。
なお、令和5年度生乳の生産量は733万トンであり、牛乳など向けに使われるのは384万トン、乳製品として使われるのは344万トンです。
酪農と畜産の業務内容の違い
乳牛の扱いを「酪農」、食肉の扱いを「畜産」として業務内容の違いを説明します。
酪農で行われる業務内容は、主に「見回りと清掃」「給餌」「清掃」「搾乳」です。その合間には「餌づくり」「哺育育成」「ふん尿処理」が行われるとされています。
まず、雑菌の繁殖を防ぐために清潔な環境を保ち、毎朝1頭ずつ体調チェックを行っています。搾乳は1日に2〜3回、給餌は1日2〜4回程度です。
畜産の1つ、肉牛経営では「繁殖」と「肥育」で業務内容が分かれています。
繁殖では「見回りと清掃」「給餌」「子牛のせり」「放牧」などといった業務を行い、肥育では「見回りと清掃」「給餌」「肥育牛の出荷」をします。なお、両方とも合間には「餌づくり」「牛床清掃」「堆肥づくり」を行うようです。
農林水産省畜産局がまとめた「畜産・酪農をめぐる情勢」によれば、1人あたりの年間平均労働時間(令和4年)は、肉用牛が1840時間、養豚が1651時間、製造業が1879時間なのに対し、酪農が2183時間となっており、長時間労働が課題となっているようです。
酪農と畜産はどちらが年収高い?
国税庁の「令和5年分民間給与実態統計調査」によると、業種別の平均給与で酪農や畜産が含まれる「農林水産・鉱業」は平均年収が333万円、給与所得者全体の年収平均は460万円でした。
農林水産省の「令和4年営農類型別経営統計」によれば、法人の「事業従事者1人当たり給与総額」の平均年収は表1の通りとなっています。
表1
法人(事業従事者1人当たり給与総額) | |
---|---|
酪農経営 | 313万5000円 |
肉用牛経営 | 253万5000円 |
繁殖牛経営 | 198万円 |
肥育牛経営 | 283万9000円 |
養豚経営 | 394万1000円 |
採卵養鶏経営 | 280万6000円 |
ブロイラー養鶏経営 | 335万6000円 |
※農林水産省「令和4年営農類型別経営統計」より筆者作成
これらを踏まえると、給与所得者全体の平均年収(460万円)よりも低く、特に「繁殖牛経営」が低い傾向にあるようです。肉用子牛の価格の大幅な下落に加え、ウクライナ情勢によって穀物の価格が上昇し、それにともない配合飼料価格が値上がり続けていることから、畜産業全体が厳しい事業環境にあると考えられます。
酪農は畜産の一部門、乳牛を扱います
畜産とは、主に牛や豚、鶏など、肉や乳、卵などを生産するために家畜を飼育する農業の1つであり、酪農とは、牛を飼育して牛乳の生産や乳製品の製造に特化した農業を指しており、畜産の一部門です。
現在、肉用子牛の価格の大幅な下落に加え、ウクライナ情勢によって穀物の価格が上昇し、それにともない配合飼料価格が値上がり続けていることから、畜産業全体が厳しい事業環境にあるようです。私たちの食卓を守る大切な産業として、酪農や畜産を社会全体で支えていきましょう。
出典
農林水産省畜産局 畜産・酪農をめぐる情勢
農林水産省 営農類型別経営統計
国税庁 令和5年分民間給与実態統計調査-調査結果報告-
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー