30代で世帯年収600万円の夫婦は子ども2人を育てられますか? 子育て世帯の平均年収はどのくらいなのでしょうか?
配信日: 2025.01.07
本記事では、国や民間の調査結果をもとに子育て世帯の平均年収を紹介するとともに、子育てに必要な資金のやりくりのポイントをまとめました。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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子ども2人は平均的な人数
晩婚化や育児にともなう経済的負担の増大などを理由に、新たに生まれる子どもの数が減っているといわれています。しかし、「夫婦と子ども2人」という家庭はそれほど実現のハードルが高い希望なのでしょうか。
国立社会保障・人口問題研究所が令和3年に実施した「第16回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)」によると、夫婦の平均予定子ども数は2.01人です。「子ども2人を育てる」という将来像は、多くの夫婦にとってイメージしやすい家族のかたちであることがうかがえます。
また、子どもを産み終えた夫婦における子どもの数でも2人が50.8%と過半数を占めており「子ども2人」はごく平均的な人数であるといえるでしょう。
子育て世帯の平均年収はどれくらい?
表題の方が心配するように、子どもを安心して育てるには十分な経済力が必要です。「第16回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)」でも、夫婦が理想の数の子どもを持たない理由として最も選択率が高かった選択肢は「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」だという結果が出ています。
それでは、一般的な子育て世帯の平均年収はどれくらいなのでしょうか。厚生労働省「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」によると、児童のいる世帯の平均所得金額は約813万円です。同調査における全世帯の平均所得金額が約524万円であることを考えると、かなりの高水準だといえます。
この数字を見て「年収600万円程度では子どもを持つこと自体が高望みではないか」と不安になる家庭も多いでしょう。しかし、この数字には児童手当などの給付金など、稼働所得以外の所得も含んでいることや、子どもの数が3人以上の家庭も含まれていることに留意が必要です。
参考までに、民間の調査の結果も見てみましょう。株式会社小学館の育児メディア「HugKum」が実施した「令和の子育て世代のお金事情」に関する調査によると、回答した子育て世帯の52.5%が年収600万円未満、最も多い年収帯は500万円以上〜600万円未満です。この結果を見ると、年収600万円は子育て世帯として低すぎることはなく、むしろ一般的な収入であると考えられるのではないでしょうか。
ライフステージごとの収入事情を考慮して資金計画を立てよう
世帯年収600万円の夫婦が子ども2人を不自由なく育てるには、ライフプランを見通したうえで、しっかりと資金計画を立てられるかどうかが重要です。
30代で世帯年収600万円の場合、将来的には昇給などによる年収増も見込めるでしょう。一方で、出産前後には産休や育休、時短勤務などの影響で、どうしても世帯収入が減ることとなります。本人や子どもの体調の事情、保育園不足などの理由で職場復帰がかなわないケースも想定しなければなりません。
また、子どもが増えれば、食費や被服費、学費などの経済的な負担が増大します。とくに教育費は子どもの進路選択によって必要な額が大きく左右されるため、金額の目安を知ったうえで、備えておく必要があるでしょう。例えば、公立小学校と私立小学校では平均的な学費に100万円以上の差があります。
また、家を建てたり車を購入したりするタイミングで増えるローン返済や、子どもが加入する保険の掛け金なども忘れてはいけません。収入と出費の変動や、ライフイベントごとに受け取れる手当、出産、育児関係の給付金(産休・育休手当、児童手当など)なども視野に入れて、貯蓄や資産運用などのプランを立ててみましょう。
年収に見合った子育て計画を立てよう!
世帯年収600万円で子ども2人を育てるというのは、一般的にハードルが高すぎるということはありません。大切なのは、子育てに必要なお金や将来的な収入の変動などを見据えて計画的に家計をやりくりすることです。日々の生活費に加えて、出産前後の収入減少や大きな支出となる教育費など、資金を備えるべきポイントを押さえて子育て計画を立てましょう。
出典
国立社会保障・人口問題研究所 第16回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)
厚生労働省 2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況
株式会社小学館 暮らしにかかるお金や世帯の年収、貯蓄額、保険や投資の活用などのアンケート調査
文部科学省 結果の概要-令和3年度子供の学習費調査
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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