都会と地方ではどっちが裕福に暮らせる?生活コストから考える年収のリアル
配信日: 2025.01.09
そこで今回は、総務省統計局の実施している家計調査を基に、東京23区と静岡市で生活コストを比較してみます。静岡市は家計調査で具体的な数字が発表されている政令指定都市の中でも、最も人口の少ない都市となっています。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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都会と地方の収入の違い
都会と地方の収入の違いを確認してみましょう。まずは東京都と静岡県の都道府県単位で、収入にどのくらいの差があるのかを比較し、それをふまえて東京都23区と静岡市を比較します。
東京都と静岡県の賃金の差
厚生労働省の令和5年賃金構造基本統計調査を基に、都道府県別の賃金(税金など控除前の額)を確認すると、東京都は36万8500円である一方で、静岡県は30万5300円となっています。ここでいう賃金とは、基本給に各種手当を加えた額で、超過労働給与額は含まれていません。
ボーナスがないと仮定して年収に換算すると、東京都は442万2000円、静岡県は366万3600円となり、その差額は75万8400円です。
東京23区と静岡市の収入の差
次に東京23区と静岡市を比較します。総務省統計局の発表している「2023年家計調査家計収支編」の、勤労者世帯(世帯主が会社や観光庁などに勤務している世帯)の実収入(税込み収入)を確認すると、東京23区の実収入は61万5407円、静岡市は50万1117円となっています。
このうち世帯主の収入は東京23区が48万4487円、静岡市が41万2131円です。どちらも、都道府県単位の賃金よりも多い額であることが分かります。
では、世帯収入から手取り額がいくらくらいになるのか計算してみましょう。通常手取り額は、収入の75%~85%といわれているため、ここでは80%で計算します。総務省統計局「2023年家計調査家計収支編」を基に、手取り額を計算したものが表1です。
表1
東京23区 | 静岡市 | |
---|---|---|
実収入 | 61万5407円 | 50万1117円 |
手取り額 (小数点以下切り上げ) |
49万2326円 | 40万894円 |
※総務省統計局「2023年家計調査家計収支編」を基に筆者作成
東京23区と静岡市の手取り額はそれぞれ49万2326円、40万894円となり、その差額は9万1432円です。
都会と地方の支出の違い
東京23区と静岡市の手取りは、東京23区の方がおよそ9万円高い額でした。しかし、それぞれの地域の物価によって、支出額も異なってくるため、一概に東京で働いた方が高収入でよいとは言い切れません。
そこで、それぞれの地域の支出額を比較します。総務省統計局の発表している「2023年家計調査家計収支編」の消費支出を基に、手取り額と支出額の差額を計算したものが表2です。
表2
東京23区 | 静岡市 | |
---|---|---|
手取り額 (小数点以下切り上げ) |
49万2326円 | 40万894円 |
消費支出 | 30万2955円 | 25万593円 |
差額 | 18万9371円 | 15万301円 |
※総務省統計局「2023年家計調査家計収支編」を基に筆者作成
東京23区の消費支出は30万2955円、静岡市は25万593円で、その差はおよそ5万円で東京23区の方が多くなっています。
さらに手取りと支出の差額つまり預貯金に回せる額は、東京23区が18万9371円、静岡市が15万301円であり、およそ4万円と収入ほどの差はないことが分かりました。
都会は地方と比べ収入が多いがその分支出も多く、都会の方が裕福な暮らしができるとは限らない
都会と地方では、都会の方が収入は高いものの、支出もその分多くなっています。預貯金できる額にそれほど差がないことから、都会の方が収入が多いからといって、暮らしが楽だとは言い切れないことが予想されます。
都会と地方、どこに住むかだけではなく、何にお金を使うかが豊かな暮らしを実現するポイントといえるかもしれません。
出典
厚生労働省 令和5年賃金構造基本統計調査(10) 都道府県別にみた賃金 第7図 都道府県別賃金(男女計)
総務省統計局 2023年家計調査家計収支編 第2表都市階級・地方・都道府県庁所在市別1世帯当たり1か月間の収入と支出(総世帯のうち勤労者世帯)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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