「県庁」で働く公務員は「市役所」で働く公務員より高収入?

配信日: 2025.01.09

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「県庁」で働く公務員は「市役所」で働く公務員より高収入?
地方公務員の中でも、「市役所」「県庁」の職員は、どちらも地域を守る大切な仕事です。とはいえ、両者の年収に違いがあるのかはあまり知られていません。
 
そこで今回は、市の職員と県の職員の仕事内容や年収を比較します。市町村と都道府県の中でもっとも年収の高い地方公務員もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
FINANCIAL FIELD編集部

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市役所と県庁の違い

まずは、市役所と県庁の違いを確認しましょう。仕事内容と平均年収について比較します。
 

市役所職員と県庁職員の仕事内容

最初に、それぞれの仕事内容を確認します。
 
市役所職員は、県庁と比べ、より地域住民に寄り添った仕事内容であることが多いです。例えば、次のような仕事があります。

●戸籍謄本や住民票、マイナンバーカードの発行
●市営の公園や動物園、道路の整備
●図書館や体育館などの施設管理
●上下水道の管理

県庁には行ったことがないけれど、市役所には行ったことがあるという人もいるでしょう。それだけ市職員の仕事は地域住民に近い仕事内容といえます。一方で県庁職員の仕事内容は、次のようなものが挙げられます。

●市区町村をまたいだ開発計画
●国の施策における各市区町村との調整役
●県立高校や県立特別支援学校の運営

県庁職員は、県民と接する仕事はそれほど多くなく、国と都道府県内の各市区町村などの間に立ち、パイプ役として働くことが多い仕事だといえそうです。
 

市役所職員と県庁職員の平均年収

仕事内容に違いがある市役所職員と県庁職員ですが、年収にも違いがあるのでしょうか。
 
表1は、総務省が発表している「令和5年地方公務員給与の実態」を基にした都道府県・指定都市・市・町村別の給与額です。職員の職種の中でも人数の多い、一般行政職で比較します。
 
表1

平均給与月額
(A+B)
平均給与月額
(A)
諸手当月額
(B)
年収
(ボーナスは含まず)
都道府県 40万7064円 31万9151円 8万7913円 488万4768円
指定都市 43万9873円 31万9668円 12万205円 527万8476円
40万2039円 31万5844円 8万6195円 482万4468円
町村 36万1255円 30万2172円 5万9083円 433万5060円

※総務省「令和5年地方公務員給与の実態」を基に筆者作成
 
仕事内容には差があるものの、都道府県と市の職員の平均給与月額(A)には大きな違いがないことが分かります。その中でも総支給額(A+B)が多い地域が、指定都市です。給与の差は、おもに諸手当(B)が関係しているようです。
 
諸手当とは、主に次のような3つの項目の合計を指します。

生活給的手当:扶養手当・地域手当・通勤手当など
職務給的手当:管理職手当・特殊勤務手当など
超過労働的手当:時間外勤務手当・宿直手当・休日勤務手当など

諸手当の中でも、生活給的手当が指定都市では多く、町村では少なくなっており、それが平均給与にも影響を与えているようです。
 
国税庁の「令和5年分民間給与実態統計調査」によると、給与所得者全体の平均年収は459万5000円です。町村以外の地域は、ボーナスを含まない状態ですでに平均年収を超えており、公務員の給与がいかに高いかが分かります。
 

地方公務員の給与の仕組み

公務員の給与は通常、民間の給与水準に合わせて支給されます。ただし「民間」とは、企業規模50人以上、なおかつ事業所規模50人以上の企業が対象となっており、それ以下の中小企業の賃金は含まれていません。
 
地方公務員の給与は、職種別の給与表を基に算出します。給与表は横軸に「職務の級」、縦に「号給」が配置されており、その組み合わせで給与月額が決まる仕組みです。
 
なお職務の級は昇格すると上がり、号給は職務経験年数が反映されます。
 

市役所職員と県庁職員の年収には大きな差はない

市役所と県庁とでは、仕事内容に差があります。市役所の職員は地域住民と接する機会が多いのに対し、県庁の職員は国や市区町村などの自治体と連携しながらよりよい街づくりをすることが主な仕事といえそうです。
 
仕事内容に違いはあるものの、県と市では、職員の年収に大きな差はありません。とはいえ、給与所得者全体の平均年収と比べ、高水準の給与額となっています。 
 

出典

総務省 令和5年地方公務員給与の実態 Ⅰ一般職関係 四 諸手当 表―14 職種別平均給料月額及び諸手当月額(全地方公共団体)(30ページ)
国税庁 令和5年分民間給与実態統計調査 調査結果報告 Ⅱ1年を通じて勤務した給与所得者 2平均給与 (第8表)平均給与 (15ページ)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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