高卒と大卒における公務員の初任給の差は?初任給に差がある理由は?
この記事では、具体的にどれくらいの差があるのかなど、高卒と大卒の公務員の初任給の違いや、昇進への影響について解説します。
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高卒と大卒における初任給の差
公務員の初任給は、最終学歴によって異なります。一般的に、高卒よりも大卒の方が高く設定されており、勤務する自治体や職種によっても具体的な金額は変わります。
総務省の「令和5年地方公務員給与の実態」に基づく一般行政職の初任給を表1にまとめました。ただし、諸手当は含まれていないため、実際の支給額はこれより高くなる場合があります。
表1
| 区分 | 大学卒 | 高校卒 | ||
|---|---|---|---|---|
| 試験採用 | 選考採用 | 試験採用 | 選考採用 | |
| 都道府県 | 19万966円 | 18万6254円 | 15万8332円 | 15万5840円 |
| 指定都市 | 18万6699円 | 18万3767円 | 15万4980円 | 15万3345円 |
| 市 | 18万7673円 | 18万2743円 | 15万6993円 | 15万4101円 |
| 町村 | 18万5609円 | 17万8085円 | 15万5554円 | 15万1825円 |
| 特別区 | 18万8200円 | 18万8200円 | 15万2100円 | 15万2100円 |
| 国 | 18万5200円 | 16万9800円 | 15万4600円 | 15万100円 |
(出典:総務省「令和5年地方公務員給与の実態」をもとに筆者作成)
大学卒と高校卒の間には、初任給の段階で数万円の差があります。年収に換算すると数十万円もの差となり、長期的にはより大きな開きとなるでしょう。
初任給に差がある理由
初任給に差がある理由は、採用試験の内容や求められる能力の違いによるものです。大卒程度試験では、高度な知識や論理的思考力が求められる傾向があり、採用者の能力を考慮して初任給に差が設けられています。
また、大学で身に付けた専門知識が業務に役立つと判断される場合もあります。ただし、高卒でも優れた能力を持つ人材は少なくないでしょう。
さらに、大卒公務員は「幹部候補生」として採用されることが多く、一方で高卒の公務員は課長級以上の役職への昇進が難しいとされています。役職に応じて給与も変わるため、大卒の課長級以上の職員と比べると、同年齢でも給与に大きな差が生じるのです。
勤続年数による給料の差
次に、大学卒と高卒の勤続年数による給与の違いを見ていきます。表2は、勤続年数別の平均給与をまとめたものです。
表2
| 区分 | 5~7年 | 7~10年 | 10~15年 | 15~20年 | 20~25年 | 25~30年 | 30~35年 | 35年以上 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 大学卒 | 22万 8505円 |
24万 7689円 |
27万 9550円 |
32万 6567円 |
36万 5538円 |
39万597円 | 40万 8529円 |
42万 1440円 |
| 高校卒 | 19万 2926円 |
21万540円 | 23万 9484円 |
27万 9468円 |
32万 3860円 |
35万 9603円 |
38万6円 | 39万 6240円 |
(出典:総務省「令和5年地方公務員給与の実態」をもとに筆者作成)
地方公務員の給与は、給料表に基づき「級」と「号給」の組み合わせで決まります。同じ勤続年数でも、初期のスタート地点が異なるため、大学卒と高校卒で差が生じる仕組みです。
しかし、公務員は「年功序列」を採用しているため、高卒でも長く勤めることで着実に給与は増えていきます。焦らずに自分のペースで働き続け、安定した収入を目指すことが重要です。
高卒で公務員になるメリット・デメリット
高卒ではなく、大卒で公務員になった方が有利と考える人は多いですが、高卒で公務員になることにもメリットがあります。
早くから社会経験を積める点はその一つです。仕事内容に大きな違いはないため、同じレベルの業務に取り組めます。また、大卒よりも高卒の採用試験は難易度が低く、合格の可能性が高まります。学費が不要で、早期に収入を得られる点も経済的なメリットです。
一方、初任給が低く、昇進スピードが遅いとされているのはデメリットです。特に部長級以上の役職は、大卒が優遇されることが多いといわれています。それでも、高卒でも努力次第で大卒以上に出世する人もいるため、必ずしも高卒で公務員になるのは不利とは言いきれません。
公務員の初任給は大卒が有利
高卒と大卒の公務員の初任給の違いや昇進への影響について解説しました。初任給には差があり、昇進スピードも大卒の方が有利とされています。しかし、高卒でも自分の選択に誇りを持ち、強みを生かして努力を続けることが重要です。
高卒でも給与面での差を縮めることも十分に可能なため、ぜひ応援してあげてください。
出典
総務省 令和5年地方公務員給与の実態
総務省 地方公務員の給与の体系と給与決定の仕組み
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
