年収「400万円」の手取りは「300万円」程度…。海外だと「社会保険料」が日本より安いと聞いたのですが本当ですか?
本記事では、日本と海外での税率や社会保険料率の差や、手取り収入を増やすための方法を解説します。
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「日本の税金は高い」は本当? 年収500万円は海外だと手取りはどのくらい?
日本の所得税率は、最大で45%です。日本と同じ累進課税制度を導入しているアメリカでは、最大税率は37%です(独身者の場合)。
なお、アメリカには日本の住民税に相当する州税がありますが、州ごとに税率は異なります。日本の住民税は一律10%ですが、アメリカの州によっては日本よりも負担が重かったり、逆に軽かったりさまざまです。
財務省の資料によると、年収が500万円の単身者の個人所得課税負担額を比較すると、日本は37万4000円でした。アメリカは59万7000円、イギリスは53万2000円となっています。
なお、アメリカの社会保険料は、日本よりも低い水準にあります。アメリカの社会保障税の保険料率は12.4%で、公的医療保険は2.9%です。一方で、日本の厚生年金保険料は18.3%で、健康保険や介護保険などを含めると社会保険料率は約22%です。
アメリカの公的保険は、65歳以上の高齢者や特定の障害者を対象とした連邦政府運営の保険、低所得者を対象とした州と連邦政府共同運営の保険など限定的です。日本のような国民皆保険制度ではないため、社会保険料負担が軽いのです。
なお、ヨーロッパ主要国の税率や社会保険料は、国によって異なるものの日本より高い傾向にあります。例えば、日本の消費税(付加価値税)は10%である一方で、イギリスやフランスが20%、ドイツが19%です。
また、ドイツやフランスでは社会保険料率が40~50%に達することもあります。しかし、ヨーロッパ主要国は高福祉国家であるという事情があります。日本よりも税金や社会保険料の負担が大きい分、日本よりも医療や年金などの社会保障が手厚いのです。
この点は、少子高齢化に歯止めがかからず、社会保険制度の改悪が進んでいる日本と大きく異なる点といえるでしょう。
いますぐ会社員が手取りを増やすには「働く」しかないの?
日本は今後も少子高齢化が進む可能性が高く、ますます税金や社会保険料の負担が重くなると考えられます。負担が重くなる一方で、受けられる給付は先細りする可能性が高いため、対策をしなければ経済的に苦しくなってしまうでしょう。
手取り額を増やすための対策として考えられるのが、「資産所得の獲得」「副業」です。「節約」も手取りを増やす効果的な方法ですが、今回は「資産所得の獲得」「副業」にフォーカスします。
資産所得とは、保有している資産が生み出す所得です。貯金や債券から得られる利子や株式から得られる配当、投資信託から得られる分配金などが該当します。
現在は低金利時代であるため、貯金から得られる利子には期待できません。資産所得を増やすためには、ある程度リスクを取って株式や投資信託へ投資する必要があるといえるでしょう。
株式や投資信託へ投資するときに有効活用したいのが、NISA(少額投資非課税制度)です。NISAを活用すれば、年間で360万円まで、制度全体で1800万円まで非課税で投資できます。
資産所得を増やすためには、当然ですが資産を購入する資金が必要です。そこで、本業以外に副収入を得るために、副業を検討するとよいでしょう。
なお、ここでいう副業はアルバイトではなく、自分が事業主となる副業です。自分のスキルや知識を生かして副収入を得られれば、家計の足しになるだけでなく、やりがいを感じられるはずです。
副業のメリットは、副収入に対して社会保険料がかからない点です。本業で社会保険に加入していれば、副収入に対して社会保険料はかかりません(所得税と住民税はかかります)。
自分の事業を軌道に乗せるのは簡単ではありませんが、挑戦する価値は大いにあるでしょう。スモールスタートすれば、仮に事業がうまくいかなくても生活が破綻するリスクは小さいはずです。
まとめ
日本は少子高齢化が進むと考えられるため、ますます税金や社会保険料負担が重くなると見込まれます。負担増を賃金増でカバーできればよいのですが、必ずしもできるとはかぎりません。
そのため、個人が自助努力で資産形成をしたり、副業に挑戦したりして手取り所得を増やすための工夫が求められます。特に、副業は自分の知識やスキルを生かしてお金を稼げるチャンスがあるため、挑戦してみる価値はあるでしょう。
出典
国税庁 No.2260 所得税の税率
日本貿易振興機構(JETRO) 米国 税制
国土交通省 アメリカ税制関係
総務省 個人住民税
財務省 主要国における給与収入階級別の個人所得課税負担額の比較
独立行政法人労働政策研究・研修機構 データブック国際労働比較2023 第9-7表 社会保障負担料率
厚生労働省 公的年金制度の役割とこれにふさわしい財政方式及び財源等(資料編) (資料6)国民負担率(租税負担、社会保障負担)の推移
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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