これまで「扶養内パート」で働いてたけど、父の死後「200万円」のタンス預金を相続! 年収200万円を超えるので、扶養を抜ける必要があるでしょうか…?
配信日: 2025.02.20

本記事では「年収の壁」を超えないように気を付けつつ扶養内で働いている人が大きなお金を相続した際、扶養を抜けないといけないのか、さらに年収の壁の注意点についても解説します。

執筆者:小林裕(こばやし ゆう)
FP1級技能士、宅地建物取引士、プライマリー・プライベートバンカー、事業承継・M&Aエキスパート
相続財産が多額であても扶養は抜けなくていい
結論として、「200万円」といった多額のタンス預金が見つかり、それを相続したとしても扶養を抜ける必要はありません。相続財産は給与所得の対象ではなく、扶養認定の際の収入とみなされないためです。
多額の相続財産を受け取った場合でも、支払う所得税や住民税が増えることはなく、国民健康保険等の保険料が上がる要因にはなりません。
相続税の申告後に新たな相続財産が見つかった場合には、改めて遺産分割協議を行った上で、必要に応じて相続税の修正申告をしましょう。修正申告をしないと申告漏れと見なされてしまい、追徴課税が行われる恐れがあります。
2種類の年収の壁
前項では、相続財産の金額が大きかったとしても扶養を抜ける必要がないことについて記載しましたが、ここからは年収の壁について解説していきます。年収の壁には「税金に関する壁」と「社会保険に関する壁」の2種類があります。
税金に関する壁
税金に関する壁は、下記の4つです。
1.100万円の壁:超えると住民税が課税されるようになる壁です。
2.103万円の壁:超えると所得税が課税されるようになる壁です。また、配偶者控除(38万円)が適用されなくなり、代わりに配偶者特別控除が適用されるようになります。
3.150万円の壁:超えると配偶者特別控除が満額(38万円)適用されなくなる壁です。以降は配偶者特別控除がパートタイム労働の収入によって徐々に減額されていきます。
4.201万円の壁:超えると配偶者特別控除の対象ではなくなる壁です。
社会保険に関する壁
社会保険に関係する壁は、下記の2つです。
1.106万円の壁:超えると健康保険・厚生年金保険の保険料を支払う可能性が出てくる壁です。具体的には、「従業員51人以上の会社に勤めている」人は対象となる可能性が高いといえます。
2.130万円の壁:超えると国民年金・国民健康保険の保険料の支払いが発生する壁です。
まとめ
本記事では、親の相続で「200万円」などの多額の相続があったとしても、扶養を抜ける必要がないことや、各種年収の壁の特徴について解説を行いました。相続財産は給与所得の対象ではなく、扶養認定の際の収入とみなされないため、扶養を抜ける必要はありません。
また、年収の壁には、「税金に関する壁」と「社会保険に関する壁」の2種類があり、それぞれの中で細分化されています。それぞれの壁を超えた場合には、所得税や住民税の支払い義務が発生したり、国民健康保険等の保険料を払う必要が出てきたりすることを理解した上で働くとよいでしょう。
出典
厚生労働省 『年収の壁について知ろう』あなたにベストな働き方とは?
国税庁 No.1300 所得の区分のあらまし
執筆者:小林裕
FP1級技能士、宅地建物取引士、プライマリー・プライベートバンカー、事業承継・M&Aエキスパート