日本の平均年収は「423万円」だけど、実際「中央値」はどのくらい? 手取りをもとに「生活レベル」についても解説
配信日: 2025.02.28

そのため「平均年収」と比較すると、「自分の収入が低いのでは……」と感じることもあるかもしれません。そこで、より参考になるのが「中央値」です。中央値の年収は平均年収とは異なり、実際の生活水準を知るうえで参考にしやすい指標となります。
本記事では、平均年収と中央値の違いと、中央値の年収での生活がどのようなものかを解説していきます。

執筆者:渡辺あい(わたなべ あい)
ファイナンシャルプランナー2級
年収の「中央値」ってなに?
年収の中央値とは、所得を低い順に並べたときにちょうど中央に位置する人の年収のことです。例えば、年収300万円、500万円、1000万円の3人がいる場合、平均年収は(300 + 500 + 1000)÷3=600万円になります。
これに対し、「中央値」とは真ん中の年収のことをさすので、この場合は500万円です。このように、平均は一部の高所得者に影響されやすいのに対し、中央値はより一般的な所得水準を示します。そのため日本の年収では、平均年収よりも中央値の年収のほうが低めになることが多いのです。
日本の年収の中央値はいくら? 手取りは?
では、現在の日本の年収の中央値はどれくらいなのでしょうか。約60万人を対象としたdodaの調査データによると、平均年収は、男性は481万円、女性は366万円との結果に対し、男性の年収中央値は420万円、女性の年収中央値は340万円となりました。
また男女を合計した全世代の年収中央値は380万円です。さらに年代ごとでも中央値は異なり、それぞれ20代が345万円、30代が400万円、40代が450万円、50代以上が500万円となっています。
また、1000万円以下の手取り額は平均的に年収の75~85%であることが多いので、仮に80%を基準とすると、全世代の年収中央値380万円の平均的な手取り額は304万円となります。
中央値の手取り380万円の生活の支出は?
ここでは全世代での年収の中央値「380万円」を基準に単身の世帯での生活における支出を見ていきましょう。まず、先ほど求めた手取り304万円のうち、夏と冬にそれぞれ2ヶ月分のボーナスが含まれていると仮定すると、月収は約19万円となります。
生活の水準としてよく言われるのは、家賃は手取りの3分の1、食費は15~20%なので、これに基づくと、家賃は約6万3000円、食費は2万8500円~3万8000円が支出の目安になります。ここでは食費は平均3万3250円としましょう。さらに総務省統計局による単身世帯の平均的な支出を合わせると、月の支出の内訳は次のようになります。
・住居費:6万3000円
・食費:3万3250円
・水道光熱費:1万3045円
・家具/家事用品:5955円
・被服/履物:4712円
・保健医療:7426円
・交通費/通信費:2万1796円
・娯楽:1万9425円
・その他:2万5051円
合計すると19万3660円となり、毎月ほぼ手取りと同額で生活できるという計算になります。食費や通信費などの見直しや節約の仕方によっては、もう少し余裕を持った生活をすることもできるでしょう。
中央値の収入でも平均的な生活はできる
収入の目安として「平均年収」が基準となることがありますが、「一般的な年収」という点では「中央値」のほうが参考となります。この中央値の手取りで生活ができるのかと不安になる人もいるかもしれませんが、中央値の手取りと、単身者の平均的な支出を総合的に考えても、工夫次第で安定した暮らしが可能といえます。
収入に合わせた支出のバランスを意識し、無理のない範囲で節約や貯蓄を行うことで、中央値の年収でも充実した生活を送ることができるでしょう。
出典
doda 正社員の年収中央値は?男女別・年齢別・都道府県別にも解説
総務省統計局 家計調査報告 2023年(令和5年)平均結果の概要
執筆者:渡辺あい
ファイナンシャルプランナー2級