派遣で「時給2000円」の仕事をしています。「正社員」になった場合の収入とどのくらい差があるのでしょうか?

配信日: 2025.03.01

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派遣で「時給2000円」の仕事をしています。「正社員」になった場合の収入とどのくらい差があるのでしょうか?
現在は、「同一労働同一賃金の原則」により、派遣社員と正社員は、基本給・賞与、退職金・各種手当福利厚生・教育訓練に差があってはならないとされています。しかし、「本当に派遣社員と正社員の収入は同じなのか」と疑問に思っている方もいるでしょう。

本記事では、時給2000円で働いている派遣社員を例にとり、正社員との収入差がどのくらいあるかについて解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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派遣と正社員の平均給与

国税庁が行った「令和5年分民間給与実態統計調査」によると、正社員の平均年収は約530万円、正社員以外の平均年収は約202万円という結果が出ました。なお、「正社員以外」には、短時間で働くパートやアルバイトも含まれます。平均年収の差を計算すると、正社員と正社員以外では301万円です。
 
一方、時給2000円で1日8時間働いた場合、日給1万6000円、月20日働いた場合は32万円、ボーナスなしで考えると、年収は384万円です。
 
そこから税金や保険料を引いた額が、手取りです。ただし、派遣社員の場合交通費等が時給に含まれていることもあります。また、時給計算で欠勤が多い場合は、賃金が下がる可能性もあるでしょう。

 

同一労働同一賃金の原則

派遣社員として働く年数が長いほど、正社員と差がつきやすくなります。そのため、生涯賃金には大きな差がつくこともあるでしょう。
 
しかし、派遣社員が正社員と同じ職務内容の場合、同一労働同一賃金の原則により、派遣社員と正社員の間で基本給・賞与、退職金・各種手当福利厚生・教育訓練に不合理な待遇差があってはならないとされています。
 
また、同一労働同一賃金の原則は賃金だけでなく、福利厚生や各種手当も対象となります。住宅手当や交通費、ボーナス、退職金など不合理な差別的取り扱いが禁止される対象となります。

 

正社員と待遇に差がある場合は改善を求められるのか?

正社員と待遇に差がある場合には、改善を求めることも可能です。例えば、派遣社員は社員食堂を使えない、更衣室がないといった問題は、派遣先に掛けあえば解決できる可能性は高いでしょう。
 
ただし、派遣元と派遣社員の契約が労使協定方式である場合、待遇は派遣元の規定に準拠するため、派遣先の正社員とは異なる待遇となる可能性があります。
 
この場合、厚生労働省が定める「同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準」以上の賃金を支払う必要があります。また、職務内容、責任の程度、人材活用の仕組みなどに違いがある場合は、その違いに応じた待遇差が認められることがあります。
 
したがって、交通費やボーナス、退職金などの待遇については、派遣社員それぞれの状況に応じて検討する必要があり、一概に「要求が通らない」とはいえません。正社員への転職を目指すことも一つの選択肢ですが、まずは現在の待遇が適切かどうかを確認し、必要に応じて改善を求めることも検討すべきでしょう。

 

正社員と派遣社員は生涯年収に差がつきやすい

正社員の多くは、「月給制」で雇用されています。月給制の場合、月に何度休日があっても月収は変わりません。一方、派遣社員の場合には時給での雇用となるケースが多く、土日祝など休日の日数によって月収が変わります。特に、お盆やお正月など企業が休みになる時期は、収入が大きく減ってしまいます。
 
ほかにも昇給や賞与、退職金などの要因により、一般的に正社員のほうが生涯年収は高くなる傾向があります。また、正社員は雇用が安定している一方で派遣社員には契約期間があり、契約終了後に次の仕事がすぐに決まらないと、無収入な期間が続くため、正社員との生涯年収に差が出る可能性が高くなります。
 
ただし、高度なスキルを持つ派遣社員が高い時給を得られる場合などもあり、個々の状況によって異なります。それでも長い目で見れば、時給が高いとしても、正社員と派遣社員では差がつきやすいといってよいでしょう。

 

派遣社員は正社員と比べると収入は低い傾向だが、自分らしい働き方を

派遣社員であっても、専門性が高い仕事なら収入が高く、短時間勤務でも正社員をしのぐケースもあります。しかし、単純に生涯賃金だけで比較した場合、一般的に正社員のほうが派遣社員を上回ります。
 
一方、正社員よりも融通がききやすく、子育て、介護などと両立しやすいといったメリットがあります。「働きたいけれど、正社員ほど長時間は働けない」「自分のペースで仕事をしたい」といった方は派遣社員のほうが向いている場合もあるでしょう。
 
したがって、収入だけではなく、働く目的やライフスタイル等によって働き方を決めるのも一つの方法です。就業にあたっての希望に優先順位を決めて、自分らしい働き方をえらびましょう。

 

出典

国税庁 令和5年分民間給与実態統計調査
厚生労働省 同一労働同一賃金特集ページ
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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