今年も春闘の時期になったことが話題となっていますが、本当に「賃上げ」を行う企業はどれくらいあるのでしょうか?

配信日: 2025.03.07 更新日: 2025.10.21
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今年も春闘の時期になったことが話題となっていますが、本当に「賃上げ」を行う企業はどれくらいあるのでしょうか?
毎年春先になると話題になる「春闘」。今年も労働組合が賃上げを求め、大手企業が対応を発表するニュースが飛び交っています。しかし、実際にどれくらいの企業が本当に賃上げを実施するのでしょうか。また、それは中小企業にも波及するのでしょうか。
 
本記事では、2025年の春闘の現状や賃上げの背景、さらには個人や経済全体への影響について解説します。
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2025年春闘の概況と賃上げ傾向

2025年の春闘が本格化し、賃上げへの期待が高まっています。連合(日本労働組合総連合会)は、2025年春闘の賃上げ要求を、定期昇給相当分を含めて「5%以上」とする方針を示しました。これは2024年と同水準ですが、中小企業の労働組合に関しては「6%以上」の要求とし、格差是正に重点を置いています。
 
多くの企業が賃上げに前向きな姿勢を示しており、大手企業を中心に具体的な賃上げ計画が発表されています。
 
例えば、家電量販店の株式会社ノジマは2025年1月から全従業員約3000人に対し、月額1万円のベースアップを行い、従業員約9割の賃金が平均7%引き上げとなる見込みです。また、星野リゾートは2025年1月から平均で5.5%の賃上げを表明しています。
 
一方で、中小企業の賃上げ状況には課題が残ります。一般財団法人労務行政研究所の調査によると、東証プライム上場クラスの企業における賃上げ率は4.60%(定期昇給分を含む)と予想されていますが、中小企業では賃上げの実施が難しい状況もみられます。
 

賃上げの背景と企業の取り組み

2025年は多くの企業で賃上げを実施する見込みですが、その背景には、次の要因があります。
 

・深刻な人手不足
・物価高への対応
・底堅い企業業績

 
生産年齢人口の減少が続く中、多くの企業は深刻な人手不足を感じており、人材を確保するために賃上げを行う必要があると考えられます。また、現在物価の上昇率は依然として高止まりしており、従業員の生活を支えるためにも賃上げの必要性が高まっている状況です。
 
加えて、多くの企業では業績が回復しており、賃上げに充てる余力も生まれているとされています。
 
企業はさまざまな形で賃上げに取り組んでいます。多くの企業が採用しているのは、ベースアップ(全従業員一律で基本給の引き上げ)と定期昇給の組み合わせです。これに加えて、一部の企業では、株式報酬制度の導入や従業員持株会の拡充など、従業員が会社の成長に直接参加できる仕組みづくりも進んでいます。
 
このように、企業は単純な賃金アップだけでなく、総合的な待遇改善と従業員エンゲージメントの向上を通じて、持続可能な形での賃上げを実現しようとしています。
 

賃上げが個人と経済に与える影響

賃上げは個人の生活と経済全体に大きな影響を与えます。個人にとっては、賃上げによって可処分所得が増え、生活水準の向上が期待できるでしょう。2025年は実質賃金の上昇が定着し、個人消費の回復を支える可能性があります。
 
経済全体としては、賃上げによる個人消費の拡大が経済成長を促す好循環を生み出すことが期待されています。特に、中小企業への賃上げの波及は、経済の底上げにつながる重要な要素となるでしょう。
 
一方で、企業にとっては人件費の増加が利益を圧迫する可能性もあります。特に中小企業では、価格転嫁が十分にできていないケースもあり、賃上げの実施に苦慮している状況もみられます。
 

まとめ

2025年の春闘では、大手企業を中心に高水準の賃上げが続く見通しです。明るい見通しがある一方、中小企業への波及や実質賃金の持続的な上昇には依然として課題が残ります。
 
春闘は、日本経済の好循環を促す重要な機会となるため、企業、労働組合、政府が協力し、持続可能な賃上げと経済成長の実現に取り組むことが求められます。
 

出典

日本労働組合総連合会(連合) 2025年春闘 2025春季生活闘争方針について~みんなでつくろう!賃上げがあたりまえの社会~
一般財団法人労務行政研究所 2025年賃上げの見通し(1ページ)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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