三井住友銀行が、大卒初任給を「30万円」に引き上げ! 自分の初任給は「20万円」だったけど、新卒者が「優秀」だから優遇されてるの? 引き上げの背景を解説

配信日: 2025.03.12 更新日: 2025.10.21
この記事は約 3 分で読めます。
三井住友銀行が、大卒初任給を「30万円」に引き上げ! 自分の初任給は「20万円」だったけど、新卒者が「優秀」だから優遇されてるの? 引き上げの背景を解説
初任給引き上げのニュースを耳にして、正直羨ましいと思った人もいるのではないでしょうか。しかし、新卒者にとっては嬉しいニュースである一方、既存社員にとっては少し複雑な気持ちもあるかもしれません。
 
初任給引き上げは、三井住友銀行などの金融機関にとどまらず、大和ハウス工業など建設・不動産業界などでも相次いで発表されています。このように、大企業が新卒の初任給を大幅に引き上げる背景には、どのような事情があるのでしょうか。
 
本記事では、初任給を引き上げる理由や、新卒者の能力について探り、デメリットについても解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

初任給引き上げの背景

大企業が新卒の初任給を引き上げている背景には、優秀な人材を確保するための競争が激化していることが挙げられます。企業が限られた優秀な人材を確保するためには、新卒者に選んでもらう必要があるため、初任給を引き上げることが効果的な施策だと考えているのでしょう。
 
さらに、物価の上昇や円安といった社会情勢が賃金引き上げを後押ししている面もあります。事業の中長期的な成長を支えるには、新卒者も含めた従業員全員が安心して働ける環境が必要で、賃上げによる生活水準の維持は、企業の競争力を高めるために必要不可欠な投資と言えます。
 
また、業界内においては、一社が初任給を引き上げると、人材確保の観点から、ほかの企業も追随せざるを得ない状況が生まれ、業界全体の賃金水準が上昇する流れが加速していると考えられます。
 

新卒は優秀だから初任給が高いのか?

新卒世代は、スマートフォンが普及していた時代に育ち、ITリテラシーが高く、優秀だという印象を持っている人もいるかもしれません。
 
しかし、総務省による調査結果によると、10代・20代と30代では情報収集に関して顕著な違いは見られません。このことから、現代の新卒者は情報収集やスキルにおいては、特に優秀な能力を持っているわけではなさそうです。
 
そのため、初任給の引き上げは、新卒者の優秀さに起因しているわけではなく、物価上昇や賃上げ圧力といった経済的背景が大きな要因だと言えるでしょう。現在、深刻な人手不足が続き、新卒採用は売り手市場と言われています。
 
企業によっては新卒の給与に差をつける制度を導入している場合もあり、優秀な人材を幹部候補生として年収1000万円を超えるような待遇で採用する企業もあります。この場合は、「優秀だから初任給が高い」と言えます。
 

初任給の引き上げはメリットだけなのか?

初任給が高いことは、新卒者にとってはいいことばかりではないかもしれません。新卒者の初任給が大幅に引き上げられることで、既存社員よりも給料が高くなるといった賃金格差を生む可能性があります。
 
特に、既存社員がその差を知った場合、モチベーションの低下や離職につながることもあるでしょう。このような状況は、人員不足を引き起こし、結果的に新卒者の業務負担が増えるリスクがあります。
 
また、初任給は2021年から上昇し続けているため、今後も続く場合、翌年以降は高待遇の新卒者でさえ既存社員と同様の不満を抱える可能性もあります。
 
さらに現在は、従来の終身雇用や年功序列といった「日本型雇用」から転換し、スキルや職務に応じた報酬が支払われる「ジョブ型雇用」が促進されています。ジョブ型雇用を導入した場合の給与は、本人次第となります。
 

まとめ

初任給の一律引き上げの背景には、新卒者の能力ではなく、物価上昇をはじめとする経済的な要因も影響していることが分かりました。企業が今後の事業成長を担う人材を確保するために、給与面で魅力的な条件を提示せざるを得ない状況であることには納得できそうです。
 
とはいえ、既存社員にとって、初任給引き上げのニュースは面白くない気持ちにもなるかもしれません。しかし、初任給を引き上げるということは、企業が「人材」を大切にし、長期的な成長に向けて投資をしている証ともいえるのではないでしょうか。
 

出典

厚生労働省 ジョブ型雇用に関連する法的な枠組み
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

  • line
  • hatebu
【PR】 SP_LAND_02
FF_お金にまつわる悩み・疑問