隣のご家庭は「年収1000万円」世帯!? そんなに稼いでいる家庭はどれくらいいるのでしょうか?
本記事では、年収1000万円以上の世帯が実際にどれくらい存在するのか、またその生活実態や背景、そして高収入ゆえの落とし穴についても解説します。
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
年収1000万円以上の世帯は約12%
厚生労働省が公表している「2023(令和5)年 国民生活基礎調査」によると、世帯年収が1000万円以上の家庭は全国で全体の11.6%を占めています。つまり、9世帯に1世帯が年収1000万円以上という計算です。
この数字を「意外と多い」と感じるか、「やっぱり少ない」と捉えるかは人それぞれですが、1000万円世帯が特に珍しいというわけではないことが分かります。
また、年収1000万円以上の内訳を見ると「1000〜1100万円未満」が2.6%と最多ですが、次に「1100万~1200万円未満」が2.3%と、1000万円を超えると段階的に割合が減少しています。
都市部ほど多い? 地域差にも注目
地域によって、世帯の収入水準には明確な差があります。
パーソルキャリア株式会社(東京都港区)が運営する転職サービス「doda」の「平均年収ランキング(47都道府県・地方別の年収情報)【最新版】」による、2023年9月〜2024年8月の1年間に登録された約60万人のデータをもとにした平均年収ランキングでは、最も平均年収が高いのは東京都で471万円。
次いで、神奈川県(452万円)、千葉県(435万円)、埼玉県(426万円)、茨城県(424万円)と、上位を関東の都県が占めています。一方、最も平均年収が低いのは高知県(355万円)、沖縄県(359万円)、鳥取県(364万円)と続き、地方圏では収入水準が都市部に比べて低い傾向が見られます。
こうしたデータからも分かるように、都市部では高収入層が集まりやすい一方、地方では平均収入自体が抑えられており、年収1000万円世帯の多さも自然と地域差が生まれると考えられます。
高収入でも「余裕がある」とはかぎらない?
年収1000万円というと、経済的にかなり余裕のある生活をイメージしがちですが、実際には「思ったほど自由に使えるお金がない」と感じている世帯も少なくありません。
その理由の一つは税金と社会保険料の負担です。年収が上がると所得税や住民税、社会保険料が重なり、手取りが大きく目減りします。年収1000万円で扶養なしの世帯の場合、手取りは719万円前後になるケースが一般的です。
さらに、児童手当や高校授業料無償化の対象外となるケースもあり、行政サービスをフルに享受できない中間層の壁に直面する可能性があります。また、住宅ローンや教育費、習い事、留学費用など、家族構成やライフスタイル次第で支出が膨らみ、思った以上に家計が厳しいと感じることもあります。
収入よりも「価値観」が大切
年収1000万円というと裕福な暮らしを想像しがちですが、実際には「それほど余裕がない」と感じている世帯もあります。
内閣府の「満足度・生活の質に関する調査報告書2024」によると、生活満足度を判断するうえで、「家計と資産の管理」「健康状態」「生活の楽しさ・面白さ」がどの年代においても重視されているという結果が報告されています。
同じ年収でも、貯蓄を計画的に行う人や趣味・家族との時間にお金を使う人は、生活の質を高く感じる傾向があります。一方、住宅ローン返済が収入の25%を超えるなど固定費が多いと、収入が高くても余裕を感じにくくなるでしょう。
内閣府の調査結果から分かるように、収入の多さがそのまま生活の満足度につながるわけではありません。どのようにお金を使い、どのような価値観で生活を築いていくかが、幸福感や安心感に強く影響しているのです。
まとめ
年収1000万円以上の世帯は、日本全体で見ると約12%と珍しくはないものの決して多数派ではありません。都市部ではその割合が高く、環境によっては周囲に高収入世帯が多いこともあります。
ただし、高収入にはそれなりの負担や制限もあり、年収1000万円あるからといって裕福とはいえないのが現実です。見た目だけにとらわれず、自分たちに合ったライフスタイルと家計管理を心掛けることが、長い目で見て満足度の高い暮らしにつながっていくでしょう。
出典
厚生労働省 2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況
パーソルキャリア株式会社 doda 平均年収ランキング(47都道府県・地方別の年収情報)【最新版】
内閣府 満足度・生活の質に関する調査報告書2024
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
